見出し画像

ゆずれなかったもの

俺には人生のすべてをかけてきたものがある。
それは、「生きる意味」についての考察だ。

俺は、今までの人生のほとんどを「生きる意味」についてのエネルギーとして費やしてきた。結局わかったことは、言葉では表現できない領域だった。

いつも何を考えているの?って聞かれるから、「生きる意味を考えているんだよ」っていうと、渋い顔をされる。馬鹿にされる。一蹴される。
「そんなこと考えんと!!」と言われることが多かった。笑われることが多かった。

理解できなかった。「そうなんだ。」でいいじゃないのか(笑)
なぜ自分から聞いておいて非難するのかわからなかった。
最初のうちは、無理解に動揺した。けれど、別にそれは問題ではなかった。

この問いに自分なりに答えるまでに、たくさんのものを失った。
けれど、実際は自分は何も持っていなかったことに気付く。

本を読むと、皆が生きる意味に挑んでいた。だから俺は怖くなかった。
自分は最初から一人ではなかったとわかった。

悟りにあこがれていた時もあったけど、そんなものは本当はないのかもしれない。

俺がこの10年でやったことは、ただ、強く握りしめた手をゆっくりと開いたようなものなのかも知れない。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?