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シュウハルヤマ

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「無駄」執筆陣一の男前、シュウハルヤマによる文章。
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#野火

シネマディクトSの冒険 ~shuの映画時評・第一回「野火」~

塚本晋也「野火」(2015)87分・アメリカンビスタ

 自らがなにかに引き裂かれ、分裂を回避できないとき、そこに倫理が生じる。戦場では文字通り肉体としての人間が現れる。それは「犬」や「猿」のようなものであり、肉片である。そうした事実を認めながらも、人間という存在はそれだけではないはずだと思わずにはいられないこと、これが倫理である。しかし倫理は肉体としての人間のみからは生じない。いかにしてこれが生

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