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橋下徹 「実行力」

結果を出す「仕組み」の作りかた
38歳で大阪府知事に就任し、数々の改革を成し遂げてきた橋下徹氏。
大阪府庁1万人・大阪市役所3万8千人の職員、組織、
そして国をも動かして結果を出してきた秘訣とは何か
年上の部下や並いる反対派をいかにして説得・掌握し、
大阪の大改革へと舵を切ったのか、その手腕を初めて明かす。

●「敵」はあえて側に置く 
●リーダーと現場の仕事の切り分けかた 
●チーム作りの「失敗の本質」
 ……など、自身の経験や例を挙げつつ、具体的に解説。

部下と上司を動かし、チームや組織を変える。今の時代に一番必要なのはアイデアではなく「実行力」だ。橋下流「君主論」の全貌。

※2019年5月29日 PHP新書より出版 

大阪に生まれ、大阪で生きていく上で、この人の名前は外せないです。

言葉通りの実行力で、大阪を中心に、政界を駆け抜けた橋下さん。
TV番組「行列のできる法律事務所」時代では、チャラそうな髪型と発言でお茶の間を沸かせていた橋下さん。
語りつくせぬ実績と、経歴のあるこの方の著書「実行力」を読んでみました。

第1章 まずは、人を動かす
実行のための人間関係、人事の要諦 

始まりは、人との付き合い方についてです。
いきなり数万人もの巨大組織のTOPに立つ事になった橋下さん。
信頼関係の構築や、人の見極めをしていると、あっという間に4年という任期を終えてしまいます。
部下の管理の仕方、目の届かせ方を徹底できるのは、多くて精々10人。
一般的には5人ほどです。
どれだけ優秀な人でも、100人の部下に直接指示、管理なんて出来ないです。

全員と触れ合うことは無理だが、全員を動かし続けないといけない。
そんな橋下さんの行動は良い意味で、人材登用に対して非常にドライです。大きな期待を持たず、適した仕事を配置し、動いてもらい、ダメだったら交代してもらう。この考え方を徹底しています。

また、反対勢力意見をとても大事にしています。
周りが全てイエスマンだと議論の発展が生まれません。どんな場所でも、反対意見への徹底したヒアリングの重要さを説いてます。良い物を作るには、やはり沢山の意見や議論が大事です。

地方行政教育法(政治は教育に介入できない)のエピソードはとても面白かったです。やっぱり改めて公務員って、クビにならないんだなー。

●第2章 本当に実行すべき課題はどう見つけるか
橋下流・問題解決のノウハウと、マインドの持ち方 

現場の仕事とリーダーの仕事の仕分けを説いてます。リーダーは実務に口出しをしない。
リーダーが向き合う点は、現場で盲点となっている、落とし穴的課題を見つけること。

リーダーが専門家になってしまうとOUT。
物事を、全体的に学び、専門職でなく、リーダーとしての学び方を取得しないと、専門家、現場の仲間入りをしてしまう。そうなると現場の人間と一緒に、問題に気づけない。知識のつけ方から違うんです。

また、問題点には大小があります。全て一つ一つクリアするでなく、大きなことから、まずクリアしていく。その工程の中で、部下に判断の一部を預けていく。そうすれば、自ずと小さな問題も、部下の方で完結してクリアしてくれているものです。
それでも上がってきた難題は、どっちに采配を振っても良きも悪きもある。TOPは判断してあげる仕事なので、そのマインドが大事と説いています。

●第3章 実行し、信頼される人の条件とは
部下は結局、上司の背中を見て動いている 

大阪を変えていく初めのプランとして、まず大きな変革が必要でした。
いきなり政治に参入した橋下さんにとっても、改革の狼煙をあげていく為に、その背中を見せていく必要があったのです。

その代表例が、大阪城庭園モトクロス大会でした。
民間企業であるレッドブルの提案を一緒に押し通し、今まで不可能とされた場所でのイベント開催は、世界に向けての大きなPRになりました。
その上で、安全面にも完全に配慮して、太閤秀吉の遺構ももちろん守りきっています。 
このイベントは、来場者の満足度も高く、大成功を収めました。民間企業としてのレッドブルとしても、収支ともに大満足です。結果的に、両得の関係を成し遂げたのです。

