夢に出てくる謎の男

 私はよく夢を見てその大半を記憶している。夢は内容こそ支離滅裂なものが多いが、オールカラーで音も鮮明に聞こえ、匂いも味も触覚も全て備わっている。私にとって夢は単に睡眠時の脳の働きではなく、別の次元に移動しているようなものだ。
 その夢に度々同じ人物が登場してくる。そしてその人物とは夢から覚めてからの現実世界で一度も会ったことがない。ここまで聞くと有名な都市伝説の「This man 」のことを思いうかべる方もいるかもしれないが、残念ながら彼でもない。
 その人物は大体数ヵ月に一回くらいのペースで夢に登場し、関係性も様々である。ナイフを持って追いかけてきた時もあれば親し気に談笑していた時もある。級友という設定の時もあれば仕事上のパートナーになっていた時もある。人物の性別は男性で、アジア人とヨーロッパ人の混血であると思われる。日本語の他にヨーロッパ圏の言語らしき言葉を話していることもある。年齢は私と同じ二十代前半位。肌は青白く、髪の毛は黒。そして目の色は紺色だ。
 そして彼について何より不思議に思うのが、初めて夢に出てきた小学四年生の頃から彼は私と同じように年を取り成長しているということだ。彼が夢に出始めてきた時はまだ身長も低く、声も高かった。しかし夢で会うたび会うたび身長が伸び、いつの間にか声も低くなっていた。
 以上が私の夢に関する不思議なことである。最近は彼が夢に出てくることはないが、そのうちまた会うかもしれないのでその時はまた報告しようと思う。

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