より豊かで、持続可能な霧島を 〜きりしまコンポストプロジェクト
始まりは、2020年9月にコンポストアドバイザーの鴨志田さんと、サーキュラーエコノミー研究家の安居さんをお招きして、無垢食堂で行った勉強会。
お忙しい中、中重霧島市長もお越しくださり、農家さんやお客さん、そして私たちの仲間であるひより保育園や、そらのまちほいくえんのスタッフが、サーキュラーエコノミーや、公共コンポストについて学びました。
無垢食堂の生ゴミ コンポスト化計画
私たちは、より持続可能で、よりおいしい!小さな経済圏を作りたいと考えています。例えば、地元の農家さんたちの作ったお野菜をもっとおいしく食べるとか、食卓にのぼることなく畑や売り場で廃棄される野菜をできるだけ減らしていくとか。
無垢食堂の朝ごはんは豚汁と卵かけご飯、ご飯と豚汁はおかわり自由で500円。よいお米と、よい材料で作った自家製のお味噌、そして具沢山の豚汁となるとほとんど利益は残りませんが、霧島のみなさん、あるいは霧島を訪れたみなさんに、ていねいに作られた温かい朝食を食べていただくこと。そして、たくさんの旬のお野菜を余すことなく使い切るためには、今のところこの朝食の形態がとても良いと感じています。
ランチ営業では、食べ残しができるだけ出ないように、おなかのすき具合に合わせておかずの量を3段階で選べるようにしたり、全てのお客様に「ごはんの量はどうなさいますか?」と一声かけさせていただいたりしています。(おかげさまでほとんどのお客様がご飯粒一つ残さず食べてくださいます)
その日に作った料理は、その日のうちに全て売り切るようにしている無垢食堂ですが、それでも玉ねぎの皮やエビの皮、卵の殻、キャベツの外葉や、ブロッコリーの芯の硬い部分、そら豆の皮、人参のヘタの部分、きのこ類のおがくずのついた石づきの部分などなど1日あたり約3.5〜10キロの生ゴミが出ます。
そのほとんどが「水分」である生ゴミは、燃やすためには大量の助燃剤を必要としますし、埋め立てるとメタンが発生する。鴨志田さんによると、コンポスト(堆肥)にして使える畑がないのであれば、燃えやすいようにカラカラに乾かしてゴミに出すのがよいとのこと。
しかし!私たちにはたくさんの農家さんたちとのネットワークがあります。
無垢食堂で出る生ゴミで完熟堆肥を作ろう!
丸一日かけて鴨志田さん、安居さんと一緒に無垢食堂に野菜を納めてくださっている農家さんたちから話を聞いたり、無垢食堂周辺でゴミとして捨てられている「宝」を探したり。
あるあるあるある!
良質な完熟堆肥を作ると、良質な野菜ができるらしいのですが、必要な材料は全て自分たちの周りで簡単に見つけることができました。
この日以降、自転車や車で街を走っていると「あ、ここに落ち葉がたくさん、、、(拾いたい 笑)」とか「あ、この山の土はよさそう、、、(欲しい 笑)」とか、世界の見え方が全然違ってくるのです。
いよいよ本格スタート
そして今年の春、霧島市役所で「霧島ガストロノミーコレクション(クリック)」が開催され、鴨志田さん安居さんが霧島にいらっしゃったタイミングで、ついにコンポストプロジェクトが本格始動しました。
まずは床材の仕込みから
農家さんからいただいた米ぬかや もみ殻、霧島市議の山口ひとみさんにご協力いただき分けていただいた市内の神社の落ち葉、マルマメン工房の増田さんの田んぼの土とフスマを使い、ひより保育園の園庭で「床材」を仕込みます。
園庭の片隅で作業をしていたのですが、気がつくと園児たちも一緒になってワイワイと賑やかに。正直な感想を申し上げると「え?これだけで本当に発酵するの?」と言いたくなるくらいシンプルです。
なんと!その翌日から
あったかい!!!(驚)
自然界にあるものを、鴨志田さんから習った通りに混ぜただけなんですが、まるで砂蒸し温泉のようにじんわり(というかしっかり)温かいのです。
人間の感覚って不思議なもので、温度があると急にコンポストがかわいく感じてきます。まるでペット。「今日も元気かな?」と、触りにいくのが楽しみになるのです。
3日に1回ほどは全体をしっかり切り返し、50−60度ほどの温度を保っていた床材が、約10日ほどかけて外気温と同じ温度まで落ち着いたら、生ゴミの投入開始です。
念のため東京の鴨志田さんに完成した床材をお送りして「ばっちりです!」のGoサインをいただきました。
いよいよ生ゴミ投入!
ドキドキワクワクの生ゴミ投入。
やってみて気づいたのが、生ゴミをゴミ箱に入れなければ、厨房内のゴミが圧倒的に減るということ。そして、ゴミ箱の中身が包装に使われていた紙やビニール類だけになるのでゴミ箱が全然汚れないということ。
(この包材をなくしていきたいと思い、農家さんたちと試行錯誤していますが、なかなかなかなか難しい)
可燃ゴミの回収に来ていただく頻度も減りました。
!!!
なんと、生ゴミ投入翌日、しっかり温度が上がっています(嬉)。
そして、不思議なことに?卵の殻や、玉ねぎの皮、エビの殻以外は1〜2日で跡形もなく分解されていきます。微生物の力ってすごいです。
堆肥を作る上でこの「60度以上に温度をあげる」ということはとても大切なこと。そこまで温度が上がると有害な菌や、雑草の種子、虫の卵などが死滅して、安全な堆肥になるのだそうです。
1週間ほど生ゴミの投入を続けると、こんなにも温度が高くなります。
雨の降った翌日などは多少のコバエが見られることもありましたが、「生ゴミ」という言葉から連想されるようなイヤな匂いは一切しないから不思議です。
「どこまでなら投入し続けてもいいかの感覚がつかめるまでは、投入した生ゴミの量を記録して管理してください」という鴨志田さんの教えを守り、毎日毎日記録を付けます。
もうそろそろ最初に仕込んだ床材の限界が近いということで、復習を兼ねて新たな床材を仕込みました。
今回は霧島市の中学校の先生たちと、ホテルの方も一緒に。どんどん輪が広がっていくのが嬉しいです。
最初に仕込んだ床材は、生ゴミ360kgを投入した時点で「二次処理」に。
360kgもの生ゴミが投入されたのに、コンポストの嵩が変わらないって本当に不思議です。
この完熟堆肥を使うと、野菜の味がさらにおいしくなるとのこと。無垢食堂でできた堆肥は無垢食堂に野菜を納めてくださっている農家さんの畑で。ひより保育園でできた堆肥は、ひより保育園の菜園で使う予定です。
ゆくゆくは、お客さんたちも巻き込んで、ヨーロッパのように公共コンポストが作れるといいなぁという夢を抱きながら、今日もみんなで協力して、せっせとコンポストのお世話を続けています。
2次処理以降については☝️こちらの記事で!
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