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東京での赤字生活から、いすみに移住。豊かな暮らしの理由は「8つの資本」?


こんにちは、ちゃこです。

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初めてのnoteでいきなりですが、
いすみ市地域おこし協力隊になって半年が経つので、
①東京での赤字生活から移住までの経緯
②いすみで感じる豊かな暮らしと、その源の話。
③今抱えている悩みや葛藤を、振り返ってみます。

<この振り返りを書いてみようと思った理由>


人によって「幸せと感じる暮らし」は違うので、「いすみ最高!地方最高!みんなおいで!」なんて手放しで言うつもりはないのですが、もし私と同じように東京での暮らしが合わないんじゃないかと思っている人がいるなら、
東京で暮らす以外の選択肢が、もっとフラットにあっても良い』と、私が思っていること、十人十色、その人に合う場所がきっとあるということ(を私は信じているので)が伝わったらいいかなぁと思い、書いてみます。

<東京で暮らすことの疲弊度が私には大きかった>

大学2年の頃から東京で働いていて、合計7箇所くらいの職場でお世話になりました。仕事の内容自体にはそれぞれ満足していたし、それなりに充実した毎日だったけれど、そもそも「東京で働く」ことに私はフィットしていなかった気がします。

【東京にいた時の生活】

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・満員電車で朝1時間、夕1時間ぎゅうぎゅうで疲弊。本を読むスペースもないので、必死にスマホを取り出して音楽を聞いたり、SNSをものすごいスピードでスクロールして、遠く離れた友人の近況に一喜一憂したりする。
身体的になぜか疲れるし、友人の生活を画面越しに見てなんだか焦る。
・情報の多さと速さで疲弊。音も、光や広告などの視覚情報も、内側の自分の感情の揺れも激しくて、無意識に頭が動き続けて情報処理エブリタイム。(多分音敏感症かなにか。)→自分の気持ちや体の変化に気づくことができなくなっていって、体調を崩したり、愛想笑いが定着する。
・会社の目指しているものは「会社のミッションの実現と経済的成長」
会社の意図と自分の生きる意図との違いに矛盾を感じ、それを見ないふりしてストレスを感じる。(たまに言われる「大人になれよ!=(我慢して集合体に添いなさい!)のもっともらしい人間性喪失感にも疑問が尽きない
・疲弊が続く中、勤務後にカラオケに行ったり、飲みに行ったり、ヨガに行ったり。→「ストレス発散の為に、体力とお金を結構使ってしまった」というストレスがたまる。→ストレスのループ
・平日頑張って働くので、土日にその疲れを癒すためにゴロゴロし、寝る。(もしくは遊びまくる)のループ。→自分の学びや振り返り、ビジョニングをする余白がない。
全体的に「不足感」がたまる。「私は何をしてるんだろう。お金はたまらないし、自分の在りたい姿と一貫性が取れていない。でも、負のループから抜け出す方法はわからないし、お金稼がなきゃだから・・・」→自分の不足感を埋めてもらいたくなって彼氏に依存する。
・彼氏への依存はだめだ!自分で生きる力を得なきゃ。そうだ。もっと働こう。経済的にも安定するし、生産性をあげることは自分の為になるぞ!→ブレーキをかけることなく週7日働き続ける→エンストして引きこもる
・平日頑張って働き、土日にその疲れを癒すためにのんびりする。(もしくは遊びまくる)のループ。自分の学びや振り返り、ビジョニングをする余白がない。


<東京住みを卒業するきっかけになったこと>

こんな負のループにズブズブにはまっていた2018年2月。
最後のパンチラインが家賃の更新料(確か20万)

「20万?どうやって払うん!なんで更新の為だけにそんなお金が必要なのか納得できるように説明して!」

と思ったのと同時期に、サティシュクマールの言葉を耳にしました。

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<サティシュ・クマール>
1936年インド生まれ。9歳でジャイナ教の修行者となり、18歳で還俗。マハトマ・ガンディーの非暴力と自立の思想に共鳴し、2年半かけて核大国の首脳に核兵器の放棄を説く1万4千キロの平和巡礼を行う。1973年に英国定住。40年にわたってエコロジー&スピリチュアル雑誌「リサージェンス(再生)」の編集長を務める。また「スモール・イズ・ビューティフル」の著者として知られる経済学者E・F・シューマッハー、とガンディー、タゴールらの思想を引き継ぐ大学院大学「シューマッハー・カレッジ」を創設。世界中で講演を行い、Soil(土)Soul(心)Society(社会)の3Sの大切さを伝えている。
『働き過ぎてはいけません。多くの人が週に5日働いていますよね。なかには週に6日、7日だったり、一日10時間以上も働いていたりする人もいることでしょう。もしローカル経済を実現したいと思うなら、週5〜6日勤務から週3日にしてみましょう。お金のためにそんなに働かない勇気を持ちましょう。

