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テレビCMを作るときに確認しておきたいチェックリストを作りました

テレビCMをしようとしている事業会社の担当者の方にむけて書きました。

テレビCMはとにかく「感覚的」で「職人的」な世界です。
どのような観点に気を付けるべきか、すら言語化されていないです。

気を抜いていると、広告代理店に言いくるめられて、
クリエイターが賞をとるためだとか
業界内部でウケるためだとか
エゴ&マスターベーションのために
おもしろおかしく薄っぺらい何も残らないようなものをつくられて、
本当にいいのかどうか不安になりながら、
あんまり言ってもクリエイターのやる気がなくなっちゃ困るから
それを飲み込みつつ、結果できあがったものを見て、
「まあ・・・こういう感じか・・・」
みたいになりかねません。

そうなる前に、企画会議でこのチェックリストを見ながら議論して、少なくとも「大金をどぶに捨てなくて済む」状態にできれば、と思い作りました。

早速ですが、チェックリストは以下の8つです。

テレビCMを作るときに確認しておきたい8つのチェックリスト


  • CMにフックはあるか。インパクトはあるか

  • CMの要素に新しいことは入っているか

  • CMで言いたいことは簡単に理解できるか

  • CMで商品の良さを体感できるか

  • CMの読後感は幸福感になっているか

  • 企業らしさは入っているか

  • ストーリーは商品があるからこその内容か

  • 誰かに不快な思いをさせてしまう内容じゃないか


以下、詳細を話していきます。

CMにフックはあるか。インパクトはあるか

まず大前提、たくさん流れるCMのなかで、目立たないと「誰にも気づかれず」、「誰の脳にも残らず」、終わってしまいます。

最低限、ほかのCMのなかでも個性的で、目立つものでないといけません。
いわゆる「フック」というやつです。

ただ、目立てばいいからと不快感を与えるようなものはもちろんNGです。
急に大声出したり、汚いものを移したり、そういうものではありません。

とにかく、「数百人とかいるなかでキラリと印象に残る1人になる」くらいの感覚で、いまつくっているCMが、没個性で埋もれてしまうものにならないようにしましょう。

CMの要素に新しいことは入っているか

さっきの話が「表現」であれば、こちらは「内容」的なものです。
CMで伝えていること、言っていることに「新しい情報」が入っているように意識しましょう。

基本的には「そのCMを見るまで知らなかったこと」をCMによって知れる、という流れにしたいのです。

これも別に取ってつけたような小ネタを入れればいい、という安っぽいものではなく、「商品に関連する新しい情報」が良いと思います。

そもそも、商品は競合商品と比べて優れている部分を持っているからこそ、生まれているという部分があるはずです。既存のものへのアンチテーゼとして、代替手段として、世の中へ提案するものであるはずです。

商品の良さを突き詰めれば、それは「新しい情報」になりえます。その要素をきちんと入れられているかをチェックしましょう。

CMで言いたいことは簡単に理解できるか

たった15秒、ないしは30秒で、「テレビCMなんか見たくない」と思っている人に見てもらって、その内容を理解してもらわないといけません。

複雑な内容、わかりづらい内容は一発でスルーされてしまいます。

ながら見でも、ながら聞きでも理解できるような、容易な内容になっているか、は意識しましょう。

CMで商品の良さを体感できるか

「体感」というのが肝です。

わかりやすい例でいえば、ビールのCMは必ず「誰かが実際に美味そうなビールを飲んで、美味そうに」します。
これは見ている人に、そのビールを飲む美味しさを体感してほしいからです。それによって強い喚起を狙っているのです。

なので、基本的なことですが、お菓子のCMならお菓子を食べないといけないですし、レジャー施設のCMならレジャー施設で遊んでいないと無意味です。
なぜなら、そのCMを見て「その商品を買いたくならない」からです。

CMの読後感は幸福感になっているか

CMにフックやインパクトをつけようとして、恐怖心や嫌悪感を抱かせる内容になっていないか、はチェックすべきです。
いくら印象に残っても、その商品、その企業に対してマイナスイメージをつけることがいいわけありません。

また、もっと細かいことをいえば、「薄っぺらいおもしろさ」を狙うがあまり、CMのなかの誰かが不幸になっていることも避けたいです。なにかをイジったり、なにかを笑ったり。それでしかウケが取れないならやめちまえです。

その商品によって不幸な人が生まれている、という印象は無意識にも残ります。つまらないナンセンスものをつくるためにだれかを傷つける必要はまったくもって無いです。

企業らしさは入っているか

企業名を入れ替えても成立するようなCMは避けましょう。

商品、企業をきちんと見つめれば、おのずとその企業らしさは出るはずだと思います。

企業、商品を人だと例えた時に、「この人こんなことやらないよな・・・」と感じるものは基本的に無理をしています。自然に持っているらしさに対して歯向かっていないか、は確認しましょう。

ストーリーは商品があるからこその内容か

商品がきちんと生かされたストーリーになっているか、という点です。

変な人が急に家に入ってきてため息をついてなんか変なことをいう、商品カット、CM終わり。みたいなストーリーで、どこが商品の良さを伝えているでしょうか?
つまりこの例だと、商品があってもなくてもどっちでもいいのです。
蔑ろにしています。なんにも伝えてない。空っぽ。

その商品だからこそ、その商品によってこそ生まれる価値を、わかりやすく伝えるという基本は、牽制しておきましょう。意外とすぐに忘れ去られてしまいます。

誰かに不快な思いをさせてしまう内容じゃないか

不特定多数に見られるものとして、ネガティブチェック観点はどうしても必要です。時に想定していなかったような観点で、誰かを傷つけてしまうこともあります。

もちろん敏感になりすぎることもおかしなものです。きちんと道理がとおっていればむしろクレームがきても毅然と対応すべきですが、
少なくとも、誰かを悲しみの底に落とすような表現はあってはならないものです。ちょっとでも気になったら確認しておきましょう。

以上、8つのチェックリストでした。
ぜひ、会議でこれを見ながら、企画や演出、編集の詰めに対してフィードバックして、いいテレビCMがこの世に増えれば幸いです。

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