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歴史を知ることは、ツールであって、目的ではない

わたしは今、COVID-19対策としてロックダウン中のフィリピン・ルソン島にいます。

ほぼ100%間違えられますが、セブではありません。

「フィリピンって、セブだよね!」というのはかなりスポットを絞った認識で、「日本って、沖縄だよね!」くらい狭いんじゃないかな、と思います。

そもそもフィリピンという国は、たくさんの島の集合体です。
日本が島国だというのがはばかれるぐらい、ガチの島国です。

ほら。(ピンではなく、地形にご注目ください)

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ざっくり7,000島ほどあります。(←ナナセン?!)


フィリピンの地理をざっくり解説

フィリピンは島々を大きく括って、3つにわけています。

北から順に、
・ルソン島(←イマココ)
・ビサヤ諸島(←セブココ)
・ミンダナオ島
です。

首都マニラは、ルソン島にあります。
3月15日、感染者数50人程度の段階で、首都マニラのみがロックダウンされました。それから2日後、息つく間もなく3月17日にルソン島全体がロックダウン。その後、セブやダバオと他の島々も続いていきました。

島なので、国内線がストップしている以上、マニラの感染者がセブにウイルスを持ち込む、ということは物理的にできません。

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フィリピンの言語をざっくり解説

これほどたくさんの海を隔てた島があると、それぞれで方言を持っています。フィリピンには170以上の言語がある、と言われていて、フィリピン人同士でも理解ができない。そのために「英語」が共通語として導入され、学校教育でも英語が基本です。

だから、フィリピン人は英語が堪能な人が多いのです。
フィリピン語(タガログ語)に英語の発音が寄っている人もいますが、英語への馴染み方は日本人の比ではありません。みんな、わかる。

日本人向けの語学学校もたくさんあり、そこに在籍していました。

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トークテーマ:「ダイバーシティ」

ある日、授業中に日本の文化の話になりました。
「日本がとても好き」と、G先生が言ってくれるのです。
しかしわたしは、素直に受け取ることができませんでした。

(心の声)
……日本の何がいいのだろう。
サムライとか、和食とか、着物とか、NIPPON文化が外国人にウケていることは知っている。ただそれは、鎖国で外交を閉じたことにより生まれたガラパゴス化した部分が、珍妙で面白いというだけなのでは。特異な日本文化よりもずっと、外国のダイバーシティが浸透できる文化の方が素晴らしいじゃないか……。

ダイバーシティとは、日本語訳で、”多様性”。
「自分と違うものを認識して、受け入れる」ということです。

ここ数年、日本でも「ダイバーシティを!」と声高に言われるようになりました。その裏にあるのは、労働力の減少。これまでの働き手では社会が成り立たなくなっていくために、「女性活躍!」とか「障害者採用!」とかを、前にもまして強く言い始めたわけです。

でも、それは本来の意味では、ない。

ダイバーシティって、経済を回すために足りない部分を補う対策なんかじゃなく、「人が人を受け入れる」っというもっと深くて本質的な言葉のはず。

その言葉を、都合よく使ってしまう日本社会にもイヤイヤしてたし、”いじめ”や”自殺”がはびこってしまうような、”変”を受け入れにくい空気もある。

息苦しいー! 日本、なんでー!

そんな風に思っていました。

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G先生との授業は、マンツーマンでたっぷり毎日2時間。
たくさん話す時間がとれるので、この母国への不満を話してみました。


そしたら……、

「フィリピンはこれまでいろんな国に支配されてきた。スペインの植民地として300年以上、アメリカに50年、その後は日本にも。多様性はあるけど、独自の文化がない。日本のようにオリジナリティのある文化が羨ましい。だから、日本が好きなんだよ」と。


……オーマイガッ!?

なんてことだろう。

多様性が素敵、多様性こそ素晴らしい。
そう信じていたのに、ガチの多様性の中で生きてきた側からすると、独自の文化がない、と思っていたなんて……。

もちろん日本の歴史も、中国やヨーロッパやアメリカなど諸外国の影響をたくさん受けてできている。でも、植民地には、なっていない。

学生時代、わたしは歴史の勉強に面白さを一切見いだせず、ずーっと避け続けてきた。でも今、目の前で、自分のモヤモヤとした疑問と史実がバチンと繋がることになった。

「いいと思う!」「よくないと思う!」と意見を言ったり、「なんでこんなことが起きているのだろう?」と解決策を考えたりするためには…、端的にいうとつまり、”今”に向き合うためには、まず、日本と世界の歴史を知る必要があった。

「英語は道具であって、目的ではない」という言葉は、”歴史”にも通じることでした。

暗記をしても意味がない。理解をして、今に活かさなくては。


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