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【24日目】『オカネフリーパス』ボタン、押しますか?(オカネのトリセツ)

◆思考実験『オカネフリーパス』ボタン

 さて、今日はちょっとした思考実験をします。

 今、あなたの目の前に一個の押しボタンがあります。このボタンを押すと、とあるチケットが一枚出てきます。押しますか? という実験です。

出てくるチケットは

『オカネフリーパス』

というチケットです。

 この『オカネフリーパス』とはどういうものかというと、このチケットを持っている人は、一切のオカネを持つ・得ることができなくなります。たとえ一円たりとも、オカネを持つことができません(貨幣を掴むことはできます、所有権が発生しないだけです)。

 また、このチケットを持っていることを隠すことはできません。どういうわけか、あなたが「チケットの所有者」だということは誰の目にもわかってしまうものとします。(多分アタマの上にずっと浮いているんだと思います)。
 ですので、あなたがどんなに「オカネがほしい」と思っても、銀行にも一円も入りませんし、誰かにもらうこともできません。

◆オカネが「必要なくなる」

 ただし、です。このチケットの効果には、続きがあります。

 もしあなたが「オカネが必要な場面」に出くわしたら、

支払う必要がなくなる

ものとします。

 ……もう一度書きますよ。オカネを払わなければならない場面で、オカネを払う必要がなくなるんです。

 お金を払う必要がない……つまり、どんなに高級なレストランへ行っても、タダで食事ができる、ということです(お連れ様の分もオッケーです)。

 もちろん、マリーナへ行ってクルーザーを「もらう」事もできます。その管理に必要な人を探してお願いすることもできます(無料です)。そのクルーザーで、毎週末に仲良しグループを引き連れて沖合に出て、釣れたての魚をその場で寿司職人にお寿司にしてもらうこともできます(無料です)。

 また、高級ブランドのお店に入って、マネキンが着ている服を全部自分が着て帰ることもできます。支払いはいりません

 ほかにも、スーパーやコンビニで好きなものをかごに入れて、そのままマイバッグに移し替えて出ていってもオッケーです。

◆『オカネフリーパス』がある生活

 もちろん、働くこともできますよ。面接を受けて、好きな会社に就職することもできます(面接に落ちることは普通にあります)。お給料はもらえませんけど。

 会社を起こしてもいいですよ。ただし、会社で必要なものはフリーパスにはなりませんので、経費で買う必要があります。会社の経費はあなたの資産にはなりません。それに会社が儲かっても、自分には報酬は入ってきません。

 つまりどれだけ働いても、お給料や役員報酬、権利収入などは入ってきません。ただ、市中のオカネを右から左に流すことだけしかできないのです。それでも、それが「楽しい」のであれば、働くことができます。

 もちろん働かなくても(多分)生活には全く困りません。病院にもかかり放題だし、なんなら学生にもなれます。学費も免除です。各種税金や保険料も無料です。

 この状態が、一生続くものとします。そういう『オカネフリーパス』を得ることができるボタンです。

 ボタン、押しますか??

◆僕たちが本当に欲しがっているものは何か

 実際問題として、大抵の人は「オカネ欲しい!!」と思いながら暮らしていると思います(そうでない人はすでに「ボタン」に近い暮らしをしているのかなぁと想像しています)。「欲しさ」も人それぞれ、喉から手が出るほど欲しいと思っている人もいれば、もうちょっとあればいいな、くらいに欲しがっている人もいるはずです。

 にもかかわらず、この『オカネだけが絶対に手に入らなくなる』という「オカネフリーパス」が完全に機能するのだとしたら、大抵の人は「ボタンを押す」という選択をするはずです。押すでしょ?

 つまりです、普段から「オカネ欲しい!!」と思っているにも関わらず、オカネが絶対に手に入らなくなるボタンを僕たちは押しちゃうんです。

 なぜか?

 僕たちが本当に求めているものは「オカネ」そのものではないからなんです!


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「ニンゲンのトリセツ」著者、リリジャス・クリエイター。京都でちまちま生きているぶよんぶよんのオジサンです。新作の原稿を転載中、長編小説連載中。みんなの投げ銭まってるぜ!(笑)