見出し画像

心の声を無視した結果

私は以前、SES企業で働いていた。
しかし、あるプロジェクトで完全に心が折れてしまい、「今後もうSESには絶対に戻らない」と心に誓い退職した。

次の就職先を決めないまま退職したので、転職活動は難航した。
毎日「これからどうしよう」と、不安と焦りにつきまとわれた結果、私は結局別のSES企業に再就職した。

そして炎上プロジェクトに配属され、現在進行形で精神を擦り切らしながら働いている。
過去の自分を思い切りひっぱたいてやりたいと、毎日後悔している。
なんて愚かなことをしたのだろう。
こうなることは分かり切っていたのに、それでも過ちを犯すとは正気の沙汰ではない。

転職活動を始めた頃は「やりたいことは無いけど、SES以外で今までの経験を活かせる職場を探そう」と思って色々見ていた。

しかし、面接に行くどころか書類すら通過せず進展が無いまま3か月ほど経った。転職活動にも疲れて、収入が無いまま3か月も過ぎるとやはり焦りが出てくる。

何か行動しないと、と思い転職エージェントに登録した。
そのエージェントは、自分に興味をもってくれた企業からオファーが来れば面接に進むというやり方だった。

しかし、「オファーが来たら一次面接は必ず受けてください」と言われた。

そこまで大した経験もない自分は、「オファーなんて簡単に来るものではないし、とりあえず登録だけしておこう。後は並行して自分で転職活動を続けよう」というくらいの軽い気持ちだった。
そのエージェントに登録したのが金曜日。

翌週の月曜日。
エージェントの担当者から電話がきた。

「早速4件もオファーが来てます!」

おめでとうございます、喜々とした声でそう伝えられた。
「そんなバカな」と思った自分は、オファーをくれた会社名を訪ねた。

すると、4件全てがSES企業だった。
エージェント担当者との面談で「SES企業は避けたい」と伝えていたはずだが、言い方が甘かったのかどうやら想いは通じていなかったようだ。

"オファーが来たら1次面接には必ず進む"

このルールがあったため、全く望まない形で面接を4件もこなすことになってしまった。

最初は、「もし内定をもらってもすぐ断ろう」と思っていた。
SES企業は、社員を派遣させればさせるほど収益に繋がるので、ほんの少しでも経験があれば(むしろ未経験でも若ければ)誰でも入社させる、そんなイメージがあった。

しかし、4社の内3件は内定に至らなかった。
自分は若くもなければ経験もない、そんな現実を突きつけられた気分だった。

最終的には、そのうちの1社から内定をもらった。
それでもすぐに断るつもりでいた。
面接で聞いた会社の制度や雰囲気も好きになれなかったし、何よりSESには戻らないと決めていた。


そんなエージェントとのやり取りをしている傍らで、自分でも色んな求人をチェックしていた。


もう心が疲れてしまっていたので、とりあえず普通の状態に復活させたい。そのためには、スキルだとか今後のキャリアとか考えることはやめて、"日々穏やかに暮らせること"、"そこで働くことを想像した時、心に負担がかからないこと"を前提に派遣の求人をチェックしていた。

食べることだけが楽しみな自分は、求人検索で「社員食堂あり」の条件にチェックを付けてみた。

"社員食堂有!400円~でおサイフも喜ぶ!"

そんな謳い文句に心動かされ求人内容を確認すると、仕事内容も難しそうじゃないし、残業もほとんど無い。
「ストレスが少なそうでいいな」、と率直にそう感じた。
そこでもし働けたら、と考えるだけで少しわくわくした。

とりあえず応募ボタンは押しておいた。


そこから数日も経たないうちに、以前面接を受けたSES企業から内定通知を受けた。

派遣の仕事の応募結果がまだ届いていなかったので、内定承諾の期限ギリギリまで待ってもらうことにした。

そして内定承諾の期限当日、派遣会社の方から「派遣先との面談に進んでいただきたいです」と連絡が来た。
派遣先との面談に進んで欲しいというだけで、採用かどうかはまだ分からない。


自分は究極の2択に迫られていた。

1つ目の選択肢は、

正社員・内定が出ている・安定した給与
ただしあれだけ戻りたくないと思っていたSES企業

2つ目の選択肢は、

採用されるか不明確、時給、今後給与が上がる見込みは無い
ただし心に負担が無さそうで、働くことを想像するとわくわくする派遣の仕事


私が選んだ選択肢は、1つ目だった。



そして、今そのことをとても後悔している。
いや、自分の中では「どちらの選択肢を選んでも後悔することになるだろう」と思っていた。
SES企業に就職して後悔しそうな理由はもう明白だが、派遣の仕事を選んで後悔しそうということについては、派遣だから、とかそんなことではない。雇用形態などもはや気にしていない。


自分は、システム開発の業務からすぐに逃げたという負い目があった。


「もう少しだけ耐えていたら、何か違う景色が見えたんじゃないか?」
「あのプロジェクトが異常だっただけで、他のプロジェクトだったら何か違うんじゃないか?」
「苦労を耐え忍んだ先には、それに見合う結果が付いてくるんじゃないのか?」


そんな考えが頭をよぎったのだ。
他のプロジェクトなら、他のSES企業なら、・・・
そんな"IF"の可能性を捨てきれず、もう1度だけ戻ろうと思ったのだ。


そして、何度も言うが、予想通り毎日後悔している。

どうやら、SIer界隈のシステム開発現場はどこも似たようなものらしい。
少ない経験値で話しているのでご容赦いただきたいところはあるが、前の現場でも今の現場でも、聞こえてくる会話は似たようなものだ。

厳しい納期に長時間残業。
ソースコードが正しいのか設計書が正しいのか問題。
何かを管理する為の表が大量にあり、それをまた管理する別の一覧表があり・・・、と山のように存在する資料。


そして、これは自分の経験不足だろうが、周りの人の会話が全く理解できない。
全て日本語で交わされているにもかかわらず、だ。
技術的な会話じゃなくても、指示されている内容が理解できない。
「結局のところあなたは私に何をしてほしいのか?」それが全く見えない。


本当にこれを耐え忍べば希望の光は見えるのか?


かなり疑わしい。


派遣の仕事を選んでいたらどうなっていたんだろう。
毎日定時ぴったりの時間に退勤して、帰りにスーパーで食材を買って晩御飯を作る。
次の日のお弁当を用意しても、まだ夜に自由時間がある。
もう「仕事のための自己研鑽しないといけないんだろうな・・」とかそういったプレッシャーから解放されて、罪悪感を感じずに好きなだけYoutube見ようがゲームしようが構わない。(結今でも自己研鑽などしていないが)
そんな毎日を過ごして、自然と心の力が復活していたかもしれない。

もう、たらればの話なので意味はないが、そう思えてやまない。

今は全てが逆の生活だ。

定時の概念が無くなってきて、
家に帰ると9時を回ってご飯を作る時間なんて無いから、仕方なくファミレスで軽く食べて帰る。本当は栄養のあるものを作って食べたい。
節約したいから帰宅後にお弁当は作る。
後はお風呂に入ったら寝るだけ。本当はもっと早い時間に寝たい。

頭が軽く沸騰している状態がここ最近ずーっと続いている。
吹きこぼれては無いが、フツフツとずっと絶え間なく沸騰している。


以前、「心の声に従って生きる」などと前向きな記事を書いたはずなのに、また心の声を無視して同じ過ちを繰り返している。


やっぱり心の声は無視するもんじゃないな、と痛感する毎日。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?