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オルカパブリッシング
2020年2月11日 17:09
「誰にも言っちゃだめだからね」と彼女は言った。「二人だけのひみつだからね」 わたしは頷いた。誓約書に署名するみたいに、確実に、丁寧に。誓いを立てる。「神に誓います」。実際はそんなことは口にしない。ただ、そういう思いを込めて頷く。すると彼女は微笑んだ。急に光が差したみたいな、何か祝福されたような、とても印象的な笑顔で。とてもきれいだった。いまでもその微笑みは瞼の裏に焼き付いている。彼女の微笑み。