この本に中学生の頃に出会いたかった〜かがみの孤城を読んで〜


密室、クローズドサークル、ミステリー


この3要素が集まった時に想像することはなんであろうか。


これらをテーマにされた作品で真っ先に浮かぶのは、


そう「殺人」

ではなかろうか。

ところが、本書は人の死なないミステリー

読書感想文をあらすじを書いて埋めるというのはよく学生時代に行う手法であり、私自身もしたことがないとは言えないので非難できないが、今回はあらすじを割愛して、純粋な感想を残したいと思う。それゆえ、一部ネタバレに近い感想もあるが、ご容赦いただきたい。

実は私も主人公同様、不登校の経験があるので、とても共感することができた。そして、少し心が傷んだ。

彼女のデビュー作『冷たい校舎の時は止まる(以下冷校)』をかつてSNSの先駆けとして話題になった、GREEでひょんなキッカケで知り、活字嫌いの私は読書にのめり込むようになった。

冷校は高校が舞台とはいえ、今作『かがみの孤城』は中学生が主人公。

冷校で辻村深月さんと出会った私としてはとても懐かしい気持ちになったというのも率直な感想である。

個人的には辻村深月作品は心理描写ーー特に学生のーーが秀逸だと思っているので、私は男だが、中1の主人公こころの心境にとても共感した。共感したからこそ、少し心が傷んだ。


実は本書を読むのは単行本が発売された当時に一度だけ読み、今回本キャンペーンを知り、文庫版を再読したという形で執筆している。

学生の心の内を鮮明に吐露する小説はたくさんあるが、そこにミステリーを絡め、さらに人の死なないクローズドサークルを舞台にするなど、彼女にしかできない作品であろう。また、絵本のタイトルなど、著者の辻村深月氏が読者としても本を愛しているということがひしひしと伝わってくる作品であった。

本書はミステリー小説としても秀逸で序盤はイジメられた経験がある人には少し辛い描写もあるかもしれない。しかしながら、結末を知って読むには、上巻のところからの伏線に思わずニヤッとしてしまうかもしれない。


是非とも最後まで読み終えた後にもう一度1ページ目から読み返したくなる1冊である。と同時に私も中学生の頃に「かがみの孤城」に遊びに行きたかったと強く感じる1冊であった。




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