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私と卵と、これから。それから。 第五話

卵子凍結を決意するまでに自問自答を繰り返す中で、私はいくつかの行動をとっていた。

まずは考えるきっかけとなった社内セミナーで卵子凍結について説明をしてくれた婦人科ラボに連絡した。セミナー参加者に特別価格でカウンセリングセッションを提供してくれるという事だったので、悩まずにすぐ登録。
正直、安くはないので、誰もがそのサービスを受けられるとは思わない。
けれど、何から調べていいのか、卵子凍結をする上で何を知っておくべきなのか、わからない事だらけの私は焦る気持ちも相まってそれに飛びついた。仕事をしながら手探りで調べたりすることを考えたら、少々高くてもありがたいサービスだった。時間と労力、そして安心感を買ったと思えば納得がいくものだった。

カウンセリングセッションは合計4回。

1回目は卵子凍結に関する基本的な情報や自分自身の目標をクリアにするセッション。
子供は何人欲しいのか。パートナーがいなかったとしても、シングルマザーになってでも子供が欲しいのか。
「子供を持つこと」の意味について考えさせられる時間だった。

2回目のセッションでは具体的に自分の目標・希望に応えてくれそうなクリニックをいくつかご紹介いただき候補を絞り込む。
この時、衝撃だったのが未婚女性の為に卵子凍結を行っているクリニックが全体の2割程度だということ(2021年時点)。不妊治療クリニックの多くは婚姻関係にあることを前提としていて、そもそも未婚で将来のために卵子を凍結しておきたい女性を対象としていないのだ。
働く女性が増え晩婚化が進む中、ニーズも確実に増えているであろう現代において、卵子凍結を選択肢として考えるためには金銭的な問題だけではなく、多くのハードルがあることに気付かされた。
そして、未婚であるが故に一気に少なくなった選択肢の中から、住んでいる場所、勤務先などを踏まえ通える範囲にあるクリニックに絞り込んでいった。

3回目は候補に上がったクリニックにお願いする場合のコストシュミレーションをファイナンシャルプランナーが解説をしてくれた。
現在の給与や貯金額、卵子凍結と凍結保管し続けるためにかかる費用、そして産んだ子供を育てるために必要なお金をすべて洗い出した上で、自分にあったクリニックにさらに絞り込んでいった。
将来の為とはいえ、やはり簡単に出せる金額ではないので、希望する女性の選択肢となりえるような支援体制がもっとできて欲しいと願わずにはいられなかった。

最後は目標とコスト感などを踏まえ不安や疑問について解消するための相談セッション。
それぞれに卵子凍結の経験のある専門家の方々が親身になり情報提供をしてくれたので、とてもありがたかったし、一人で悩まずに済んだので多少高くてもサービスを受けて本当に良かったと思う。

それでも、具体的な情報を得たことで一時的に悩みは増えたように感じた。
お金もかかるし、自分の身体にも負担がかかる。
また、数週間といえども仕事に支障がでる可能性もある。
卵子凍結を経験された方にカウンセリングをしてもらったものの、個人差が大きいとされる処置について考えると、自分の場合どのような経験になるのか、全く想像ができなくて少し怖くなった。
そして、もっといろんな人の経験談を聞いて、心の準備をしたいと思った。それがこのように書こうと思った動機の一つだ。

引き続き気になることは自分で調べたりもしたが、やはりどうするべきか決めかねていた私は、友人の勧めもありセカンドオピニオンを求めて産婦人科へ行くことにしたのだった。

ここで、また心を抉られる経験をするとは思いもしなかった。

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