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むにみずべ 京都編01 伏見十石舟

ついに来ました京都編。
大阪と結ばれた、京の都の川湊(かわみなと)。
これ知ってますか?

唯一無二の水辺体験=むにみずべ
京都に無数にあるむにみずべ第一弾は、伏見です。

秋、紅葉の中を行くのも素敵。
NPO法人 伏見観光協会より


むにみずべのポイント

京の都の川湊ですからね、その圧倒的な歴史的面白さこそがポイントです。


天下のタヌキおやじにド突かれる

方広寺の梵鐘

タヌキおやじと名高い徳川家康ですが、イチャモンレベルが圧倒的天下スケールのタヌキエピソードといえば、方広寺の鐘でしょう。

詳細な経緯は今でも研究中ですが、
地震で崩れた方広寺の大仏殿を豊臣秀頼に再建させたのが始まりです。
そこで鐘に刻まれた「国家安康」の文字が「家康」の文字を分断している、こりゃ呪詛だっ!ということで、
最終的に大阪城の秀頼を攻め落とします。
もはや全くもって意味不明で絶対に同時期を生きたくない人No.1と言っても良いでしょう。どうなってんの家康。

さてさて。その方広寺の再建には、物資の輸送が必要でした。ちょうど近くを流れる鴨川で運べばよいのですが、鴨川と言えば1000年も昔から有名な暴れ川
それは1086年(んせいやろー)で有名な白河法皇が発表した、「三大思い通りにならんもの(天下三不如意)」に挙げられるほど。

穏やかな時もある鴨川

やっぱ暴れ川の鴨川で運ぶのなんか怖くな~い?ということで、鴨川の横に新しく高瀬川を掘っちゃいました
水深僅か30㎝と、千円札2枚分の深さしかない川でしたが、底の浅い高瀬舟を使い無事に方広寺の再建は完了。こうして、後にタヌキおやじにドつかれる鐘もばっちり完成してしまいました。

浅すぎてアオサギは普通に川に立っています

高瀬川は、二条大橋付近から京都の南、伏見という場所まで続き、宇治川に合流します。この伏見こそ、遠く大阪につながる京都の表玄関だった場所です。


太閤印の伏見港 

時代は遡り、まだタヌキおやじがサルに頭が上がらなかった頃。「安土桃山」という時代の名前にもなった「桃山」は、秀吉の住んだ伏見城を指しています。
伏見城は、宇治川のほとりにあり、大阪と琵琶湖を結ぶ舟運を押さえようとしていたのでしょう。城下町として港町として発展をしていきます。

大阪や琵琶湖と結ばれた伏見では、その後高瀬川で京都市内と接続する舟運が発達、さらにさらに明治には濠川を通って琵琶湖疎水とつながるルートも開通しました。
舟運という最新最速の交通機関のための、千年の都京都の新しい玄関口として生まれた伏見の川湊は、さながら新幹線駅として誕生した、新大阪駅や新横浜駅のような存在だったのでしょう。


竜馬愛用の三十石船

江戸期には大阪と京都伏見が三十石船で結ばれました。京都伏見から大阪八軒屋浜までの下り舟は夜発朝着の夜行便もあり、その速さは当時としては画期的でした。ちなみに上り舟はまさかの人が綱で引っ張る仕様。その距離44㎞。
想像を絶する辛さなのではないでしょうか、、

新大阪駅にホテルが立ち並ぶように、伏見にも三十石船に乗る旅人のための宿が並びました。寺田屋といえば、かの坂本龍馬が襲われ、入浴中だった奥様のお龍(おりょう)が生まれたままの格好で2回に駆け上がり襲撃を伝え、命からがら薩摩藩邸に逃げ込むという事件のあったお宿として有名ですが、こちらも伏見の船宿の一つです。坂本龍馬も三十石船のヘビーユーザーだったのでしょう。

実は今でも泊まれちゃう寺田屋。長い歴史の中でも、きっと未だにお龍より速く裸で2階に駆け上がった人はいません
※志士に襲われたとき以外は、新記録に挑戦はしないでください。


長い歴史が織りなす絶景

鉄道開通とともに衰退した三十石船・十石舟ですが、地域の想いを背に1998年に十石舟が遊覧船として復活しました。
これがまた。あまりにも綺麗なのです。古い港なので、木造の倉庫群が川沿いに連なり、盛んだった酒造の蔵は焼杉板壁の黒と、漆喰の白のコントラスト

そして春には、上を見れば桜のトンネル、下を見れば花筏と、圧巻の桜が迎え、秋には紅葉が彩ります。

まだムニは桜の時期しか行ったことがありませんが、実は一番気になっているのは、夏の夜辨天祭という伏見でのお祭りで、かつて船上でかがり火をたいて盛り上がったお祭りを今に復活させようという取り組みです。2016年以降の開催は確認できませんでしたが、ほぼ確実にむにみずべになりそうなので、
ぜひ復活してほしいですね!

辨天祭・舟渡御(ふなとぎょ)復活プロジェクト
伏見経済新聞 2016.07.14 より


都市間舟運への夢

ケルンも橋のふもとからフェリーが出ます
ライトアップがほんと上手
バンコクから船でアユタヤへ

世界にはまだいくつか都市間を結ぶ内陸水上交通が残っていて、人気の観光スポットになっています。
ヨーロッパのライン川(ケルン〜ボン〜コブレンツなど)やドナウ川、アジアではタイ(バンコク~アユタヤ)などです。

今、大阪ではこの都市間舟運への夢が大いに盛り上がっています。それこそ大阪夢洲に爆誕予定の万博会場と京都伏見をつなぐ、淀川舟運の復活です。
※淀川とは宇治川の大阪府内での名称です。ちなみに琵琶湖から滋賀県内では瀬田川と呼ばれ、名称が2回変わります。

なにやら淀川の水深が浅く、困難を極めているそうですが、何とも実現してもらいたい夢のような計画です。完成後には必ずやオーバーツーリズムの波が襲ってくるほどの世界的ポテンシャルを感じます。

なお現在の十石舟でも、単なる遊覧ではなく、三栖閘門で一度上陸して散策できるのも面白い部分です。なかなか日本の遊覧船で途中どこかに上陸できるのはありません。

三栖閘門で上陸


今後もどんどん面白くなりそうな必見の伏見。今年の十石舟は12月中旬までの運行です。そろそろ紅葉の時期が到来。ぜひ行ってみてください!

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