ダンサーの虚しさと小さな怒り
新型コロナウイルス が問題視されてからすでに数ヶ月、フランスは、ロックダウンになってからすでに2ヶ月が過ぎようとしている。最初の1ヶ月はなにか今だからできる事をやろうと努力してきたのだが、あまりにも閉鎖されすぎてて、体力の衰えが怖いです。
できる限りの運動はやるのですが、如何せん動ける範囲がかぎられてる。外には軽い運動するだけがゆるされ、家から1キロメートルだけの移動。違反での罰金は「135ユーロ」、書類も随時更新しないといけない。
人と会うのもダメ、今まで挨拶でやってきた「ビズ」(頬と頬を合わせてキスする感じの友人感での挨拶)も勿論禁止。
世間だけでもこれだけ色々と変化がありますが、アーティストの部類はさらに強烈です。
まずは、アーティストの部類は政治の目には写っていません。写っていたとしても最後に小声で言うぐらいでしょう。スポーツでもなければ商売でもない、どう対応していいのかわからないのが現状。そして文化として最初に見られるのもオペラ座とかに入ってる人たちだけで、多くのダンサー仲間は未来が不安で仕方ない状態です。
ダンサーはスタジオで仕事をするのも勿論禁止。5月11日に緩和するとは言え、6月までは何もできません。日本よりも1ヶ月ほど早くロックダウンされてたのにこれです。ダンスの学校は9月までは確実に開かないでしょう。
そして、9月に入ったとしても何がどう再開できるのかわかりません。人数制限はどうなのか。フランス国外から参加予定のダンサーはフランスに来れるのか。来れたとしても、14日の滞在を余儀なくされるのか。
公演は12月までどこもできないという可能性が濃厚です。ドイツとイタリアの劇場はすでにこのように決定したようです。ですが、リハーサルやクリエーションはどうなのでしょう。観客はいないのですから、できるのでは?という話も出てはいるのですが、その話も勿論、一言もでません。
自分はダンサーとして話をするのですが、芸に関係している職業全てに言えると思いますが、舞台だけが仕事ではないのです。映画が映画館で見られた時だけが仕事ではないのです。本腰を入れないといけないのはどちらかと言うと、舞台に出る為の準備とトレーニングです。
観客の前に出て、光を浴びている時だけが仕事だと思われがちですが、実際は日々の中でのトレーニング、ダイエット、制作、創作。これなくして、舞台も何もあったもんじゃない。アーティストは日常何もせずに舞台にだけ立ってるのではないのです。
この夏に日本で公演予定だった舞台もなくなりました。自分はまだ生活にも余裕がある方なのでいいですが、他のダンサーには申し訳ない感じです。
兎に角、今の一番の心配は次の仕事で動けるかどうかですかね。さすがにここまでロックダウンされていると、軽い運動ではどうもできない職業もあるんですよ。それでも他人にはウイルスを移したくないし、移されるべきではない。自分は大丈夫とは言い切れないのが今回の状況を生み出したのだから。
今できる事は、できるだけ能力を降下させない事。プロジェクトを進める事。メンタルを殺さない事ですかね。芸術家の皆さん、お互い頑張りましょう。そして、より一層いいものを皆さんにお届けできるように。
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