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【用語解説】ロジスティクスの基礎知識と戦略

 この間2021年7月1日に、日本郵便と楽天が「JP楽天ロジスティクス」という合併会社を新設するというニュースを目にしました。これはオープンな物流プラットフォームの構築を目指す取り組みです。

 このように ロジスティクスという概念は非常に期待されています!物流業界は、ドライバーの高齢化や人出不足、ネットショッピング増加とニーズの多様化による供給網の複雑化など多くの課題に直面しています。そんな状況下での特効薬が、ITやAIを活用した「ロジスティクス4.0」だと考えられているのです。

 今回の記事ではそんなロジスティクスの用語解説と課題、ERPとの関係について解説していきます。この記事はマルチブックnote編集部のElinが担当させていただきます。

ロジスティクスとは?

 ロジスティクス(Logistics)とは、商品を生産地から消費者に届けるまでの一連の流れの最適化を目指すことです。もともとは兵器や兵士、食料を輸送するだけでなく、必要な物資を必要な場所へ届けるよう計画・管理することを指す軍事用語でしたが、その後、ビジネス用語として使われるようになりました。

💡ロジスティクスと物流の違いとは?
 よくロジスティクスと物流(Physical Distribution)は同じものと思われますが、正確にはロジスティクスの中に物流が含まれます。物流とは「調達、生産、保管、輸送の流れ、回収」のことですが、ロジスティクスは経営的な視点から物流を「マネジメント」し、コストや工程の無駄をはぶく、需要と供給を見極める、自然環境や職場環境を改善するなど「最適化」をしていくことです。

ロジスティクスの目的

ロジスティクスの目的は何なのでしょうか?主に3つあります。

①物流の効率化を図る
ロジスティクスの目的の一つは、物流の工程を見直し、拠点を統合したり、大量輸送を推進したりすることで、業務の無駄を省き、省人化することです。

正確性を高める
材料や部品の供給の遅れによって生産ラインが止まったり、欠損・予定外の生産によって品切れが出たりすることがないようにすることも重要な目的です。求められている品が確実に顧客の元に届くようにします。

③在庫とコストを削減する
需要と供給を見極めて在庫計画を立て、在庫管理を徹底することはロジスティクスの大きな役割です。そして、不良在庫を削減することで、コストの削減を実現します。

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ロジスティクスが直面する課題

ロジスティクスが直面している課題は4つあり、これらは将来的により深刻になると考えられます。

・業務の複雑化と増大
 ITの普及によってロジスティクスは大きく変化していることを皆さんも感じていることでしょう。より利便性の高いサービス、多様な届け方が求められるようになりました。例えば、時間指定が厳密になればなるほど、積載効率が下がります。実際に、営業用貨物自動車の積載効率は1990年度約60%から2015年度には約40%まで低下しています。また、商品を気に入らなければ返品できるというサービスが普通になり、搬送側は今までよりも業務量が増加しました。

・ニーズの多様化
 これまでの、良いものを大量に作り、お店に置けば売れるという時代は終わり、商品の多様性が求められるようになりました。多品種少量消費の市場においては、限られたニーズを的確にとらえ、適切な商品を提供できなければ、多大な不良在庫を抱えることになってしまいます。

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・労働者の減少とコストの上昇
 日本は高齢化がすすみ、労働人口減少の問題からこのままのロジスティクスを継続・発展させていくことが難しいでしょう。高齢化と運送業で働く若年層が減少傾向にあることが相まって、トラックドライバー不足の深刻化が大きな課題となってきます。

・コストの上昇
 人手不足に伴い、物流コストが上昇します。輸送費は2010年以降上昇傾向にありますが、これは主にトラック運賃や荷役作業の費用が増加しているためだと言います。日本ロジスティクスシステム協会の「物流調査報告書」によると、2020 年度のアンケート調査において、回答企業のうちの83.0%が値上げ要請を受けたと回答しました。値上げを要請された主なコストの種類については輸送費と回答した割合が最も多く、荷役費がこれに続いているそうです。

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日本の課題

 日本は世界基準と比べて特に物流面の非効率性が目立ちます。財務省の「イノベーションに挑む日本のロジスティクス」によると世界における日本の貿易・物流の効率性の評価は12位となっています。日本の運輸・倉庫業における労働生産性はアメリカの6割と低く、人件費も高いです。

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 これまで、日本は顧客に対してカスタム化し、質の高いサービスや現場力、改善力でニーズにこたえてきました。しかし、これから直面する様々な課題を乗り越えるためには、客観的な指標に基づく在庫管理や高度な知識をもって標準化、効率化を目指す欧米型にシフトしなければなりません。

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ロジスティクスのデジタル化

 物流業界はベテラン社員の勘と経験に依存してきた労働集約型産業です。しかし、荷量増大と労働力不足に対応するためには、IoT、AIの活用は不可欠です。例えば、ロボットの活用やデジタルピッキングシステム、自動倉庫などの技術を活用していくことが大切です。

 また、物流業界のデジタル変革は物理的なものだけではありません。在庫データや発注・受注の処理などロジスティクス関連のデータを取得・蓄積することで、「より安全に・環境負荷を少なく・最適な方法で」人とモノを繋ぐ方法を実現するヒントを得ることができます。そうしたデータを調達・生産・販売・輸送などの部門間で繋げ、経営状況を可視化することで、情報を経営に反映していくことができるようになります。これらの一連の流れを共通のITインフラに構築することが必要です。

ロジスティックススマホ

 そのためには、弊社の提供するmultibookをはじめとした「ERPシステム」を導入することが良いでしょう。ERPとは、会社、組織内で分散されている「ヒト・カネ・モノ・情報」などの経営資源を一元管理するシステムです。例えば、ERPには在庫管理機能や販売管理機能ができ、他国など離れた場にある工場や拠点であっても正確にロジスティクスを把握することが可能です。

(multibookの機能を使えば、在庫管理や受注発注管理が一つのプラットフォームにでき、客観的な指標の確立ができます。multibookの機能詳細 ↓ )

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終わりに

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 ロジスティックスのデジタル化は、昨今のビジネス環境において必要不可欠な要素の一つでございます。弊社マルチブックは、自社開発したシステムのmultibookの提供やシステムコンサルティングを通してグローバル企業をサポートしております。ぜひマルチブックと共に、ロジスティクスの最適化に取り組んでいきましょう!興味を持ってくれた方はマルチブックにお問い合わせください。

<参考文献>
日本ロジスティクスシステム協会「物流コスト調査報告書」
weblio辞書「ロジスティクス」
KANTZU「ロジスティクスとは|物流業界を取り巻く大きな課題」
石居 岳「楽天と日本郵便が合弁会社「JP楽天ロジスティクス」を新設、めざすはオープンな物流プラットフォームの構築」Impress Business Media

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