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派遣会社が言いがちな甘〜い言葉のオモテとウラ


はじめに

いよいよ25卒の就活が解禁されました。既に内定の獲得率が3割程度になっているらしく、就活がかなり早期化しているように思えます。
しかし、そんな就活の場に正社員になりたい新卒の学生さんを甘い言葉で釣り、知らず知らずのうちに派遣社員にさせる会社が存在します。
今回は、そんな派遣会社にありがちな甘い言葉について解説します。
なお、無期雇用派遣(技術派遣)について詳しく知らないという方は、先にこちらの記事をご覧ください。
正社員なのに派遣先へ!?無期雇用派遣に要注意|無期雇用派遣やめろ (note.com)

甘い言葉

1.未経験からエンジニアになれる

ウラの意味:雑用派遣スタッフになれる
派遣会社はよく「未経験からエンジニアになれる」というのを謳い文句にしていますが、基本でたらめです。冷静に考えて、未経験からたった3カ月程度でエンジニアになんてなれません。ましてや派遣先の会社からすればただの使い捨ての存在にすぎないのに、そんな立場の人に重要な仕事を任せる例は稀です。任される仕事は誰でもできる作業が大半であり、エンジニアの仕事すら任されません。

2.志望動機不問

ウラの意味:派遣だから誰でもいい
「経歴不問」「学歴不問」「志望動機不問」「履歴書不要」等、就活が上手くいっていない方が見れば魅力的に見える文言かもしれませんが、これはただ単に派遣だから誰でもいいというだけです。そもそも、こんなことを言っている会社は、まともに人を選別していないと言っているようなものです。先程も述べた通り無期雇用派遣は雑用が多いため、人を選別する必要なんてありませんよね。

3.年間休日125日/平均残業時間20時間以内

ウラの意味:派遣先により異なる
派遣先によってはシフト制や夜勤を行っている事例もあります。そのため、年間休日や残業時間は派遣先によって大きく異なります。無期雇用派遣の闇ともいえる部分ですが、年間休日125日、実働7時間の無期雇用派遣社員と、年間休日105日、実働8時間の無期雇用派遣社員の給与は、派遣元の会社が同じであればほとんど変わりません。下手したら、登録型の派遣を利用した方が自給が高いなんて可能性もあります。

4.勤務地は希望を考慮

ウラの意味:考慮するだけで沿う訳ではない
無期雇用派遣は、登録型派遣と異なり勤務地の選択権はありません。酷い場合には年に複数回転居を伴う転勤が発生する場合があります。普通の正社員だとしても転勤はありますが、無期雇用派遣は普通の正社員よりも転勤が発生しやすいです。
求人票には、よく「勤務地は希望を考慮の上で決定」「転勤はありません」と書かれていますが、あくまで考慮するだけで、希望に沿うとは限りません。新卒入社1年目で車が必須のような田舎に転勤となり、早期に退職をしてしまうなんてこともあります。

5.研修充実

ウラの意味:研修が派遣先で役立つとは限らない
大手の技術派遣会社ですと、派遣先が数百社から数千社に及ぶこともあり、そのことをPRしている派遣会社もあります。にも関わらず、数カ月で派遣先の業務知識をしっかり教えることなんて可能なんでしょうか。私には到底不可能に思います。かといって、派遣先の会社もしっかりと仕事を教えてくれるケースは稀です。当たり前ですよね。だって、無期雇用派遣社員なんて、所詮は使い捨ての存在なんですから。中には、外部との連絡手段を遮断し、山奥で大声を出させるという令和時代とは思えない研修をやる会社もあるんだとか。

6.正社員なので安心

ウラの意味:派遣先で正社員な訳ではない
そもそもまともな企業だったらこんな文言使いませんが、派遣会社は登録型派遣と比較をして、無期雇用派遣は正社員だから安心なんてことをよく言います。しかし、正社員扱いをされるのは派遣元だけであり、派遣先へ行けばただの派遣スタッフです。そもそも、無期雇用派遣と正社員の働き方には決定的な違いがあり、正社員は本社、もしくは自社で保有する施設(事業所、工場、店舗等)で働きますが、無期雇用派遣は派遣先企業で働きます。そして、数カ月もすれば契約が解除され、次の派遣先へと派遣される。これのどこが正社員なのでしょうか。

