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ダレカA

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#THE_LIVING_DEAD

礎-Ending/BUMP OF CHICKEN(A)

礎-Ending/BUMP OF CHICKEN(A)

 AL『THE LIVING DEAD』の「Ending」。言うまでもないけれど「Opening」とセットの楽曲。どちらも言葉にメロディが付いているので歌であることは間違いない。だけど、気の抜けたようなユルユルとした声と、簡単な単語だけを使った喋り言葉みたいな詩は、小さい子をあやすためにお喋りしているみたい。

 この10年後に産み出される「魔法の料理~君から君へ~」も、おんなじような雰囲気を纏っ

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始まりのカーテンコール-グロリアスレボリューション/BUMP OF CHICKEN(A)

始まりのカーテンコール-グロリアスレボリューション/BUMP OF CHICKEN(A)

 26年間。彼らが産み出してきた数多くの楽曲の中で、最もパワフルで荒々しく感じるタイトル(次点で「グングニル」)。

 収録されているALは8編の物語を主軸に構成されており、この楽曲は最後の物語。その間に語られる7編の物語は、何れも少なからず悲しみや悩みを抱えており、悲劇めいた陰が差し込んでいた。

 そんな物語達を肯定しながらも、結末をひっくり返して、すべからくグッドなエンドへと導くために。呪縛

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羨むべき矜持-K/BUMP OF CHICKEN(A)

羨むべき矜持-K/BUMP OF CHICKEN(A)

 不吉の象徴である黒を持った物語の主人公は最初は虐げられ、最後はハッピーエンドとなるのが定番。

 御多分に漏れず、この物語の主人公である黒い猫も虐げられ、ハッピーエンドへの道を辿る。ことが出来ず、黒い猫は常に敵に囲まれた状況下を生きる。味方だった唯一の友は道半ばで逝ってしまう。最後は、間際の友の願いを叶えるために孤軍奮闘し息絶えてしまう。そんな悲劇の物語。

 客観的には不幸で報われない一生。だ

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死にもの狂い-続・くだらない唄/BUMP OF CHICKEN(A)

死にもの狂い-続・くだらない唄/BUMP OF CHICKEN(A)

 日々が回るにつれて、当たり前だけど私たちは、かつての自分から変化している。それに気づいたとしても、何とも思わずに通り過ぎてしまう。この物語は、変化に気づき、立ち止まってしまった男の話。

 彼は事実を受け止めきれない様子で、これまでを廻る。零れ落ちていく様々な思いの全てから「一体なぜこうなってしまったのか?」という後悔の念が漂う。音はどんよりとしていて、今にも雨が降ってきそうな、鉛色の空を思わせ

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行方不明-ベストピクチャー/BUMP OF CHICKEN(A)

行方不明-ベストピクチャー/BUMP OF CHICKEN(A)

 絵を描くコトが生きるコトである絵描き。絵を描き続ける表情は憂いに満ちている。その基になっている1つが、誰にも認知されることもない苦しみ、そしてもう1つは、絵を描く意味が行方不明になってしまった苦しみ。

 どちらも、自分自身の存在証明が揺らぐ、大きな問題。こんな状態だからこそ、音は暖かくポップな雰囲気はあるけれど、所々で荒んだ唸りが鳴っている。暖色と寒色を交互に塗りたくるような。そんな音像が広が

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無限のモノサシ-グングニル/BUMP OF CHICKEN(A)

無限のモノサシ-グングニル/BUMP OF CHICKEN(A)

 人はそれぞれのモノサシに基づいて色々なコトを判断していて、計れなくなったモノは異質で不明瞭に見えてくる。

 小さい頃に立てた目標地点を目指し、なりふり構わずに向っていく行為は、時間の経過と共に、モノサシが振り切れてしまうことが多い。そのため、周囲からの声や自分自身の移ろいによって、姿勢を崩してしまいそうになる。そんな不穏な空気を吹き飛ばすように、曲は怒涛の勢いで駆けていく。

 自分たちの音楽

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魔法がかけられた-Opening/BUMP OF CHICKEN(A)

魔法がかけられた-Opening/BUMP OF CHICKEN(A)

 言葉が多ければ多いほど、たくさんのコトが詰め込める。けれど、その代わりに一番伝えたいコトが伝わらなくなる可能性がある。

 言葉を修飾すればするほど、ふくざつなコトを表せる。けれど、その代わり本当に伝えたかったイミから遠ざかる可能性がある。

 この曲では、伝えたいコトが、誰にでも伝わるように。そぼくなギターの音色と共に、かんたんな言葉達が短い時間で穏やかに語られていく。

 その様は、なんだか

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再点火-ランプ/BUMP OF CHICKEN(A)

再点火-ランプ/BUMP OF CHICKEN(A)

目標を定めてどれだけ準備をして、荷物をかばんにつめこんで、勇んでも。道中の様々によって、当初の熱量は徐々に失われる。私はそれがたびたびあって、そのたび弱い自分に嫌気が刺す。そんな風に悶悶として荒んでしまった時、この楽曲は沁みいる。

 常に熱量を持ち続けているように見える彼らでも、熱量を失うこともある。そして、都度それを取り戻しながら進んでいるというコトが、優しいロックなサウンドに乗って伝わ

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