そして働いていた時間の代わりに、新しいスキルを学びましょう。陶芸、大工仕事、ガーデニング、料理、何でもいい。私たちはどんな年齢であっても、美しいスキルを学ぶことができるのです。スマートフォンを使うよりも、自分の「手」を使って美しいスキルを学び始めることを、今自分に決意しましょう。グローバル経済は、私たちを消費者に仕立て上げました。そして、誰もが想像し、披露できたアートは、一部のエリートや大きなギャラリー、コンサートホールによって取り上げられてしまいました。

しかし、私たちは「手」を使う時、同時に私たちの「想像力と創造性」も使うことができます。想像力と創造性を発揮することによって、私たちはアーティストになるのです。アーティストというのは特別な人ではありません。全ての人が、すでにアーティストなのです。想像力や創造性を求めて、スーパーやデパートに行く必要なんてありません。一人一人に等しく、想像力や創造性は与えられているのです。ローカル経済は、私たちをアーティストに、詩人に、そしてつくり手にします。「私は消費者ではない、アーティストだ、詩人だ、つくり手なんだ」と宣言しましょう。』

greenz.jpより引用


<自分への疑問。東京をでる決断>

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私はただ平和な社会を夢見ていて、みんなが愛に溢れ、安心して幸せを感じられる現実を生きたいだけなのに、その道を歩めている気がしない。自分の人生の主人公として、今は生きられていない感じがする。誰かに脚本を書かれているような、自分の意思を持って自由に選択をできていないような感覚がある。3.11の時に「お互いの繋がりを分断していくことが全ての課題の根源にあるんだ。循環する豊かな繋がりを丁寧に紡いでいきたい。」と思ったのに、完全に分断の道を辿っている。

こんな風に、言葉にして自分の理想と現状を明確にした時に、いろんな言葉が頭をよぎり、「もう、この環境から抜けよう。」と決めました。

世界は変わらない。他人は変えられない。変えられるのは自分だけだ。
ー エリック・バーン?
Be the change you want to see in the world. ー ガンジー?
自分を変えたければ「決意」をすることよりも、「時間配分」「住む場所」「付き合う人」を変えることだ。 ー 大前研一さん?

ここから、いすみ市で自然栽培米をつくっている、つるかめ農園の研修生になりました。(急展開ですが、本当に突然決めました。)

いすみ市内に、価値観と志を共にしている仲間が多くいるからかな?なんだかピンときて、迷う気持ちはありませんでした。

ちなみに昔、宮崎県の日南市で住み、働く機会をいただいたことがあって、ものすごく幸せで満ち足りた日常を過ごしていたことがあります。数年経った今でも日南に行きたい…と思うほどファンなので、宮崎にいく選択肢も頭をよぎりました。でも心置きなく相談ができる同年代の友人が千葉には複数人いることや、いつでもまた東京に戻ってこれる近さ、その安心感が今回の決め手の一つになったと思います。

<つるかめ農園の研修生へ>

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自然の豊かさ、地域のあたたかさ、つるかめ農園の「自然栽培米」への思いや、その先に見ているビジョン、合気道への思いなどを聞いているうちに、その共鳴度に興奮してしまい、そして家や食べ物が確保できる安心感も大きくて、研修生になることを即決しました。けれど、今となって振り返ってみると、自分の目的や意図とのギャップがある決断でした。

「思いを込めて、自然栽培でお米を作りたい!」という思いがベースにあった上で研修生になれればよかったのですが、私にとっては目的と手段のずれが大きくあり、結果的に数ヶ月で農園を出ることを決めました。

当時の私はもういっぱいいっぱいで、そのずれには気づけなかったのですが、迷惑をかけただけで全然力になれなかった申し訳なさと、もう少し慎重に最初に話をできたらよかったという後悔が残りました。と同時に、農園を運営している夫妻に「地域おこし協力隊に応募したい」という思いを応援してもらえたことに、本当に感謝しています。この機会をいただけなかったら、きっといすみ市に住むことができなかっただろうなぁ。

<いすみ市に住む中で実際に感じた、魅力>


いすみに移住して半年過ごしているうちに、いすみ市の魅力を本当に体感するようになりました。

有機の里として市をあげてまちづくりをしていて、全13市立小中学校の給食は無農薬無化学肥料の有機米を使用している。(日本初)
 ※米だけでなく有機野菜にも広がろうとする動きがある。
 ※幼稚園や保育園にも広がろうとする動きがあるという噂も。
・地元農家のみなさんが集まって、生産者自ら経営している直売所がある。
・海も、山も、川も、田んぼも、畑もあるので、なんでも新鮮で美味しい旬なものが、東京の半額とかで手に入る。
「地域通貨」や「トランジションタウン」「小商い」への興味があったり、実践し始めている移住者が多くローカル経済で循環する未来が見える。
マルシェやマーケット、朝市を定期的に開く文化がある。
東京まで2時間以内で出られて、意外と近い。(2拠点居住しやすい
「生物多様性戦略」という取り組みがあり、皆で自然を守ろうとする動きがある。(ホタルの光や星が本当に綺麗に見える)

