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SNSで感情や欲求が暴走する人々

椋路 龍です。
今回はSNSで生きる上でぜひとも意識してほしいことを語ります。

SNSを開いてフォローしたユーザーの投稿を見ていると、たまに物凄い勢いで投稿を重ねる人や、物凄い勢いで様々な投稿を引用したり、なぜか猛烈に感情が高ぶっているアカウントを目にすることがあると思います。
傍から見れば「なぜこの人はこれほどの投稿をするのだろう」と正直引いてしまうような振る舞いを見せる人もいます。

その人のことについて語る前にひとつ、このnoteを読んでいる方に考えていただきたいのですが、「あなたが思いついたことを投稿しようと思ってSNSを立ち上げる時間」はどれほどでしょうか。
恐らく数秒以内、長くても十数秒程度でしょう。SNSを立ち上げているなら、思いついた瞬間に投稿編集ボタンをタップしているはずです。それ以上時間がかかった場合、だいたい投稿内容を忘れるか、投稿するかどうか迷って下書きだけ書いたり、投稿編集を削除していると思います。

その投稿がいわゆる正の感情――喜び、楽しみ、幸福など「快楽を基にした感情」――を伴うものであれば、そこまで暴走することはないものの、行き過ぎた感情はフォロワーとの温度差を生んだり、承認欲求を満たすだけの投稿を行ったり、場合によっては公序良俗に反するところまで加速することがあります。2013年にネット流行語になった ”バカッター” を生んでしまう原因でもあります。

これはこれでひとつ大きな問題ではありますが、本noteで取り上げる問題は負の感情――怒り、悲しみ、恨みなど「苦痛を基にした感情」――を伴うものである場合です。
正の感情は「既に心理的に満たされた状態」から生じるため、自己完結的な行動になりやすいですが、負の感情は「心理的に満たされない状態」であるため、感情を満たすために対外的な行動をとるようになります。
怒りは怒りを生じさせた対象に対して攻撃を行い、悲しみは悲しみを生じさせた対象から逃れるように行動し、恨みは恨みを生じさせた対象に「どうやって貶めてやろうか」という考えをもって付きまとうようになります。

以前のnoteで、インターネット上のユーザーは「自分にとって有益になる情報」から「肯定的な感情を得られる情報」、つまり「共感性」がユーザーに求められるようになったという前提事項から「共感性のない情報を排除したい」と言う欲求ばかりを肥大化させ、とても攻撃的なユーザーに成長してしまう危険性に関して少し語りました。
これを上記の内容から考えれば、 ”共感性のない情報を受けたことにより「心理的に満たされない状態」になったユーザーが、怒りや嫌悪などの感情により排除したい行動をとるため、投稿したアカウントを攻撃している” と説明できるのではないでしょうか。
この話の冒頭に紹介した人々も、この感情や欲求が暴走した結果の行動だと考えられます。

さて、話を少し別の視点から考えます。
先に述べたように、SNSの投稿は思い付いてから完了するまでごくわずかの時間で完結します。投稿は「共感性」を伴って行うことから、人の感情に紐づいています。そしてその感情は、まぎれもなく生身の人間が感じたものであるはずです。
人々は現実世界をうまく ”生き続ける” ために感情をコントロールしているはずです。負の感情をまき散らしている人間を見かけたら、誰しも不快になります。
しかしながら、なぜかSNSではその感情のコントロールが出来ず思考や価値観が暴走するユーザーもいます。現実世界で発散できない感情や主張を、SNS上で開放しているという意見もあると思いますが、私はそれに反対します。

何度も主張しますが、SNSを生きるということが、「現実を離れて自分自身でない誰かになるという、ことではない」のです。SNSは感情や主張を満たすために存在しているのではありません。現実世界の自分がより高次な欲求(=マズローの欲求5段階でいうところの「自己実現欲求」)を達成するために、自らの行動や思想を自己評価する、その評価範囲を広げることができるのがSNSです。SNSを生きるには、現実世界を生きなければならない、その逆もまた然りです。一時的な欲求に囚われた行動は、ほぼ評価に値しません。そっとごみ箱に捨てて差し上げましょう。

ここまで読んでくださった方でも、「そうは言っても感情的に投稿してしまうことを避けられない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

少し前に「アンガーマネジメント」という言葉が流行りました。怒りの感情のピークは6秒だから、何かカチンときてもゆっくり6秒数えれば衝動的にならない、そうやって怒りを分散しコントロールすることで上手に生きよう、と言うような内容です。

この考え方を一部習って「感情的な投稿を行いそうになったら、前に一度下書きに入れて、SNSを閉じ、現実世界に帰ってみる」のはいかがでしょうか。その後下書きをみて、その時の自分を評価し、改めてツイートをすることで暴走を防ぐことができるのではないでしょうか。

今日はここまで。

2021.1.6
椋路 龍

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