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むにみずべ 神奈川編02 横浜-東京間夜景クルーズ

横浜で遊んで、船で東京に帰る。破格で魅惑のこちらのクルーズ。知っていますか?


「はやすぎる」鉄道で消えていく船

ポントカサステ水路橋をいくナローボート
英国最強すぎる、、

産業革命を始めたイギリスでは、
運河全盛の時代が長く、国中に張り巡らされた水路は今でもナローボートの行き交う最強のむにみずべを生んでいます。

対する日本では、
明治初頭に蒸気船の時代が来ると、江戸と郊外、京都大阪等を結ぶ舟運は全盛期を迎えます。
しかしそれも束の間、はやすぎた次なる新時代の到来によって軒並み廃止に追い込まれていきました。

鉄道の時代です。

そんな日本で、最初に舟運と鉄道が競合した場所こそ、東京と横浜を結ぶ京浜蒸気船です。


徒歩ツラ過ぎて、船に希望を見た宿屋

御免神奈川横浜行蒸気早船所 
横浜開港資料館蔵
稲川丸のチラシ(引き札)

1858年に開港された港の一つが、横浜です。急速に国の表玄関に急成長すると、当然江戸との行き来も増えました。

とはいえ、歩くと江戸から約30km。当時の健脚な皆さんでも流石に嫌になってきました。

そういえば、大学受験が終わった後、圧倒的な運動不足を感じ、まさに皇居から横浜中華街まで半日かけて歩きましたが、たった1回で嫌になりました。

ここでピーンッと来た横浜の旅館、鹿島屋亀吉と、江戸の廻船問屋、松坂屋弥兵衛。政府蒸気船の払い下げを受け、初の蒸気船航路を開設しました。

3時間で横浜と東京の永代橋を結ぶ稲川丸は、夢の船でした。
(30km3時間ならマラソン選手のが速いですが…)

さてそんな夢の稲川丸も、
新橋横浜間に開通した鉄道の前に為すすべなく、ここに京浜蒸気船航路は消えました

高輪鉄道之図 明治4年 月岡芳年
まぁ確かにこれは乗りたくなりますね。

しかし。

いつの間にか、あらぬ角度から京浜航路が復活していました。それこそが、東海汽船による東京湾夜景クルーズです。


東海汽船による破格のクルーズ

電車や道路の発達した東京湾は、ほぼ定期船航路が消滅しました。(東京湾フェリーや猿島航路くらいでしょうか。)

そんな中、東京湾内の汽船会社を統合して生まれた東海汽船は、千葉から東京、神奈川、静岡に至る、東京湾をぐるりと囲む圧倒的なネットワークを持ち、日々夢と希望を運んでいます。

そのうち、土日だけ伊豆諸島からの帰路便が横浜に寄り、横浜から東京へのクルーズができるのです。
しかも冬季は大体、1,000円! 
5月も1,200円!!
(キャンペーンによりますが。)

これは行くしかない訳です。


いざ東京へ 横浜出航

では、京浜航路スタートです。

大桟橋から出発
うねる大桟橋と横浜

横浜の出港地は、大桟橋。メリケン桟橋と呼ばれた桟橋が建て替えられ今に至ります。
うねる様なデザインも大変素敵なのですが、詳しくはまた別の機会に。

動き出してすぐ振り返ると、
横浜が港町である事を実感します。
150年前もの間、海から人を迎え、送り出してきたので、街が海を向いています。

海を向く横浜

さて、すぐにハーバーブリッジが近づいてきました。
道路として横切るのもかっこいいですが、やはり港の入り口にかかる橋は、船でくぐるゲートとしてこそ、その真髄をみることができます。

そびえ立つ2本の主塔

これぞ、現代の横浜出航です。


ガントリークレーンの生息地

ハーバーブリッジの外側には、摩天楼や遊園地のような人間の姿はなく、ガントリークレーンの住み着くコンテナ埠頭が広がっています。

かつて内湾まで入ってきていた貿易船は、コンテナの導入と大型化で、より沖合にあるコンテナ埠頭に接岸するようになりました。
何とも世界経済を感じる場所です。

しかししばらくすると、より一層世界との繋がりを感じる場所が近づいてきます。
羽田空港です。


羽田空港を飛び交う飛行機

手前がD滑走路ですね

2023年の混雑空港ランキング、羽田空港は世界第3位でした。海上のD滑走路も駆使し、道理で飛行機の往来が止まりません

飛んでいる飛行機がどこ行きかを見るアプリは有名ですが、端末のマップ上に出るマークではなく、船からは目の前で無数の飛行機が飛び交う光景が見え、誰しも興奮を覚えるでしょう。

時には船スレスレに着陸直前の飛行機が横切り、前も後ろも、上を見ても巨大な飛行機だらけです。

羽田を通り過ぎ、再びガントリークレーンが見えてくるとその先には、東京が見え始めます。


東京帰港

もう東京に延べ20年以上住んでいるものの、一度も登ったこともないのに、東京タワーやスカイツリーを見ると、帰ってきたなと思わせるのだから、風景を作る仕事は素敵です。

羽田を過ぎたあたりから、ちらちらと見えてきた2つの塔。輝く夜景の手前には、お台場のレインボーブリッジも見えてきました。

そして竹芝桟橋まで来ると、
目の前には永代橋

そう、かつての京浜間蒸気船も、ここ永代橋が起点でした。
ちょうど同じ場所に辿り着く現代の京浜間航路。背後にはスカイツリーも見え、東京を感じさせます。

以上、日本で最初に鉄道と競合した京浜間蒸気船を辿る、東海汽船の東京湾夜景クルーズでした。
都市間を船で行き来できる、こんなにも破格のクルーズは珍しいのでぜひ行ってみてください。


Information

東京湾夜景クルーズ
Tokyo bay Starlight Cruise

From Yokohama to Tokyo, it was one of the first cruise route in Japan. Although the cruise route was closed after first railway opening between Shinbashi (Tokyo) and Yokohama, we can enjoy the same cruise by reasonable price.

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