7.上場企業なので安心

ウラの意味:上場していること以外に誇れることがない
先に言っておきますが、上場していること自体は誇れることです。それ自体が悪いことではありません。が、上場をできるほどの企業であれば、他に何かしら自慢できる部分があるはずです。しかし、派遣会社の場合は「上場グループ企業だから安定している」「上場をしている大手企業」と上場していることだけをアピールしてきます。そりゃ商品は人ですし、かといって商社としての役割を持っているわけでもないので、上場していること以外にアピールポイントなんてありませんよね。

8.受託開発もやっている

ウラの意味:受託がメインとは言ってない
派遣会社であっても、技術者派遣だけではなく受託開発事業を行っている会社は存在します。しかし、大抵の場合主力事業は技術者派遣です。私は、実際に技術派遣会社の説明会を聞いたことがあるのですが、某T社では収益の約75%が技術者派遣事業、某A社では収益の約85%が技術者派遣事業といった有様でした。しかし、この2社の求人票を見ると受託開発をやっていることを堂々とアピールしています。受託開発を主力事業とするまっとうな会社に謝ってほしいです。

9.将来年収1000万円も可能

ウラの意味:年収1000万円に到達するのはごく僅か
実際に、役職に就けばその年収に到達する人もいるでしょう。しかし、そんなのはほんの一握りです。この文言、極端な話1000人に1人でも年収1000万円以上の社員がいれば嘘にはなりません。ですが、大手の技術派遣会社ですと毎年数百人の大量採用をしており、それでいて人材派遣業界は離職率が非常に高く、多くの人が5年も持たずに退職してしまいます。そのため、年収1000万円というのは、ほぼサクセスストーリーに過ぎません。

10.高い技術力を有する会社

ウラの意味:(派遣先企業が)高い技術力を有する会社
技術派遣会社は「当社は技術の会社です」「高い技術力を有しています」「プロ技術者集団です」などという会社が非常に多いです。しかし、先程まで述べた通り、無期雇用派遣は雑用が多く、派遣会社は離職率が高くて、それでいて自社で何か製品を持っているわけでもありません。高い技術力を有しているのは、派遣先の会社だけです。派遣会社は人を派遣させることで利益を得ているだけであり、有価証券報告書の研究開発項目にも記載がない場合が多いです。これで何故技術の会社と呼べるのでしょうか。

甘い言葉以外の派遣会社の見分け方

技術派遣会社の手口を知ることさえ出来れば、見分けることは簡単です。簡単に見分ける方法を2つほどご紹介します。

労働者派遣事業の許可番号を確認する

労働者派遣業の許可を取得した企業には、以下のような番号が与えられます。
派01-234567 (あくまで一例です)
この番号が求人票に記載されていないケースも多々あるため、その際は会社ホームページの会社概要や沿革のページを確認するようにしてください。しかし、悪質な会社の場合は、会社のホームページにすら記載がない場合があります。その場合は下記のサイトで会社名を検索してください。

人材サービス総合サイト - 労働者派遣事業所検索・一覧 (mhlw.go.jp)

こちらのサイトは、厚生労働省が提供しているサイトであり、大手企業から零細企業まで、労働者派遣事業の許可を取得している全ての会社を検索することが出来ます。ここに記載があれば、求人票やホームページにどれだけ良いことを宣伝していても、実態は派遣会社ですので、派遣社員になりたくない方は入社をしないようにしましょう。

求人票に注目する

派遣会社の求人票は特徴があります。勤務地や勤務時間、年間休日の項目に
・プロジェクトにより異なる
・就業先により異なる
・お客様先により異なる
・顧客先により異なる
・配属先により異なる
・配属先に準ずる
などといった文言が記載されていれば、ほぼ確実に派遣会社です。

少なくとも、私はこれらの文言が書いてあって、かつ派遣ではないという会社を1社も知りません。

派遣会社の見分け方については、私が過去に書いた記事とほぼ同じです。しかし、隠れ派遣会社を見抜くうえで非常に大事なことになりますので、私は何度でも同じことを言い続けます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回紹介した言葉は氷山の一角ではありますが、どれも常套句なため、これらの文言を見かけたらその企業とはなるべく関わらないようにしてください。世の中はこんな甘い世界ではありません。派遣会社に限らず、甘い言葉には何かしらウラがある可能性があります。くれぐれも気をつけてください。
ここまでご覧いただきましてありがとうございました。


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