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はじめての北野映画 菊次郎の夏~私の中のインナーチャイルド

ずっと昔から北野武監督作品に興味があった
アウトレイジの作品紹介を昔観た衝撃が忘れ難くて

最近サブスクで色々な
昔見逃した映画を観る機会が出来たので
検索した事もあるのだが
まったくヒットしないのだ

先日noteの記事で
北野作品がオススメされていて
これこそいい機会だと
久しぶりにレンタルビデオ店へ行く事にした

とりあえずレンタルした作品は
菊次郎の夏とソナチネの二作品

ちょっと疲れ気味だった事もあり
映画で癒されたい思いと
その逆で疲れた時ほど激しい映画も観たくなるので
ひとつに選べなかったのだ

忙しい週末明け
さっそく
癒しを求めて菊次郎の夏から鑑賞した

ストーリーは
夏休みに会った事がない母親に会いに行く男の子と
その子供に付き添う事になったちょっと少年みたいな
大人の男性との旅のお話

はじめて北野作品を観て 最初に思ったのが
本当に主役の菊次郎(北野監督)がボケてボケてボケまくるの
最初はくすって笑う感じが
中盤で声出して笑ってて
そしていつの間にそれが涙に変わっていた

菊次郎と正男はお互い最初はどう接していいのか
分からないって関係性だったんだけど
正男の母親との関係が
自分と同じ傷を抱える同士だって気が付いてから
菊次郎は懸命に
正男を笑わせよう、守ろうって
誰かを支えて癒す側へと変化していくの

最初は自分を癒す事は自分でするには限界があって
だれか他人との交流で
人が変わっていく事が描かれている作品に感じたんだけど

正男の母親がすでに他の家族と生活している姿を見た時の
菊次郎の悲しみの表情だとか
その時に全ての時間が止まったような映像を観た時から
ふたりの姿が私の中ではひとつに重なって見え始めた

菊次郎は泣きじゃくる正男を慰めようと
沢山遊ぼうって誘う
笑わせようって色々な事をする

他の大人達も正男を慰めているようで
やり残した少年のあの日を追体験しているみたいに
みんな楽しそうで
本当にくだらない事の中で気を許して笑う事が
心の傷をどれだけ優しく包んでくれる事なのかを教えてくれる

菊次郎が母親のいる施設へ訪問するシーンが
リアルに今の菊次郎の孤独を容赦なく映していて
切なかった

それでも
菊次郎の中にいる正男を
最後まで笑顔にする旅をやり通した事が
本当に嬉しい
ここでさよならだって菊次郎が放ったセリフに
観客だったはずの私が
ここでさよならなの?って
菊次郎に言っていた

そのくらい
この菊次郎の心の中のインナーチャイルドとの旅に
感情移入していたんだろうと思う

笑ってばかりいた旅が終わる時の寂しさ

私の中にいるインナーチャイルドにも
こんな旅をさせてやりたい
そんなことを思いながら清々しい気分で
菊次郎とさよならできた
素敵な夏の大冒険の話でした

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