クリエイティブとビジネスの関係値
クリエイティブとビジネスというものは右脳と左脳、フィーリングとロジックなど相反するもののように捉えられていることが多いと思います。
今回はその仲立ちになりうる指標やデータとして、どういった施策やクリエイティブが売上に貢献するのかをまとめてみました。
指標:ソーシャルエンゲージメントスコア
Twitterが25のブランドに対して行った調査によると「Twitter上での会話量」と「売上」には統計的関連性があり、ブランドについてのTweet数が10%増えると売上が3%増加すると言われています。
会話のネタになる=認知され気になっている状態の人が増え、それが人に伝播する。
この傾向はTwitterに限ったことではなく他のSNSも同様だと考えられます。コントラバーシャルな仕掛けができれば、売上にも直結する。この事例を思い出しました。
指標:クリエイティブコミットメントスコア
World Advertising Research Center(世界広告研究センター)が過去の2011年から2019年の10年間の広告キャンペーンに関するデータベースの分析から、カンヌで開催したセッション「Cracking the Effectiveness Code」(広告効果のコードを解読する)の中で、結果をもたらす広告効果を上げるためには「Creative Commitmentクリエイティブ・コミットメント」と呼ぶ度合いを高めることが必要であると主張しています。
クリエイティブコミットメントスコアは①期間の長さ、②使用するメディアチャネルの数、③広告キャンペーンの費用を5段階で評価し、その合計スコアを指します。
例えば、2013年のジョンルイスのクリスマスアドは14、2019年のtide adが9を記録しています。
このクリエイティブコミットメントスコアはシェア拡大や売上増加に強い相関性があったことを報告しています。
このクリエイティブコミットメントスコアを運用していく上で限られた予算でどう効率的にクリエイティブエフェクトラダーを駆け上がれるかがポイントになるようです。
クリエイティビティとの関連性ですが、同じクリエイティブコミットメントスコアでもアワードを受賞するような高いレベルのクリエイティブだと効果が高まり、スコアが低い(予算が少ない)ほどその傾向は顕著です。
展開チャネル数と展開期間はPaidだけでなくEarnedでも増やせる
クリエイティブコミットメントスコアが広告の展開チャネル数+展開期間+展開コストで表され、「予算規模が物言う」ということでは?と思いますが、クリエイティブが話題になればチャネル数と期間は稼ぐことができる点(PaidよりEarnd)が興味深く、予算が少ないキャンペーンこそクリエイティブに投資すべきだということの示唆がクリエイティブエフェクトラダーにおいてスコア5に極値が存在することに表れているのではないかと思いました。
指標:ネットプロモータースコア
顧客ロイヤリティを測る指標で、業績成長との相関が強く観測されている指標。調査によるとNPS(ネットプロモータースコア)と収益成長率に有意な相関関係(相関係数0.70以上)が見られており、平均的にはNPSが12ポイント増加すると、企業の成長率が倍増すると言われています。
NPSを算出するには「0~10点で表すとして、この企業(あるいは、この製品、サービス、ブランド)を親しい友人や同僚に薦める可能性はどのくらいありますか?」という質問に対する答えを基に、点数(推奨度)によって、顧客を「3つのグループ」に分類します。
10~9点:推奨者(Promoter)
自らが継続購入客であるだけでなく、他者へサービスを勧める『推奨』の役割も担う。
8~7点:中立者(Passive)
満足はしているが、それ程熱狂的ではなく、競合他社になびきやすい。
0~6点:批判者(Detractor)
劣悪な関係を強いられた不満客。放置しておくと悪評を広める恐れがある。
算出方法としては推奨者の割合から批判者の割合を引くことで得られる数値がNPSとなり-100〜+100で表されます。
「推奨者がいる」ということの強さ
商品力があるから推奨者が生まれ、推奨者がいるから広がるという、商品力を測る術であり、拡散のエンジンである2つのビジネスドライバーを1点で押さえているところが素晴らしいですね。1位を取り戻したキリンビールの広告戦略を思い出しました。
「一番搾り」も「本麒麟」も「スプリングバレー」も芸能人が本人役で他の芸能人に推奨するというフォーマットのCMを展開。
この記事の中でも山形さんは「差別化を目的にしない」「消費者が何を見て決めるのか」その一点に集中する方法で成功していることを語っています。
CMでは「推奨」、商品パッケージは「新」にフォーカスしていますね。
番外編:売上にトラストは必要か?
先日こんなデータが公開されました。
「ブランドへの信用は下がっても、売上は上がり続ける」というデータです。記事についたコメントには「ブランドトラストは今マーケターが必死に追いかけている指標の中で最も役に立たないものだ」と断罪する人も。
Facebookのスコアでプラットフォーマー特有の「嫌われても使わざるを得ない」状況にさせられているので、どれほど参考になるデータかは議論が必要だと思いますが、紹介してみました。
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