個人的な嗜好としては以下の環境も大きな魅力でした。

ブラウンズフィールドなど、食へのこだわりや思いがあるカフェが点在。
外房サドベリースクールがある。
・はり灸治療やヨガスペース、マインドボディヒーリングの場などがある
パーマカルチャーと平和道場など、暮らしの技術を学ぶ場がある。
(NVCやDIYの学びを深め「生きる技術」を深めていける)
・近くにヴィパッサナー瞑想のセンターがある。
(自分の内側を探求したり、平和に在る」ことに挑戦していける)
CSA(CommunitySupportedAgriculture)などの形を持った農園や醤油づくり、味噌づくりをする個人活動、地域活動などがある。
ローカル起業部という活動があり、個人の起業をサポートしてくれる。

<地域おこし協力隊として活動するという選択>


こんな素敵な場所なのに、やはり人口は減っていたり、「都市化」が始まろうとしていたりする姿をみて、いすみ市の自然の豊かさを感じていたい、大事にしたいと思うようになりました。

また、「いすみで豊かに生きる」を私が実践すること通して、同じ志や思いをもつ人がいすみに集まって来ること、そして皆で自然と共生し、豊かに生きる未来を実現することができたら、なんて希望なのか。

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そんな思いから地域おこし協力隊に応募し、2018年8月から活動を開始。「いすみの土地に根ざして、地球と共生し、在りたい自分を生きる若者世代の関係人口を増やすこと」を掲げて4ヶ月活動してきました。その日々を振り返ると、昨年感じていたモヤモヤが今ここになくて本当に充実した毎日を過ごしていることに驚きます。

もし昔の私のようにモヤモヤ東京で働いている人がいるならば、生きる環境を変えるだけで、もしかして生きやすくなるかもしれない。その選択肢を感じて欲しいと思い、ここでの生活のはし切れを書いていきます。

【地域おこし協力隊員として生きるいすみ市での生活】

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・車で10分、田んぼや畑、緑溢れる道を運転する通勤生活。好きな音楽を聞くこともできるし、暖かい時期には自転車を30分漕いで気持ちよく通勤

・自然豊かでスローな環境。関わる人の人数も東京ほど多くなくて、それぞれと丁寧に繋がれる人間関係がある。夢のおすそ分け文化にも加わり、玄関に大根が掛けてあったり、農家さんにお手伝いに行って大量にもらったお野菜を「食べきれないよ〜」と近くの人に配りに行く。

疲れたら、海や山に行って自然に癒される。自転車を10分走らせて海に行ったり、近くの古民家に行って瞑想したり、即興ウクレレにのせて今の自分の気持ちを歌ったりする。視覚的にも聴覚的にも情報が少ないので自分の心や体にフォーカスしやすく、内側から整理され、満たされていく感覚がある。土日に頑張って自然のあるところに遠出していたあの頃と比較して、休日の満足度が高い

・畑仕事をしたり、家の補修をしたり、体を動かす機会が十分にあり、土に触れることも容易なので、循環する感覚やバランスがある。

・「仕事の軸」が地域のため。自分が「地域の為になると思うこと」を仕事として提案できて、それは自分の生きる意図とほぼずれない

・全体的に満足感がある。経済的にも、精神的にも、共依存から自立へ、そして自立した個同士だからこそ助け合える、相互依存へ関係性が変わってきているのを感じる。

・平日休日関係なく自分の仕事のスケジュールが立てられるので、体調との相談や(特に女性の1ヶ月の周期に合わせたり)、長期休暇、合宿などの学びにフットワーク軽く調整できる


この生活が成り立っているのは、いすみ市の環境のおかげでもあるし、地域おこし協力隊制度のおかげでもあるし、それだけでなく自分が学んできた知識や知恵、人間関係があってこそなので、一概に「みんな!地方に住めばもっと幸せだよ!」なんて言える訳ではないのは明確にしたいけれど、少なくとも私がこんな風に生活していることが事実であることが誰かの参考になったら嬉しいです。

今こうして振り返ると、東京での生活も楽しさを感じていました。が、東京で感じる幸せと、いすみでの生活の幸せでは、その質が違う感じがしています。

<東京で感じていた幸せと、いすみでのそれの違い>


ギリシア哲学で扱われる幸せの種類と照らし合わせてみると、
東京にいた時は「ヘドニア」的な感覚。(ヘドニアとは、感覚的な快楽のこと。)五感を通した心地よさ、感覚的な快楽が中心の生活でした。※ヘドニアは感情の濃度と頻度が幸福度をアップさせるそう。

