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ゼルジーとリシアン

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2020年12月の記事一覧

7.物語の始まり

 次の日も、パルナンは森へやって来た。
「パル、今日は虫採りに行くんじゃなかったの?」ゼルジーが聞く。
「あの桜の木、べったりと樹液が付いていたろ? もしかしたら、面白い昆虫がやって来てるかもしれないと思ってさ」それがパルナンの答えだった。
「そうかも」リシアンが同意する。「沼にはカエルやザリガニもいるし、もしかしたら、大きなトンボが飛んでくるかもしれないわ」
 桜の木を一廻りするパルナンだったが

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8.こわ虫の森

 「木もれ日の王国物語」と書かれたノートは、リシアンの手によって毎日ページが埋められていった。このところ雨も降らず、ゼルジーとリシアンは連日桜の木のうろへ入り浸っている。午前中の虫探しが済むとパルナンもやって来て、空想ごっこに加わるのが日課となっていた。
 この日も3人は、うろの中のこぶに腰掛けて冒険の準備をしているところだった。
「わたし達、いつもいたずら妖精のパルナンには負けてばっかりね」持っ

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9.リシアンのいない空想

 ゼルジーはいま、パルナンと同じ部屋を使っている。リシアンは夏風邪をひいてしまい、自分の部屋のベッドでうんうんうなっているのだった。
「かわいそうなリシー」ゼルジーはため息をつく。「こんなにいい天気だっていうのに、外へ行けないんですもの」
「風邪じゃしかたないさ。おとといの水浴びが悪かったんだな。そうでもしなけりゃ、過ごせないような暑さだったけど」パルナンはベッドに腰かけて、足をぶらぶらさせながら

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10.禁断の扉

「わたしがカゼをひいている間、こんな素敵な冒険をしていたのねっ」すっかりよくなったリシアンは、ゼルジーから聞いた物語をノートに書き記している最中だった。
「まさか、パルナンが一緒に『グリーン・ローズ』を探してくれるとは思ってもみなかったわ」綴られていく文字を眺めながら、ゼルジーもうなずく。
「まあね、ぼくだっていつも悪さばかりしているわけじゃないさ」少し照れながら、パルナンが答えた。
 空想の記録

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