エクリチュールの成果(ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ)
書法に熟達したのちは、実際の楽器のための作品を出力してみることが肝要かと思われます。
Sonatine for violin and piano 1st.movement (Atsushi Goto) 後藤厚 ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ 第1楽章
3楽章からなるヴァイオリンとピアノのためのソナチネ。第1楽章はソナタ形式です。
調性のシステムによる音楽ですが、長調と短調を織り交ぜる手法が技術的な勘どころでした。このバランスをしくじると実に陳腐な音の連なりになってしまいます。
楽典的にはホ調ということになりますが、第2楽章はメヌエット風の嬰ニ調、フィナーレは第1楽章と同じくホ調で終止します。
I Allegro
II Andante, un poco rubato
III Allegro spiritoso, quasi volante
曲に実用性を求めるならば、コンサートで実際に弾かれた場合を想定して音楽的な強度を十分に保たねばならないのですが、それは楽器に実際に接触したり音響に触れることによって得なければなりません。エクリチュールは内的な音響を構築する役目といえましょうか。
演奏会ではプレーヤーが外向的にその情熱を発露できる窓口、かつ聴衆の聴覚を引き寄せるような引力を持つ音の連なりが求められます。そのような条件を満たす音楽の作曲を試みました。
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