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むにみずべ 東京編04 浜離宮の月見

有名な庭園の特別な夜、これ知っていますか?

浜離宮は濠に囲まれ往時の姿を留める、都内でも有数の規模の大名庭園。
ここは直接船でアクセスし、汐入の池の上でお茶を嗜み、そして雅楽の調べに耳を傾けながら月を見る

そういった、一般庶民とはかけ離れた
“将軍家の”水辺体験ができるむにみずべなのです。

むにみずべのポイント

鷹狩場から将軍家浜御殿、浜離宮へ

水に囲まれた浜離宮

家康の江戸入府当初、この辺りはまだ葦の繁った浅瀬で鷹狩りに使われていたようです
その後は江戸の埋立を進めるべく、藩邸を埋立地に作るようになり、ここも初めは甲州潘邸、後に将軍家浜御殿となりました。
こうして将軍家が持つ浜屋敷となったことで、水運とも密接に繋がっていきます


歴史ある水上からのアクセス

道路の舗装も不十分だった江戸時代、水上交通は全盛を迎えました。せっせと濠をめぐらした江戸城とは水で繋がり、家宣をはじめ将軍は舟で浜御殿に乗りつけたようです

将軍お上がり場

さらには、浜離宮の海側に行くと今でも残る石垣の一部が水面に向かって階段になっている場所があります。こちらその名も「将軍お上がり場」。
まだまだ陸上での長距離移動が大変だった時代、京都や大阪と江戸との行き来は船が使われていました。外海に近い浜御殿はその乗り場として使われていたのです。

名所江戸百景 芝うら乃風景
歌川広重 港郷土資料館蔵 右側が浜御殿


これが何と戦後、浜離宮を都立公園として運営すべく、貸ボートやテニスコートの整備等を進めた一貫で、1953年に水上バス乗り場が誕生。鳥羽伏見の戦いで負け、十五代将軍慶喜が江戸へ逃げ帰った際に使って以来の、船でのアクセスが復活しました。

今では、浜離宮と、浅草・日の出桟橋が、水上バスで結ばれています。こんな場所、船でアクセスせずにはいられません

ちなみに浜離宮を囲む濠は、あの河川の上に高速道路を通した、水辺界では悪名高き「高度経済成長期」の始まる前に、水面を含めて名勝・史跡として指定されたことで、守られて今に至ります。いやはやギリセーフでしたね。

御茶屋の浮かぶ汐入庭園

さてこうして守り抜かれた浜離宮庭園は、海水を導入した庭園で、干満の差により庭の見え方が変わるという、大変雅で金のかかる趣向を凝らした汐入庭園です。清澄庭園などもかつては汐入だったようですが、今でも汐入庭園として海水が繋がっているのはここだけです。

さらにこの池の中央に浮かぶ中島の御茶屋、将軍綱吉によって1707年に作られて以降、六代将軍家宣の時代には、公家が集まり和歌の会が開かれ、池に浮かべた舟の上で雅楽演奏も行われるなど、将軍プレゼンツ浜御殿イベントの中心にありました。

こちら東京大空襲で焼失したものの、1983年に再建され、今では超雰囲気最高の抹茶と和菓子のセットを嗜める、東京のベストオブむにみずべとして君臨するまでになっております。
そんな浜離宮は、梅、菜の花、桜、藤、等々季節ごとに様々な顔をみせますが、最高に輝くのが月見の夜です。


浜離宮でお月見散歩

満月をかたどった上生菓子

訪れた2023年10月28日は、透き通るような快晴で、月もくっきりと美しく輝いていました。深い緑に覆われた浜離宮にいるとより月が綺麗に見えます。

中島の御茶屋で、限定のお月見セットに舌鼓を打っていると、どこからともなく、

ふぁ〜〜〜〜〜ん

と、雅楽の調べが聴こえてきます。
かつて将軍が催した船上雅楽の船がゆっくりと御茶屋に近づいてくるのです。

これがまた良い。まぁ刺激的なイベントでは無いんですが、心地よい月夜に抹茶飲みながら、池に浮かぶ船上雅楽をぼーっと眺めていると、人は幸せを感じるようにできているのかもしれません。

何と今年2023年は、こちらのイベント明日10/29(日)まで開催、明日天気は晴朗、波も低いでしょう。(波は知りませんが)

ぜひ船で乗りつけて、将軍の遊びをお楽しみください。

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