医学部という変な場所。

 学校は試験点数の高い人が評価される場所です。
私たちは小さいころからいい点数を取ると褒められるという環境で育ってきました。その影響か,医学部ではいい成績をとることに誇りに思う学生がいます。私の立場では,単刀直入に言いますが,学業ばかりに没頭する人は逆に頭が悪いように思います。
 そもそも勉強をするために学校に入学しているので,それはそれでいいと思うのですが,社会に出て働いた&働いている私の立場からすると違和感ばかり感じます。

 私にとっての最も大きい違和感は,社会人として働く能力と医学部で学ぶ能力は全く別物だということです。もちろん医療を行う上で医学的な知識は必須です。しかしながら,医学部という集団の中での教育は,集団全体の医学レベル向上を目的としていて,集団内での医学的知識レベルの差は微々たるものです。ましてや,私の所属する大学の試験は,教育者の優しさもあってか過去問をベースに作成してくださります。したがって,試験における点数での評価に差が生まれません。
 社会人になると,過去のサラリーマンや現職の薬剤師も含め,対人折衝能力,コミュニケーション能力,協調性,気遣い等,大学での教育と全く異なる能力が必要です。そして,どんなに学業的に優秀な方よりも,こういった社会人として求められる能力に長けた人材の方が信頼されるものです。
 私が思うのは,医学的知識のレベルの差に大きな差がつかないこと,ある分野に特化した専門をもつ等でなければ,学生時代には学業に没頭するよりもアルバイトや医学以外の勉強等の様々な経験をすることの方が重要だということです。もちろん,学業に没頭されている方もその忍耐力と興味関心は大切にすべきです。ただ,社会で求められる能力は大学以外での経験で身に付ける必要があることは念頭に置いた方がいいでしょう。

 医学部に所属する方は,学業的に優秀な方が多いですが,それに比例して視野の狭い方が多いように思います。臨床に出るともっと身につく勉強をすることになるので,今のうちに社会人ではできない勉強,遊び,いろんな経験をしておくといいと思います。
 以上,最近よく思っている備忘録でした。

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