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視野なんか狭くて良い

受け手に対して過度に配慮した表現が苦手だ。

「自分はこう思うけど、そうじゃない人もいると思う」ということをわざわざ強調したり、
「結局は人それぞれ、自分にあったやり方で」みたいに柔らかくまとめたりする表現のことだ。

こういうことを言う人は、基本的に優しい。
世の中には色々な価値観があることを理解していて、自分と異なる考えの人が不快な気持ちにならないように、伝え方に気を遣っている。

一方で、卑怯なやり方だとも思う。

何かを発信する以上、誰かを傷つけることは避けられない。
それを受け入れることが出来ないのは発信者としての弱さではないのか。

結局、視野を広げたつもりでも、すべての価値観を理解することなんて出来ない。
だから、保険をかける必要なんてない。
必要なのは、言い切る勇気と押し通す覚悟だ。

それに、広い視野で誰にでも寄り添えることが必ずしも良いことではないとも思う。あらゆる考えを考慮して折衷に折衷を重ねた意見なんて、何も言っていないのと同じだからだ。

濃密な対話というものは本来、発信する側も受け取る側も何らかの形で傷つくものだ。

あらゆる価値観を互いに認め合っている世界、たとえそんな世界があったとしても、そこに本当のコミュニケーションは存在しないんじゃないかと思う。


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