見出し画像

100年前の住宅「聴竹居」から考える、スマートホームのあり方とは?

mui Labのビジョン「未来のくらしのあたりまえ」について考えるべく、1928年に建てられた「聴竹居《ちょうちくきょ》」へ訪れた様子をお届けします。
今後のスマートホームに欠かせない「エネルギーマネジメント」について、100年前の住宅はどのように取り組んでいたのか。また、当時の最先端だった「オール電化住宅」は、どのように「くらしのあたりまえ」となっていったのか。理想の住宅を追求した聴竹居から未来を眺めることで、スマートホームのあり方について考えました。

自然とテクノロジーが調和する聴竹居

聴竹居は、1928年に建築家の藤井厚二によって建てられた自邸です。
環境共生住宅の先駆けとして、自然を活用した通風システムなど、快適で健康に過ごすための工夫が施されています。また、家族の心地の良さを何よりも大切にしてつくられており、当時は貴重だった電気器具を数多く取り入れている一面もあります。
そんな自然とテクノロジーが溶け合う聴竹居へ、mui Labメンバーは「未来のくらしのあたりまえ」を考えるべく訪れました。

夏季の心地よさを追求した住居

暑さが本格化する梅雨の時期に、muiメンバーは聴竹居に訪れました。この日の天気は雨で、蒸し暑さを感じやすい気候の中、聴竹居のある天王山へ向かいました。はじめに案内されたのは、「閑室」です。

山道を歩いていたにも関わらず、聴竹居に入るとメンバーは、暑がっている様子がありません。それどころか「ひんやりする」という声も飛び交います。涼しさの理由について、聴竹居倶楽部見学対応スタッフから教えてもらいました。
「聴竹居には暑い空気を排出し、湿気を吸収する工夫が随所に取り入れられています。床下と壁をご覧ください」

畳の床下には、「クールチューブ」と呼ばれる導気口がありました。地下に埋め込まれた土管を通じて、外気は地中で冷やされ、室内へ涼しい風を送るそうです。
また、辺りを見渡すと、障子だけではなく壁まで和紙でできていました。外壁は断熱性能に優れた土蔵壁を採用し、室内の壁は調湿に優れた和紙を使っているのだとか。

その日の温湿度に合わせて換気量を調整し、冷房設備を必要最小限に抑える。「エネルギーマネジメント」の先駆けともいえる、創意工夫が施されていました。自然と共生するかたちで、くらしの心地よさを追求する、mui Labが目指しているスマートホームのあり方が聴竹居にはありました。

最新と普遍が混ざり合う空間

聴竹居の心地よさは、自然を活用したデザインに留まりません。当時では珍しい「オール電化」の住宅でもありました。今ではくらしのあたりまえとなったオール電化ですが、1928年にどのようなかたちで実現していったのか。
つづいて、藤井厚二が家族とともに住んでいた「本屋」と呼ばれる、大きな居室へと向かいました。

居室へ着いてまず目に入ったのは、印象的な照明です。藤井厚二が自らデザインした照明は、客室・食事室・居室など、各部屋の雰囲気に合うように形状が一つひとつ違います。居室の照明は、部屋を広く照らすように横からも光が差すように設計されていました。

オール電化を象徴するような機器として、居室には電気ストーブがありました。こちらも藤井厚二がデザインしており、照明としての機能も備えています。古くから親しみのある「青海波」の模様が映し出されるようになっており、最新技術の中にも、普遍的なデザインを取り入れています。

居室を抜け、調理室の奥にあったのは、電気を送るための「分電盤」です。回路がむき出しになっているこちらの分電盤によって、聴竹居のオール電化は実現されていました。電気冷蔵庫や電気コンロなど、衛生的で快適なくらしがありました。

聴竹居へ訪れてみたメンバーの感想は?

個人ではなかなか体験できないところに訪れることができました。
自分の目で見て、実感できたことで、「未来のくらしのあたりまえ」の解像度が上がりました。「自然」、「家族」、「思いやり」という普遍的なものが、未来のあたりまえに繋がっていると感じました。

システム開発部/yamato

建築家のテクノロジーを取り入れる姿勢とこだわり、住む人のライフスタイルを考慮した家づくり、実験を重ねて本質的な良さを目指すスタートアップ的な姿勢に感銘しました。
未来のあたりまえを創ることは、決して「机上の議論」で未来について考えるのではなく、今ある最先端のテクノロジーを駆使して、普通では成し遂げられなさそうなことに挑戦すること。そこに使う人への配慮や愛が大切だということに思い至りました。

アドバイザー/reikon

ずっと行ってみたかった場所だったので、見学できて嬉しかったです。 日本が古くから大切にしてきた豊かな自然との共生を当時の最新の技術も取り入れつつ、心地よい住まいや生活を探求し続けた様子が感じ取れたのが、とても興味深かったです。 自然と人との調和を下支えするツールとしての技術のあり方は、現代のテクノロジーのあり方においても継承していくべき日本の美意識だと、あらためて強く感じさせられました。

デザイナー/ange

100年前、試行錯誤の末に創られた "ゆたかなくらし" を肌で感じて、"未来のくらしのあたりまえ" とは何かを改めて考えさせられた気がした。
聴竹居の建築としてのシステム(クールチューブなどの快適性、電化による利便性)は確かに現代のくらしではあたりまえとなりつつある。しかし、家族が心地よく暮らすことができる空間、という側面では現代においてもあたりまえという感覚はあまりない。家族の過ごしやすさを、あたりまえに求められるようなスマートホームを創りたいと思いました。

 システム開発部/ajisaka

今回は、mui Labのビジョン「未来のくらしのあたりまえ」を考えるべく「聴竹居」へ訪れました。自然や電気を活用した住居は、100年経った現代でも色褪せることなく、発見で満ちあふれていました。
自然や季節を活用しながら、そこで暮らす家族が心地よく過ごせられる。人と自然が調和するような「エネルギーマネジメント」が聴竹居にはありました。

mui Labでは、ミッション・ビジョン・バリューを大切に、理解や浸透を深める活動を行っています。今回のnoteで興味を持っていただけた方は、ぜひ他の記事もご覧ください☺️


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?