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むにみずべ 東京番外編 アーティゾン美術館 ここへきて やむにやまれぬ サンサシオン

唯一無二の水辺体験をお送りしているところですが、圧倒的に面白い展覧会に行ってしまったので、ご紹介します。

これがまた。日々むにみずべの記事を書く中でももやもや思っていることが、日本美術を牽引する画家、現代美術家の山口晃さんの作品の中で滔々と語られており、腰を抜かし、初めて展覧会で図録を買うに至りました。

美術はど素人なので、自分が考えたことだけ書きたいと思います

これまでの最高美術館体験

トレチャコフ美術館(ロシア/モスクワ)

これまで人生最高の美術館体験は、はるか10年前にモスクワ短期留学した時に行ったトレチャコフ美術館が君臨し続けていました
右も左もロシア語も分からない中で、ひょんなことから出会ったロシア留学中の日本人博士課程のお兄さんに一緒に行こうと誘われ、初めてまともに絵画を見に行くということで、前日にロシア絵画史を一通り勉強しました。

その甲斐もあって、見るものすべての解像度が高く、
あ、これがあの作品か、これがロシアのモナリザか、と最初から最後まで楽しみ尽くしたのを覚えています。
というか、以降こんな真面目に勉強してから観に行くことがないので、10年間君臨し続けたのだと思います。


3つの印象深い作品

そんな中でも印象に残ったのは、

アイヴァゾフスキー 「黒海」
トレチャコフ美術館所蔵
クインジ 「ドニエプルの月夜」
トレチャコフ美術館所蔵
アルヒーポフ 「帰り道」
トレチャコフ美術館所蔵

ほんとこれだけでも1日語れるくらい好きな作品たちで、
アイヴァゾフスキーの描く海の透明感も、クインジの描く光の鮮やかさも、アルヒーポフの描く少年の語る背中も、何度話したかわかりません。

アイヴァゾフスキーとクインジは大変有名な画家で、事前の勉強時に知っていたので、出会った時も「やっと会えた!」という感じでした。そして満足感でおなか一杯になって、ふらふらと小さめの絵画が飾られたゾーンに来ました。確か部屋に入ってすぐ、入口の右側にあったように思います。

衝撃でした。絵だけを見たときは、特に特別だとは思わなかったのですが、絵のタイトルを見た瞬間、故郷に向かって荷馬車に乗る少年の背中から、あぁ帰り道なんだなと実感しました。長く離れていた実家の前に立った時、こんな背中をしているのではと思います。

まっっったく関係ない話をしてしまいましたが、こんな素敵な思い出から10年。ついに上回る体験をしてしまったのです。


ここへきて
やむにやまれぬ
サンサシオン

5・7・6なのに、物凄い語感も良い。
ンの音がリズミカルだからなのか。

東京圖

東京圖 山口晃
作家蔵


まずは巨大な作品、東京圖にくぎ付けになりました。チラシにも出ているこの作品。
ムニは無類の地図好きですので、明治や江戸時代の古地図なんて渡されたら文字通り日が暮れるまで見続けると思いますが、そんな地図好きの琴線を、くすぐり上げてきました。
東京タワーがそびえる現代の風景かと思いきや、浅草十二階が立ち、その下では太鼓橋の日本橋がある。高層ビルや、東京駅の屋根は瓦葺。はて、そうするとこれは未来か

あれ、住んでいるところはどうだろう?この場所は今のどこだろう?てかどの時代だろう?

地図を眺める時、頭の中でストリートビューしたり、現代の地図と比べたりする訳ですが、そうした妄想が全て地図に描かれている
面白い。最高でした。

日本橋南詰盛況乃圖

日本橋南詰盛況乃圖 山口晃
作家蔵

そしてこちら。さっきの東京圖でも日本橋が描かれていましたが、こちらはより詳細に、川も首都高も超えた巨大な太鼓橋がそびえています。なんだこの面白い空間は。
そして作品中に散りばめられた水運の風景は、そのどれもが実現していれば、むにみずべ間違いないやつばかりです。


趣都

趣都 山口晃
月刊モーニングツー 作家蔵

極め付けはこちら。月刊モーニングツーにて連載された漫画作品です。

日本橋の上にかかる首都高高架が持つ役割
レンガで作られた日本橋と、オリジンの木造太鼓橋、「日本橋の空を戻す」とはどういうことなのか。

昭和初期のような服装の登場人物たちが軽快に語っていく中では、ムニも日々思うことがより鮮明に、より説得力を持って描き出されていました。
2階レベルに張り巡らされた水路、首都高高架をさらに越える太鼓橋の新日本橋など、学生コンペ顔負けの発想力と、圧倒的な表現力でこの世界に行ってみたくなりました。

こんな太鼓橋も水路も、信じられないくらいの金がかかるはずです。でもそれが素晴らしい、ぜひ実現したいと1000万人くらいを思わせられれば、それは実現しちゃうのです。

むにみずべを作りたいと思いつつ、今のところ良さげな事例を伝えるのに終始するこのブログも、やはり考えがあるなら、もっと表現していかないとなと通感しました。

という訳で、きたる提案のチャンスに向けて、素晴らしいむにみずべの調査も続け、引き続き手札を増やしていきたいと思います。

展覧会は下記、11/19までですのでお早めに!!!!

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