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【小説】終焉。僕は君らとこの物語を変えられるの、かな?5

第四章:星のシナリオ

大地はえぐれていた。周りは業火が炎々とこの地を侵食している。
意識が朦朧もうろうとする。上手く体に力が入らない。それに右目が開かない。
能力の使い過ぎで潰れたのだろう。
頑張って立ち上がってみる…そこには。
「よぉ…犀兎。気が付いたか、なにそんな驚いた顔をしているんだ?」
「いや、だって怪我が…」桑棘の姿は悲惨だった。頭から血を流し、服は擦れ、利き手の右手は力を無くしダラりとしていた。
桑棘が近づいてきた。左足が不自然だ。足が逝ったのだろうか。
「なに、これくらい大丈夫だ…」彼はそう言い微笑んだ。
「でも…!」
「大丈夫大丈夫。」
「三葉の治療を!」
僕がそう言った瞬間、桑棘はバツが悪そうな顔をした。
「すまん…」
「え…?」なぜ桑棘が謝るのかが理解できなかった。
「守れなかった…いや、止められなかった…。」
「ッ!?」息が詰まった。
「すまん…」桑棘は俯いた。
「あぁ…あぁ…まただ…守れなかった…あぁぁぁああああああ」
僕はその場に崩れた。体が痙攣する。
視界が霞んだ。涙が止まらない。右目からは血の涙が出た。
「おい!犀斗!落ち着け!染まるな!」桑棘が叫んだ。
大地が枯れ始めた。
パチンッ!乾いた音が響いた。
「ッ!」僕は桑棘を見た。
「なぁ…犀兎。三葉達のためにも、『星脈せいみゃく』をなんとかしないとじゃないか…?」桑棘は優しい声で言った。
「…!そうだ!どうなったんだよ?!」僕は怒鳴るように言った。
「暴走だよ。」
「えっ…」言葉を失った。
「失敗さ。俺らの負けだ。考えてみろよ。ここは「星域せいいき」だろ?じゃぁなんで完全無効領域内に業火が侵食してんだよ。」
「そう…だな…はは、どこで間違えちゃったんだろうなぁ。」
「さぁな。」業火は刻々こくこくとこの地をむしばんで行く。
「そっか。なら賭けをしてもいいかな。」
「なんのだ?」桑棘が尋ねた。
「んーとな。戻れるか死ぬかのだ。」
「…はい?」彼は素っ頓狂すっとんきょうな声を上げた
「この俺の能力「夢共むきょう」のだ。」
桑棘は疑問な表情を浮かべた
夢知むちと「星脈せいみゃく」の共鳴能力だよ。」
「お前いつのまに。」
「俺にもわからん!」僕は満面の笑みを浮かべた。笑って力が入ったのか、また右目から血が流れた。
「おいおい、犀斗さんよ、狂気なピエロみたな顔だぜ?」
「ひどいなぁ」僕は血を拭った。
そして、少し場が和らいだ様な気がした。
「だが、しかし!その能力を使うには代償が必要なのさ」
「代償…?」
「前なら三葉が居たから言えなかったけど、俺自身の体を代償とし、自身の記憶を過去に飛ばす。まぁ数日飛ばすだけなら体だけで済んだかもだが、数ヶ月以上の過去干渉。っは、これは命を消費しなければできないな。」
「命って…!」桑棘は焦りを顔に浮かべた。
「この現在の時間軸で命が削られるだけ。過去には、何も影響はでないさ」僕は笑って答えた。
桑棘は悔しそうな表情を浮かべた。
「犀兎…どこまで戻れるんだ…?」
「さぁわからん。戻れる所まで戻るさ。この傷ついた体だ、そー遠くまで飛べないかもな…」
ギュイイー。地がいた。その音はとても不気味で不安感を煽いだ。
「おい犀兎…」
「わかってる。星の叫びだ。」
「っく…あのルミナスのクソ国家め!!」
地が大きく揺らいだ。
「ぐあぁあぁぁ」と低い何かしらの鳴き声が聞こえた。
「おい犀兎なんか地面から湧いてきってぞ…」
「っ!あれは<亡魔スレイン>だ!」
「<亡魔スレイン>って、まさか」
「そのまさかだよ、星が狂い始めた。星の過去と今が混ざり始めた…」
「桑棘…時間稼ぎをしてくれ…俺が飛ぶまで。」
「おう…わかった…」
彼は顔を上げて言った。
「犀兎!がんばってこの世界シナリオを変えてくれよ!」
そして、桑棘は最後に会心の笑みを残し業火に消えてった。
僕は詠唱をする。
「《我。星に誓う。我が身にて星を護らんと。我が想いよ。》星々干渉魔術:理の断片<ゼーレ>」
唱え僕は一息つく。
「待っててね…三葉…それとみんな。」
魔術が発動し始め、意識が途切れ初める。視界も暗くなって行く…が。
「…ん?ぁ…?」体が急に暖かくなり、体が軽くなった気がする。
「この暖かさ…は…」感情が沸騰した。
(犀兎…私が掛けた魔法オモイ。受けっとってね「豊穣魔法:カモミール愛してるよ」…えへへ…)
頭の中に笑顔の三葉が浮かび上がった。
「あり…がと…みつ…は…俺もだ…よ…」
意識が途切れた。
そして、「僕」は終焉物語シナリオを変えるため、この時間軸から消え去った。
⭐︎          ⭐︎          ⭐︎
「うぅ…ここは…?」そして僕は目覚めた。


能力:
・「星々干渉魔術:理の断片<ゼーレ>」この物語の主人公、犀斗が扱う星々魔術。
内容:犀斗の「€#*\」解読不可「#@//」解読不可が可能。この世の理に干渉できるため、使用時に大きな代償が求められる。代償として体に異変が起きるため、三葉が居るときに使用はしなかった。
・「豊穣魔法:カモミール」この物語のヒロインの三葉の能力
内容:三葉の想いで作られた回復系統のオリジナル魔法。
・「夢共むきょう」犀斗が使用する能力。
内容:「#/&#€**;/@";*」現時間軸での解読不可


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