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ダンスのオーディション

オーストラリアからイタリアに来て、さらにクラシックとコンテンポラリーダンスを学び、その頃には20歳になっていました。これ以上は学校を続けるわけには行かず、そこから仕事を探す旅に出ました。

ダンスの仕事(コンテンポラリーでもクラシックでも)ってどうやって手に入るのかというと、オーディションを受けるのです。芸能関係などでは、よくあるのではないでしょうか。例えば、映画のキャスティングがあれば、その役を勝ち取るためにオーディションを受ける、同じです。

ただ、これにも色々と種類があると思いますが、主に2種類あり、まずはカンパニーに入る為のオーディションを受けるもの。次は、プロジェクトがあるたびにオーディションを受けるフリーランスなもの。


最初のカンパニーにオーディションを受けるものは、劇場などに所属しているカンパニーの一員になるためのオーディションで、受かれば大抵は長期の契約を結ぶ事となります。

カンパニーに所属すると、大抵は劇場があり、その場所で年間で公演しているものに出ることになります。勿論ツアーもありますが、大抵は自身の劇場で公演します。自分が最初に配属となったドイツのミュンヘンのカンパニーは、まさに劇場にあるカンパニーで、主な活動はコンテンポラリーダンスでしたが、ミュージカルやオペラ、オペレッタなどと言ったものにも出ていました。

カンパニーに所属したと言うことは、フリーより断然に安全です。契約も長く、色々な作品に出る可能性もあります。確かに全ての作品には出れませんが、選ばれれば何種類も踊る事ができます。経験を積むのにはいいと思います。


次のフリーの場合は、自分が常に動いていないといけません。つまり、自分でプロジェクトを探して、常にオーディションを受けるのです。

自分は日本で仕事をしたことがなくてわかりませんが、事務所などはありません。常に自分でフリーダンサーは履歴書などを作って送り、選ばれればオーディションに向かうと言う流れです。

やはりそうなってくると、自分の計画などを立てるのにかなりの時間を費やしたり、お金の出費が多くなります。(オーディションを受けるのにも移動しないといけないから)さらに、常に仕事があるわけでもないので、自分のコンディション管理は自己責任です。


カンパニーに所属していれば、常にトレーニングがありますが、フリーの場合はそうはいきません。自分で常にモティベーションを上げて、行動にうつさないといけないのです。

ただし、フリーのいいところは自分で好きなプロジェクトを選べると言うところ。最初は難しいかもしれませんが、本当にやりたくないものは選ばなければいいのです。まあ、現実はそう甘いものではないので、やりたくないものもやり、経験を積むべきだとは思いますがね。


と言うところで、自分は先ほども書いたように、ミュンヘンのカンパニーに入ることとなりました。それまで1ヶ月以上、ヨーロッパを放浪して、オーディションを受けまくり、なんとか自分と合っていそうな場所に巡り合いました。

ここで言いたいのは、「自分の行きたいところよりも、自分に一番合っていそうな場所を探して欲しい」と言う事です。いきたい場所に行ければそれがいいのですが、大抵はそうも行きません。だから色々なオーディションができるうちにやっておいて、成長できるところを目指して欲しい。

行きたいに孤立するのではなく、いくべき場所を知る。」これがあの時に思った事でした。

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