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最近の読書話、ありがとうkindle unlimited


 毎日頭痛と胃痛で、蒸し煮た白菜と鶏もも肉ばかり食っているが、読書は健康に続けている。

 kindle unlimitedで読めるものを中心に、時折まとめ買いして置いていた海外ミステリー(過去に何度か感想を書いたデュヴァインだ)や本屋で衝動買いしたつやつやカバーの小説を挟んで。iPadやスマートフォンで読む電子書籍に慣れるのはもう少し先かなと思う。

『樽とタタン』中島京子

 2024年、幸先の良い読書体験だった。小学校が終わってから母の仕事が終わるまでの間、家の近くの喫茶店に預けられた主人公「タタン」。文章に起こされた、おぼろげな記憶の連作。優しく、野心的で、深く心に効く物語。「ぱっと消えて、ぴっと入る」私はこの一文を胸に生きていくだろう。

『青い炎』貴志祐介

 少し前から、我が家に居座る異物。母に対処を促しても、弁護士に相談しても解決できない。ならば、自分の手で「強制終了」させるしかない。秀才高校生がもくろむ完全犯罪。地道に方法を模索する描写が「ああ、マジで試したんだろうな」とわかって面白い。
 だが正直、読み続けるのが辛かった。「最終的にどんな結末を迎えるつもりなのだろう」という青ざめた心で読み切った。若く青い主人公の一人称視点でストーリーが突き進み、一切の客観性が無いせいで、どうしても「いやむりむり怖い怖い!引き返そうや!頼むから!!」と頭を抱えてしまう。
 ニノが主人公役で映画化しているようだが、結末はそのままなのだろうか…?


『群青の夜の羽毛布』山本文緒

 セックスばっかしてんじゃないよ!!


『天上の飲み物』三浦しをん

 久しぶりに読む三浦しをん…この、こたつ布団に頭まで潜り込んだような安心感。Kindle singleというカテゴリーがあるようで、短編集から一編抜き取った短いお話。ワインと人を愛する魔物は、愛するものが時の流れに連れて行かれてしまうのがたまらなく悲しい。自分の血を与えれば、相手にも永遠の命を与えられるのだけれどーーー。

 永遠の命について考える。私は何も為せずに人生が終わることが恐ろしい。何かを生み出すという観点から見たら、永遠の命も悪くないのではないか。私は妖怪になって、永遠の命をもって本を読み続け、文章を書き続け、絵を描いて過ごしたい。時間をかけて習得できる全てが欲しい。浅はかだろうか?


 今は柚木麻子の『butter』を読んでいる。これもkindleアンリミテッドだ。記者視点で長く物語が進むせいか、ルポルタージュを読んでいるような気持ちだ。この記事をちまちま書いている間にも、物語は思わぬ方向へ。続きが楽しみだ。

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