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ひやむぎ、お江戸に行く~1日目~
どうも、私です。
今日は、「ほぼ初めての東京にウキウキしていたら、緊急事態が起きた話」をします。
お付き合い下さい。
◆
ある夜のこと。
私は、軽い気持ちとはこのことと言わんばかりに、携帯電話を操作していた。
そして、その知らせは届いた。
いや、届いてしまった。
私「お姉ちゃん、大変。お姉ちゃん、大変。お姉ちゃん、大変。お姉ちゃん、大h…」
姉「おうおう、急にバグってどうした」
私「お姉ちゃん、待って。お姉ちゃん、待って。お姉ちゃん、待って。お姉ちゃん、待っ…」
姉「落ち着いて話してみ?」
私は、興奮と少しの困惑に震える手で携帯電話の画面を姉に見せた。
それは、私の人生史上最大の運で『新作歌舞伎 FINAL FANTASY Ⅹ』のチケットがぶち当たったことを知らせる通知だった。
私「大変!!!!!」
姉「大変!!!!!」
半ば過呼吸状態でそう叫び、私達は手を取り合い、そして、
爆笑した。
人というのはどうやら、大きすぎる興奮に見舞われると爆笑してしまうらしい(私調べ)。
そして、ひとしきり爆笑した後、姉は決意を固めた。
姉「むぎちゃん」
私「何でしょうか?」
『鳳凰祭四月大歌舞伎』を、見に行こう。
私「ということは…!?」
生の『仁左玉』じゃい!!!!!
そう、『鳳凰祭四月大歌舞伎』の夜の部で、片岡仁左衛門さんと坂東玉三郎さんが出演される『与話情浮名横櫛』が上演されると聞いていたのだ。
こんな絶好の機会を、逃してはならない。
というわけで、私達姉妹は東京へ向かうこととなった。
何度も吟味した上で、歌舞伎座の座席を確保し、新幹線を予約。
それから数日経ったある日の朝、2泊3日の東京旅へと繰り出した。
姉「ドキドキしてきた…」
私「いよいよ、生の『仁左玉』だもんね」
姉「仁左衛門様♡」
私「玉三郎様♡」
姉、私「乙女かよ。笑」
と笑いつつ、東京駅に到着した。
目の前に広がっていたのは、東京駅という名の巨大迷路だった。
(私達姉妹のように関西圏にお住まいの方は、梅田駅を思い浮かべてもらえると分かりやすいと、姉が言っています)
姉「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」
私「ここは誰、私達はどこぉぉぉぉぉ」
と右往左往すること数分。
私達は、歌舞伎座がある東銀座駅を目指して、東京メトロに乗った。
姉、私「東京駅、おそろしい子…(白目」
今までに感じたことのない疲労感と、生の歌舞伎と生の『仁左玉』が見られる期待を胸に、私達は東銀座駅に辿り着いた。目の前に広がる売店では、歌舞伎揚げを始め、歌舞伎グッズがこれでもかと売られていた。
ひと際目を引いたのは、『仁左玉』の舞台写真。
過去に共演された舞台のワンシーンの数々が売られていたのだ。
もちろん、買った。←
これだけでもかなり満足し、ホクホクしている私達は歌舞伎座前に向かうと、記念に写真を数枚撮り、歌舞伎座近くの喫茶店でお茶をした。
姉「いい買い物をした」
私「これだけでも、満足」
そう笑いながら、コーヒーを飲んでいた姉の携帯電話にある知らせが届いた。
画面を見つめる姉の表情は、嬉しそうで楽しそうな笑顔から一転 、絵に描いたような顔面蒼白になった。
姉「嘘やん……」
私「どした?」
姉が見せてきた、携帯電話の画面を見て、私も胸がざわついた。
それは、仁左衛門さんの体調不良による休演を知らせるものだった。
姉「仁左衛門様ぁぁぁぁぁ」
私「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
天を仰ぎ、頭を抱え、私達は周囲に聞こえるか聞こえないかの声で叫んだ。
姉「マジか……」
私「ここに来て、まさかの……」
1番つらくて苦しいのは、仁左衛門さんご本人のはずだ。
そう分かってはいても落ち込まずにはいられなかったし、仁左衛門さんの快復を心から祈った。
そして、もうひとつ、私達姉妹には心配なことがあった。
店内に、私達のように楽しみにして来たのであろうご婦人方が、多数見受けられたことだ。
彼女達は少なくとも、今この瞬間、何が起きているかを分かっていない。
私達の口から伝えたくても、出来ないのがもどかしくて堪らなかった。
喫茶店を後にし、歌舞伎座に向かうと人だかりが出来ていた。
仁左衛門さんの快復を願いながら、玉三郎さんや他の出演者の皆さんを労わる人達。
事情説明に駆け回る歌舞伎座のスタッフの皆さん。
それぞれが心配そうに、歌舞伎座の前に集まっている。
私達は、歌舞伎座に向かって、頭を下げた。
「どうぞ、お大事に」
姉は、歌舞伎稲荷大明神で手を合わせた。
その帰り、喫茶店で見かけたご婦人の1人が異変に気付いて、歌舞伎座へ駆けて行くのを見かけた。もしかしたら、私達の小さな叫びを聞いていたのかもしれない。
そう思いながら、私達はご婦人の背中を見送った。
2023.4.8~ 片岡仁左衛門さんが復帰されたと聞いて、安心しました。
どうか、千秋楽までご無理のないようにと願うばかりです。
2023.4.16 和泉屋多左衛門役 市川左團次さんの訃報に際し、心よりお悔やみ申し上げます。
その日の夜は、焼肉を食べた。
とても美味しかったけど、塩で味付けされたカルビを食べた瞬間、味が濃くて、
姉、私「しょっっっっっ!!!!!」
と2人共、同じ反応をしてしまったのには笑った。
美味しかったけど。(大事なので2度言いました)
食事中。
話が仁左衛門さんのことから、歌舞伎全体の話に広がったのもあって、ふと思ったことを姉に言った。
私「仁左衛門さんや先代の市川團十郎さん、松本白鸚さんの世代にSNSが普及していたらどうなってただろうね」
姉「あー……」
※ここからの話は、姉妹による完全な妄想です。
勝手に盛り上がった結果が、こちらになります。
姉「仁左衛門さんは、多分SNSをやらない気がする」
私「先代の團十郎さんと白鸚さんも、やらないだろうな」
姉「多分、誰かのSNSの写真に写り込むことはあっても、自分からはやらないだろうな」
私「写り込んでるのを見られるだけでもレアな感じのやつ!」
姉「それ!」
私「玉三郎さんは、写真だけ投稿しそう」
姉「『春はあけぼの。』ってだけ書いてあって、桜の写真を投稿しそう」
私「あー、ありそう!」
姉「で、レストランで食事したときに投稿された写真をよく見ると、仁左衛門さんの手元が写っていて、仁左玉推しを殺しにかかるんだよ」
私「それは、死んじゃう」
姉「勘三郎さんが、1番SNSの更新頻度が高そう」
私「公演のお知らせ以外にも、プライベートなことも投稿しそう」
姉「『最近のお気に入り』ってさ、林檎味のサw……」
私「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
姉「wwwwwwwwww」
私「危ない(?)」
姉「危ないね(?)」
危ないところだった(?)
よろしければ、お願いします。 お願いします!!(圧