いすみに来てからは「ユーダイモニア」的な感覚。ユーダイモニアとは自己実現や生きがいを感じることで得られる幸せのこと。もっと体の奥の方で感じる深みのある幸せの感覚、そして幸せを感じる感度がより微細になっている感じがありました。

ここまで、いすみに来てからのポジティブな面ばかり伝えて来ましたが、それだけでは全体性に欠けて不誠実な感じがあるので、実際に田舎に住み始めて感じている、地域おこし協力隊として活動することの葛藤についても言及しておきます。


【田舎暮らしをする上での悩みや葛藤】

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・大きな本屋さんがない。
→ 仕事で必要な本を買いたいけど、内容をみて選びたい。って場合はやっぱり蔦屋書店とか恋しくなります。けど、まぁ月に1回東京に行って、バァーっと見て回ればいいかな。って感じに対応中。

・イベントなどの種類が東京ほど多くないし、会える人が限られる
→ 私にとっては、いすみ市には価値観や志を共にする仲間が多くいるし、だから学びたいことは大抵得られるし、イベントを開く側になれば学びたいイベントをここでつくれるので、意外と悩まない。パーマカルチャーやNVCなどを軸に生きたい人にとっては、学びには枯渇しない。

【地域おこし協力隊として活動する上での悩みや葛藤】


・市民が払う税金を使っている責任感の重さ
→ 自分の給料など税金から払われているので、その責任感を感じる。逆に、その視点を持って働けるので「本当に、地方の為になることってどんなこと?」という問いを自分の中で持ち続けられる。

・自分がどんな活動をしていくかを1年前に決めるという仕組み
→ 市役所の仕組みに入っていくので、例えば活動内容と予算を1年前に計算して申請→審査があって承諾されて→来年その活動ができる。というプロセスを踏む必要性があって、そういう意味ではフットワークは軽くない。けれど、そういう長期的なスケジュールを組んでやっていく学びもあるし、その審査のプロセスの中で、市役所として大事にしたいことを理解することができる。

上記はあくまでいすみ市での地域おこし協力隊制度、の話であって、地域によってその形は様々です。いすみ市の制度の特徴を簡単に、書いてみます。


<いすみ市の地域おこし協力隊制度について>


・副業、複業が可能
・求められていることはいすみ市の活性化と、3年間活動した後に、それぞれ個人が独立して(開業するなど)いすみ市に定住すること。
・活動の軸として「空き家再生」や「移住定住の促進」など大きな枠組みはあるけれど、自分の経済的自立も見据えた上で活動内容の提案、相談ができる。

地域おこし協力隊の制度の中でも、ものすごく自由度がある方だと思います。詳しくは検索してみてください。(募集は不定期で、随時です。)


<豊かな暮らしの源ー8つの資本>

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(写真のグラフィックは尊敬する友人 畑中みどりによるもの)

相当脱線して、最後ほとんどいすみ市の宣伝みたいになりましたが、題名に戻って「8つの資本」について話したいと思います。これは、私が信頼し尊敬する友人、ソーヤー海くん(東京アーバンパーマカルチャー主宰)を通じてもともと聞いた話です。普段はお金だけものすごい価値があるように感じてしまいがちだけど、価値のある資源はそれ以外にもいっぱいあって、例えば自然の豊かさだとか、人との繋がりだとか。それらに名前をつけて整理すると、お金至上主義から離れてフラットにみられる感覚があります。

①社会資本(人とのつながりなど)
②物的資本(物質や天然資源など)
③金融資本(お金など)
④生命資本(酸素・水・土壌など)
⑤知的資本(アイデア・知識など)
⑥経験資本(行動など)
⑦精神的資本(祈りや信仰など)
⑧文化資本(歌や儀式など)

東京にいた頃は金融資本にばかり目を向けて、「お金が足りない〜足りない〜」と言っていた。だから不幸なんだと思っていた。けれど、これらの資本がそれぞれつながり合ういすみ市で、全ての豊かさが増していくのを体感して、「あぁこれらの健康的な循環が豊かさなのかもしれない」と感じています。

ちなみに私が不足感ベースから満足感ベースの生活を送れているのは、この環境のおかげだけではなく、今までに教えていただいた、体感してきた多くの知識、智慧のおかげだと思うので、それらについて今後書いていきたいと思います。いつのタイミングかで〜

・NVC(共感コミュニケーション)
・パーマカルチャー
・(ヴィパッサナー)瞑想
・最高価値特定ワーク
・シューマッハカレッジでの学び

相当長くなってしまったので、一旦この辺で。





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