【短編小説】煌々たる荒野より
書いても書いても進捗の芳しくない原稿に、屋敷は頭を抱える。同じような文面ばかりが連なり、読者の欠伸を誘うこと間違いなし。語感も悪い上、構成もくどい。編集に見せるまでもない駄文だ。四時間かけたのに、と若干勿体ない気持ちもあるが迷わず一括で全文を消去。
煙草を吸おうと机の上に置かれた皺の寄った箱を手に取るが、すぐに中身が皆無であることを悟って天井を仰いだ。自分を中心に回る世界の尽くが上手くいっていないような錯覚に陥る。
乱雑にクリップで留められた資料を掻き集め、暫く逡巡した後に