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ダレカA

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2022年3月の記事一覧

羨むべき矜持-K/BUMP OF CHICKEN(A)

羨むべき矜持-K/BUMP OF CHICKEN(A)

 不吉の象徴である黒を持った物語の主人公は最初は虐げられ、最後はハッピーエンドとなるのが定番。

 御多分に漏れず、この物語の主人公である黒い猫も虐げられ、ハッピーエンドへの道を辿る。ことが出来ず、黒い猫は常に敵に囲まれた状況下を生きる。味方だった唯一の友は道半ばで逝ってしまう。最後は、間際の友の願いを叶えるために孤軍奮闘し息絶えてしまう。そんな悲劇の物語。

 客観的には不幸で報われない一生。だ

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死にもの狂い-続・くだらない唄/BUMP OF CHICKEN(A)

死にもの狂い-続・くだらない唄/BUMP OF CHICKEN(A)

 日々が回るにつれて、当たり前だけど私たちは、かつての自分から変化している。それに気づいたとしても、何とも思わずに通り過ぎてしまう。この物語は、変化に気づき、立ち止まってしまった男の話。

 彼は事実を受け止めきれない様子で、これまでを廻る。零れ落ちていく様々な思いの全てから「一体なぜこうなってしまったのか?」という後悔の念が漂う。音はどんよりとしていて、今にも雨が降ってきそうな、鉛色の空を思わせ

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行方不明-ベストピクチャー/BUMP OF CHICKEN(A)

行方不明-ベストピクチャー/BUMP OF CHICKEN(A)

 絵を描くコトが生きるコトである絵描き。絵を描き続ける表情は憂いに満ちている。その基になっている1つが、誰にも認知されることもない苦しみ、そしてもう1つは、絵を描く意味が行方不明になってしまった苦しみ。

 どちらも、自分自身の存在証明が揺らぐ、大きな問題。こんな状態だからこそ、音は暖かくポップな雰囲気はあるけれど、所々で荒んだ唸りが鳴っている。暖色と寒色を交互に塗りたくるような。そんな音像が広が

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無限のモノサシ-グングニル/BUMP OF CHICKEN(A)

無限のモノサシ-グングニル/BUMP OF CHICKEN(A)

 人はそれぞれのモノサシに基づいて色々なコトを判断していて、計れなくなったモノは異質で不明瞭に見えてくる。

 小さい頃に立てた目標地点を目指し、なりふり構わずに向っていく行為は、時間の経過と共に、モノサシが振り切れてしまうことが多い。そのため、周囲からの声や自分自身の移ろいによって、姿勢を崩してしまいそうになる。そんな不穏な空気を吹き飛ばすように、曲は怒涛の勢いで駆けていく。

 自分たちの音楽

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魔法がかけられた-Opening/BUMP OF CHICKEN(A)

魔法がかけられた-Opening/BUMP OF CHICKEN(A)

 言葉が多ければ多いほど、たくさんのコトが詰め込める。けれど、その代わりに一番伝えたいコトが伝わらなくなる可能性がある。

 言葉を修飾すればするほど、ふくざつなコトを表せる。けれど、その代わり本当に伝えたかったイミから遠ざかる可能性がある。

 この曲では、伝えたいコトが、誰にでも伝わるように。そぼくなギターの音色と共に、かんたんな言葉達が短い時間で穏やかに語られていく。

 その様は、なんだか

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勇ましき臆病者-バトルクライ/BUMP OF CHICKEN(A)

勇ましき臆病者-バトルクライ/BUMP OF CHICKEN(A)

タイトルにある「クライ」は果敢な叫びである。と思わされる程に、声を枯らしながら唄う様が印象的で、耳に飛び込んでくる。四方八方鳴り響く音は、パワーに溢れ、足取りは軽快。鬨の声を上げる勇士の姿が、頭の中に思い浮かぶ。

 けれど、耳を澄ましてみると、所々にたどたどしさが見え隠れ。そんなことを思えば、今までの勇士の姿は、みるみる内に虚勢を張った臆病者の姿に変わっていく。「クライ」が、何かを求めて泣いて

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