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日本人の表現力とクラシック音楽

クラシック音楽は西洋文化、キリスト教文化の中で育まれたものです。
ヨーロッバの人々は生まれた時から協会で聖歌を聴き、歌うのが日常であり、クラシック音楽は彼らの血の中に流れ続けているのです。

ですから、日本人にはクラシック音楽を創っているメロディー・ハーモニー・リズムを理解することは本来難しいのかもしれません。

しかし、現在、世界のコンクールで優秀な成績を獲得する日本人が続出しています。そして、ヨーロッパの名だたるオーケストラのコンサート・マスターや首席・団員としても日本人は大活躍しているのです。

日本人は、古くは中国から、明治以降は欧米からなど海外の文化を輸入して独自の文化と融合し進化させることを得意としています。
多くの日本人演奏家がヨーロッパで学び、日本にその技術や精神を持ち帰ってきて伝承してきた先人たちの努力が花開いているのだと思います。

勿論、日本人が勤勉であることは演奏技術の面でも大きな強みとなっていたことも多く指摘されている通りです。
しかし、私は日本が古来から大切にしている文化が西洋のクラシック音楽の解釈や表現に大きく影響を与えているのではないかと考えています。

例えば、日本の和歌や俳句には、極めて短い単語を並べることにより、様々な情景を語り感情を表現しています。
日本人特有の「間」を読む、「行間」を読むという得意技も、クラシック音楽において極めて重要な、「楽譜に書かれていない作曲家の想いを読む」ことにおいて、大いに生かされているのではないかと思います。

日本人は本音や意見を言葉ではっきり言わないと言われます。                確かにビジネスにおいてはそれは日本人には不利な面があると思います。
しかし、自然の情景や人間の感情を表現する芸術においては、それは大いにプラスに働いているのではないでしょうか?

日本語には英語をはじめとした多言語にはない多様な情景や感情を現している言葉が多くあります。
特に、擬音語(キャーキャー、ザーザー、ドンドンなど)・擬態語(キラキラ、シーン、ワクワク)といった心情や情景を表す「オノマトペ」と言われる言葉が辞典にあるだけで4500語もあると言われています。
英語では1000~1500語、フランス語では600語と言われていて圧倒的に日本語では多く使われています。

雨の音だけでも、「ポツリポツリ」「しとしと」「ザーザー」「ごうごう」などとその言葉だけで振り方の程度の差が判るという素晴らしい表現力ですね。

辞書にないものも含めると1万語は超えると言われていて、さらにSNSの貼って観に伴い、短い言葉で多彩な感情を表現する若者言葉としての(びえん)オノマトペも増殖しています。

さらに言えば日本人は、SNSを使う際に、言葉では表現できない微妙な感情を「絵文字」で表現するという技を世界で初めて使い始めたり、LINEではスタンプを使ってさらに豊かな表現をするようになりました。

このように日本人は情景や感情を多様な方法で表現する能力にもともと長けているのです。                           それがクラシック音楽における表現力に結びついて、技術面での進歩に伴い海外でも評価されるようになってきたのではないかと思います。

クラシック音楽も当然進化していくものであり、西洋の文化に日本の文化を融合した日本独自の音楽がもっと作曲され、評価されて、世界中で演奏されるようになっていくことを望みます。

 

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