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もう…29歳、魔法少女が引退する時

 酔っぱらいのサラリーマンが愚痴を叫びながら叫んでる、とある町の繁華街の路地裏、腰を曲げ地面を見ながらつぶやく

「はぁ!疲れたぁ」
「もう、歳だからね」

 こいつは、本当に口が悪い、見た目はかわいいが、しゃべりはおじさんと変わらない、15歳にこいつに助けてもらい、いろいろと言われながら14年ちかくやってきた

 こいつは人ではない、普通のひとにも、霊能者にも、見れない、私だけしか見れない、話さない、よく言うテレビアニメの魔法使いの横にいる、サブキャラとか、マスコットキャラとか言われるのに似てる。
 そう、私は、15歳から魔法少女をしている、現在29歳、会社員 仕事の合間に魔女を倒している。数えきれないぐらい倒してきた。

「ギャラ、今月末までに振り込んでおくから、よろしく~」

 魔法少女は、無報酬でボランティア活動の一環みたいに思っているひともいるが、「出来高報酬制」魔女の種類にもよるが、低俗の魔女で3万ぐらい魔女のレベルが高いと、何十万になる。けど、アルバイト感覚でお金を貯めることができた。大学も、奨学金というローンを組まず、卒業することもできた。ある意味、あのマスコットキャラクターには助けてもらった。

 その名は「ロペス」いろいろと博学で何でも知っている、魔女の弱点から雑学まで教えてくれる。こいつと組んでいたから今まで生き延びてこれた。とりあえず、瞬間移動で家に帰ってきた。

「お前、今年30歳だよな」
「そうだけど…」
「いいひといるの?彼氏とかさぁ~」
「いるわけないやん、仕事終わって魔女退治してさ、睡眠時間もないんだからね!」
「ほかの魔法少女に聞くと、大体みんな彼氏つくってよろしくやってるぜ!お前ぐらいなもんだろう、ひとりでまじめに地味に愚直にコツコツ魔女退治してるの」
「どーせ、ランチにも誘われない一人でお弁当食べてるコミュ障の陰キャですよ!まじめだけが取り柄ですよ!わたしは」
「おまえ、魔法少女のくせにきゃぴきゃぴ感ないんだよね、」
「きゃぴきゃぴってなんだ?わかりませーん」
「知ってるだろ!」
「しりませーん!」

相棒でもあり、こいつと仲良くやってきた、なんとか、文句言われながらもやってきた…

「お前さ、契約書とか残してる?紙で15歳の時渡したよね?」
「えっ!どこやったやろう?…」

「お前さ、契約書に書いてあるけど、魔法少女の定年って知ってる?」
「知らない、契約書読んだ覚えがない…」
「本当に、魔女退治楽しんでいたんだなぁ…お前は」
「楽しんでないです!」
「33歳定年! 大半が、結婚すると魔法退治と両立ができず、寿退社するんだけどね」
「昭和か!」
「うちらの次元は「昭和のバブル期」なの、未だにノルマとかあるんだよ、お前が優秀なんでいつも「最優秀!MVP!」お前は実は、他の魔法少女よりギャラが高いのもお前が最優秀だからだ、結構ため込んでるだろ!」

(口がわるいのもわかった気がする)

「そんな事より、もっと大事な事を話そう、33歳までに結婚しないとお前は魔女になるんだよ」
「うそ!」
「大体、33歳ぐらいから魔女化が始まる」
「魔女化って…」
「だんだん、33歳ぐらいからなぁ…ネガティブ思考になり…愚痴が増え、やさぐれたり、文句が増えたり最悪、精神疾患になり…犯罪者になるか魔女化するんだよ、三面記事のおばさんの珍事件の32%は魔女にもなり損ねた魔法少女なんだよ」

(そういえば…契約書に書いてあったような…ないような…)

 私は、今まで、波風立てず生きてきた、その為には、まじめに生きることが大事だと考えてきた、学校も、職場も、難なく過ごしてきた。トラブルを避けるため、魔法少女であることがばれないように、友達を作るのも避けた、未だに、友達はいない。これであと3年で結婚しないと魔女になるなんて言われて、どうすりゃいいんだ、

「あとさ!、35までに子どもを授かった時点で退職金が出るんだよ、君だと5千万は越えるな、あと、魔法は使えなくなる…」
「そんなに…けっこう魔法便利やったんだけどなぁ…」
「よくやってくれたお礼だよ、おれも隠居だ」

「33で魔女になるか?結婚して人として生きるか?やよく考えておいてな、俺は、どっちでもいいんやけどね、君はMVP取っているいる魔法少女なの、凄い魔女になる確実に!」

「魔女って…狩られる側になるわけ!退治される側!そんなぁ~もっと早くいえよ!」
「知っているかなぁとおもぅて、30手前なので一応話しておかんとな、また結論でたら教えて」

昔から、コミュ力がない…同性でも、話すのが苦手…今から結婚相手探せって無理やわ…しかもあと3年しかない、考えたこともない…無理だろう…平凡に生きてきたので魔女になってやさぐれて魔女になるのがオチだ…とりあえず寝よう…

つづく

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