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Inventionとは何か考えてみた
Business Invention Firmを標榜するI&COに入社して1年が経とうとしてます。
クライアントに "Invention" を提供すべく日々仕事をしているのですが
ふと思うのは
Inventionとは何か?
ということ。
単にアイデアってわけではないし、厳密に考えだすとあやふやな概念です。
自分の提供価値をよりシャープに捉えるために今回は "Invention" について自分なりに考えをまとめてみようと思いました。
辞書的な意味
まず手始めにオックスフォード英語辞書をひくと
とあり、
"invention"を「発明」と和訳して広辞苑を調べると
①物事の正しい道理を知り、明らかにすること。
②新たに物事を考え出すこと。
③機械・器具類、あるいは方法・技術などをはじめて考案すること。
④かしこいこと。
と記載されていました。
発明とinventionの違い
「何かしらの方法で生み出された結果としての今までにないアイデア」の部分は日本語も英語も共通していますが、
inventionの方がそのプロセスやそれを生み出すスキルまで含めてinventionとしていて「idea / innovation / breakthrough」への過程をも評価対象にしている点が面白いと思いました。
ちなみに日本は法律で「発明」を定義している数少ない国らしく
特許法2条1項により
自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの
と定義されて、保護されている。(単にアイデアは著作権などでは保護されていない)
しかし、まだまだ概念としてファジーだ。もう少し具体的に考えたい。
自分が「これは発明だ」と感じた事例から演繹法的にまとめてみたい。
まず参照したのは
THE 100 BEST INVENTIONS OF 2020
アメリカの経済誌TIMESが発表した2020年に生まれた発明ベスト100を集めた特集です。
ヘルスケアからモビリティ、サステナなど旬な分野ごとに発明品をサッと見ることができます。
この中で紹介された商品の中で最も去年一番記憶に残っているのがこちら
発明#1
NIKE ズームエックス ヴェイパーフライ ネクスト%
従来、ランニングシューズは少しでも軽く、足の動きを邪魔しない薄底が主流でした。しかし、そのトレンドを疑い、真っ向から挑み、カーボンプレートをソールに採用し強い反発力を生んだシューズとして生まれました。
それ以来、それを履く選手が軒並み記録を更新。大会ではほとんどの選手が履き、箱根駅伝では、選手全員に着用させ、カーボンプレートの反発力をいかす特殊なフォームで仕上げてきて、好成績を修めた大学もありました。またその勢いはアマにまで波及し、世界中のランニングシーンを一変させた稀代の発明でした。
凄まじいです。
この凄まじい発明に匹敵する事例は他にないかと考えていたところ、
日本にも素晴らしい発明が今年あったではないか!
と思い出したのがこちら
発明#2
アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶
今年一番痺れました。
開けた瞬間に缶内部の小さな凹凸が泡を発生させ、広い飲み口から泡が溢れ出る様はビアガーデンで出される生ジョッキさながら。4月の発売から4ヶ月経った今も品薄の状態が続いており、僕も店頭でみかければ2,3本買います。特に夏は美味い。
実はサントリーも昔、飲み口が広く、泡立つビール缶を作ったりしていたみたいです。底にクリップが付いていてそれを2, 3回弾くと泡立つという仕組み。
最近でも、ビール缶に取り付けてキメの細い泡を発生させる装置を出したりしていました。
ただ、これらと生ジョッキ缶が違うのは手間自体は普通のビールと同じだということ。缶を開けるだけで泡が楽しめる。体験に一切のストレスがないことが発明だなと思います。
プロダクトアイデアが連続したので最後は表現の発明にフォーカスしたいと思います。
発明#3
ミルクボーイの漫才
オカンが好きなものの名前をど忘れしてそれを一緒に考えるというフォーマットはまさに発明だと衝撃をウケました。
漫才にフォーマットを作ることは定石の一つですが、ミルクボーイのフォーマットは誰がやっても面白いということ。
かまいたちが披露したミルクボーイのパクリねたも面白かったし、
プロ・アマ問わず安定して面白い掛け合いを実現してます。
アマだとミルクボーイ漫才「P&Gマフィア」が好きです。
発明 / inventionとは
以上の3つの発明を見て僕が思う発明の定義とは「規格を企画する」
どれも規格自体にアイデアがある。土台自体のアイデアである。汎用性が高く、後にフォーマット/テンプレートとして世に広がっていき、世の中を一変させるパワーを持っています。
この規格を企画する上で大切にしたいこと
①不可逆変化を読む
例えば厚底ランニングシューズで言えば、
背景にパラリンピックでのカーボン義足の躍動がある。
カーボンファイバーを使った義足は軽いのに強い反発力をうみ、健常者より速いタイムを出すことができる。このカーボンの魔力をシューズに取り入れるのは時間の問題だった。
そして、選手は一度でも速くなるとわかってしまうと
もう以前のシューズは履けない。結果の世界で戦っているから。
あっという間に競技者の間で広がったのも必然と言える。
また、生ジョッキ缶にも背景に不可逆変化がある。
それは、路上飲みの増加。コロナ前から始まっていた。
経済的な理由からか路上で飲む人が増えた。
セブンイレブンがビールサーバーを三鷹に試験導入しようとしていたが2018年にプロジェクトの頓挫を発表。理由は品質維持と言われているがコンビニの店前に酔っ払いがたむろすることを心配したからという指摘もある。
懸念されるくらい路上飲みは増えていたと思う。
それくらいお店に行けない行かない人が増えている。
安くてお店クオリティを楽しめるものが当たり前になるともう前には戻れないのは人の性。
ミルクボーイのネタも背景として「漫才の情報化」があるとにらんでいる。ここで語るにはスペースが足りないのでまたの機会に。
②個性を排除する
取り上げた3つの発明にはいい意味で個性がない。
生ジョッキ缶だってキリンラガーやサッポロ黒ラベルが出してても売れたと思う。
ミルクボーイネタはアマチュアにもマネできる汎用性が凄かった。
NIKEの厚底も後に市場がついてきたことを見ればどのブランドにもできたのだ。
これまでのブランディングは「らしさ」を追求してきたが、他と違うことに意味が薄れてきた。業界で誰もがやらなかったのに業界がマネするほどの強いアイテムを最初に開発した先駆者的意味の方が大きい。
また「らしさ」はその後の展開の阻害要因にもなり得る。マネできないからだ。業界全体に後から自分たちの足跡を辿ってもらえないと次のスタンダートにはならない。
③社会実装までやり切る
一つ前の項目で発明は無個性だと言ったが、それでも「これを最初にやりました」という認知を得ないと意味がない。白熱等におけるエジソンのように。
それぞれの発明にはそれぞれの拡散装置が存在した。
ミルクボーイにはM1があった。
生ジョッキ缶は特徴的な見た目を活かしたSNS戦略があった。
NIKE厚底シューズにはそれをPRするProject "Breaking 2"があった。
マラソンで2時間をいう前人未到の大台を切ることにNIKEとトップランナーがタッグを組み挑むというドキュメンタリー。必見です。
まとめ
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