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批評&書評&音楽批評&散文

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#川上未映子

すべて真夜中の恋人たち/川上未映子書評

以前から気になっていた川上未映子作品を買った。
ありきたりの恋愛話だという感想があるけれども、ありきたりな恋愛がこの小説のテーマだろうし今の世の中、ありきたりな恋愛さえも手に入れることが難しい。本当はありきたりではないのだと思う。
人の巡り合わせはとても確率が低いなかで起きていて、その出会いを描くにはありきたりな物語とする以外にない。奇跡は感じるか感じないかだということ。

ヘブン/川上未映子書評

ヘブン/川上未映子書評

ラノベかという読み始めの印象。
いや、最後までライトなプロットではあるのだけれども、宗教的な要素が一部にある。「学校のイジメ」を赦しの原理にまで至らせている。
中学生が吐く台詞としては少し違和感があるけれども。
舞台設定が世紀末以前であるよりも00年代の現在にしたほうがよかったように思う。90年代の終わらなかった中学生たちと、今の「破滅するかもしれない国の中学生たち」では大きく違っていて、他者から

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