民間にできることは民間に。その風潮を組織内で作り上げたのです。

その後の大阪では、
「御堂筋にF1カーを走らせる」イベントや、「中之島公会堂でのドリカムLIVE」など、今まで起こりえなかったことが数々実現して行ってます。

物事は、一度成功すると、もう一度やりましょう!が集まる
風潮や、各自のマインドが変われば、部下は自走する。
やる気を出すきっかけを作ったのです。

道を切り開き、階段を駆け上がり、その景色を一緒に体感する共感力こそが、信頼関係の構築と、熱量の高い組織づくりの実現への最善手なのです。


●第4章 実行のための「ビジョン作り」と「チーム作り」
結果を出す「仕組み」はこう作る 

ビジョンづくりは逆張り。
上手くいってないことは、先輩や過去のOBの顔を伺うことなく、これまでの方針の全否定からSTART。
日本全体、人口減少にある最中での大阪経済は、人口が増えなくても発展する都市づくりが必要でした。インバウンドに舵を切るきっかけは、逆張りの考えから産まれています。

また、普段からコメンテーターとしての習慣は残していたようで、メディアのちょっとしたNewsでも、自分ならこう答えるな。などのイメージは大事にしていたようです。
その心は、他人事でなく、当事者意識を持つこと。これは全ての方にあてはまるテクニックなので、僕も今日から始めてみようと思います。

また、チームづくりは道標と原動力の例として、
トランプ大統領へのリスペクトが綴られています。

例を出すと、トランプ政権のビジョンや方針の中で、法人税率を世界最低水準にしたこと。
かつて誰も実現できなかった大減税を達成するまでの工程や、中国製品に対しての関税を25%まで引き上げた貿易戦争などが分かりやすく解説されています。
6000もの規制緩和を実現させた背景として、「1個の規制を作った際は、2個の規制を緩和しろ」「達成しなかったらペナルティを与える」と言って回ってたそうで、このシンプルな指示系統は、グサッと刺さりますよね(笑)

部外者の政治参入だからこそアメリカの変革ができたことに対して、自分との共通項の多いトランプ大統領に、橋下さんはなにか想うことは多かったのでしょうか。


●第5章 上司を動かし、提案を通す
「トップの視界」を想像しながら仕事をする 

ダメだし人間ばかりする上司は「❌」です。
とはいえ、部下もひとつ上の立場や、枠組みを想定して行動しないと、進歩がありません。

部下へのアドバイスとして、横の部署の繋がりも大事と説いてます。
新しい角度を体感することにより、TOPの景色を想像できるからです。

また、どうしてもやりたい仕事があった時、
反対されてもやりたいときは、
「それでもやらせてください、お願いします」がいいそうです。
やりたいんです!にロジックがあれば、大体のことはトライさせてもらえるものです。
これは上司に関しても同じですよね。部下が大正論をぶつけてきてて、明らかに向こうに理が合っても、最終的にはどうしてもお願いすれば、部下も動いてもらえるものです。泣き落としというやつでしょうか(笑)

また、余談ですが、通したい意見や提案資料は、ミニマムでなるべく一枚にまとめることを推奨しています。公式の場での資料って、どうしても分厚くなってしまうからでしょうね。


●第6章 情報を制する者は、組織を制す
強い組織は、情報共有の横串がしっかり入っている 

知事時代に新しく始めたこととして、部下への一斉メールを始めたエピソードが書かれています。
理由は、落とし込みの幅を広げる事により、自分の考え方や、どんな思考方法で行動してるかを浸透させていくためだそうです。

それまでにあった、「知事はお殿様」のような扱い(ペンを探してるだけで、隣の部屋から何人か駆け込んできた。電話をかけると言えば、受話器を持ち上げてくれる人がいた。などの分かりやすいエピソード付)を変える為に行ったようです。知事から直接メールが届いた部下たちは、最初は驚いたでしょうね。

また、大きな組織ともなると、やはり情報が共有されないリスクが沢山出てきます。そういう「まずい情報」を組織的に出しやすくして、危機管理を強化していく。
その際には、上がってきた報告に対して、上司は「現場で対応しろと言わない」などのルールも設定したそうです。

情報を制するものは勝負を制す。これはいつの時代も同じことですね。


●第7章 日本と大阪を「実行できる組織」にするために
徹底的に考え抜かれた大阪都構想の実行プロセス

第6章までが橋下さんが歩んできた道の話ですが、最終章では期待を込めた
・大阪都構想
・政治行政の仕組み
・万博誘致
のことが語られています。ここは是非読む事をお勧めします。今も続く、未来のお話です。

所感

読み返してみて、面白かったです。
僕は、これからも大阪に住み続けていくつもりの人間なので、もっと大阪の政治や行政も学ばないとな。と思うキッカケになりました。


余談
橋本さんの徹底討論(バトルシリーズ)では、この桜井誠(大嫌韓の人)とのやり合いが一番印象に残っています。久しぶりに見たけど、バチバチでした🔥


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