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【4日目】モトが「出現する・消滅する」原理(セカイのトリセツ)

◆ラバランプが揺れる夜に

 いきなり難しくなってきましたね……モトというのは『動かない粒子』です。にもかかわらず、モトは『物体の移動』を司(つかさど)っています。一見矛盾するこの二つの事実を、どうすればうまく説明できるのか……。

 ここで出てくるのが「ラバランプ」なんです。【1日目】で紹介したおしゃれなランプです。
 若い頃、アレの中で液体がグルグル対流して、内側が外になり、外側が内になり、また内側が外になり……というのを繰り返している様子を見て、僕はこれからする説明に突然気づきました。思いついた瞬間、アタマが爆発するかと思いました……すごい気づきだったんです。

 そのとき僕が何に気づいたかというと

三次元空間には『裏側』がある

ということです。


◆二次元の世界での「表側」と「裏側」

「裏側???」

と思ったでしょ……たしかに「空間の裏側」というのはちょっと難しい概念だと思います。ですので分かりやすいように、「三次元」をちょっと「二次元」に置き換えてみて解説します。イメージとしては「紙のようなペラペラした世界」の話です。

 紙には裏と表があります。今、この紙の「表」に棒人間を一人描きます。この紙がもし「世界のすべて」だとしたら、この棒人間にとっては「紙の表面」だけが知覚できる全てになります。棒人間は紙の表面の住人だからです。
 棒人間は、この紙の表面の好きなところに行くことができるし、表面に描いてある他の絵を見たり触ったりすることができるはずです。棒人間が「世界の表面を知覚できる」というのはそういうことです。
 ですが……この棒人間は、この紙の「裏面」を知覚することができません。まず「裏面」を見ることができませんし、さらにそちらへ行くこともできません。それゆえに棒人間は「裏面」があるのかないのかすら知りません。棒人間にとってはあくまで「表面」だけが世界の全てだからです。

 一方で、僕たち「三次元世界の住人」は、この「紙の世界」に表と裏があることを知覚できます。それはひとつ上の次元に住んでいるからです。ですから、裏面に別の絵を描いたりもできます。ところが、僕たちがどんな絵を裏面に描こうと、表の住人である棒人間は絶対に気がつけません。なぜなら、棒人間にとっては「表面だけが世界のすべて」で、裏面で起こっていることを全く知覚できないし、前述のとおり裏面が「あるのかないのか」すら知ることができないからです。表面で生まれた棒人間は、一生表面から絶対に出ることができないんです。

 ここで、この棒人間を僕たちに置き換えてみると……

 もし僕たちが今暮らしている「地獄世界」(=三次元空間)に

『紙の裏面にあたる場所』(空間の裏側)

があったとしても、僕たちには絶対に「知覚できない」ということです。先ほどの棒人間と同じように、僕たちにとっては今暮らしているこの『表側』の三次元空間が「世界のすべて」で、それこそ『裏側』なんてものが「あるのかないのか」すら知ることができないのです。
 そもそも「三次元空間の『裏側』」とやらをこの三次元空間内で「絵にする」ことができません。時空を超える現象だからです。


◆モトが「消滅する」のはなぜか

 これが『モトの話』とどう関係するかというと……

 前回書いたとおり、モトという粒子は「空間の特定座標に固定されていて、動かない粒子」です。もし三次元空間にギチギチに配置されたこの「動かない粒子」が本当に『素粒子』で、この動かない『素粒子』によって物体や僕たちができているんだとしたら、どういう理屈で「空間を移動」しているのか?

 いいですか? ここがモト理論のキモです。よく聞いてください。

 実は……モトという粒子は

空間の「表」と「裏」を移動できる粒子

なんです!(以下の図1参照)

図1:モトの出現と消滅モデル

 棒人間のたとえ話で書いたように、僕たちにとっては今いるこの【地獄世界】が世界の全てです。僕たちは地獄世界から絶対に出ることができません(上級編参照)。だからもし、この【地獄世界】の「裏側」で何かが起こったとしても、絶対に知覚できません。そもそも裏側が「ある」ことすら知ることができないんです(あなたも今日まで知らなかったでしょ?)。
 こんな状態で、今「表側」から「裏側」に目の前のモト粒子が移動したら……「表側」にいる僕たちからはどう見えるか?

 多分僕たちには

「モトが突然消滅したように見える」

はずなんです!!
 そしてもちろん、逆に考えると「裏側」から「表側」に移動したモトは

「空間に突如出現したように見える」

ということになるはずです。


◆モトあつめができる「根拠」とは

 シリーズ『モトの話』では入門編の最初の方から

  • モトは消滅することがある

  • 二番目のモトあつめで、モトが空間に出現する

と書いてきましたよね。この説明はこんな、ものすごく高等なモトの性質を根拠にしています。モトが地獄の空間で「出たり消えたり」できるのは、実はこんなふうに

その場にありながら、空間の表と裏を出入りしている

から、なんです。
 これでひとつスッキリしましたね。モトが「消える」「出現する」のにも、ちゃんと『原理』というものがあるんです。

 さて……ここまででもかなり「びっくり」な内容だと思うのですが、まだまだ「びっくり」してもらいますよ………。
 実は前回から話題にしている「物体の移動」も、この「モトの消滅と出現」によって行われています。要は、物体の移動というのは、もともと物体がある座標のモトが、一旦消滅した上で、隣の座標に出現し直すことで行われています。だからモトは「物体の移動を司っている」んです。

 ……これまた「???」だと思うので、次回詳しく解説します。お楽しみに!


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「ニンゲンのトリセツ」著者、リリジャス・クリエイター。京都でちまちま生きているぶよんぶよんのオジサンです。新作の原稿を転載中、長編小説連載中。みんなの投げ銭まってるぜ!(笑)