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直近の経験からリーダーシップを考える(中編)

みなさんこんにちは。

武蔵野大学アントレプレナーシップ学部(2021年4月開設予定)で、開設後に学部長就任予定の伊藤羊一でございます。

昨日前編をアップいたしました「直近の経験から、リーダーシップを考える」の中編です。

前編は、こちらです。


【これまでの流れ】
・4/1 立教大学中原淳教授からのリクエストで、Yahoo!アカデミア主催で
 「4/6にオンライン授業ノウハウの共有カンファレンス」
 をやることを決意。ボランティア企画チームをFacebookで募集。
・4/2 Zoom上で50人、企業や先生、色々な仕事の人が集まり企画会議実施。
【大事なポイント】
1) まずは「やりましょう。」と答え、そこから考える。
2) 相手のニーズを探り、企画をひねり出すには、想像力を働かせる。
3) ゴールの共有があれば、組織はチームになり、共に歩んでいく。
4) インスパイアされて集まった仲間がいると、話は進む

4/2に実施した企画会議の話から、中編に入ります。
ここでは、経緯と私の問題意識をお話ししました。

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これが、企画会議で共有した資料です。

2時間のセッションにして、タイムラインは中原さんと相談し、
「全体会→分科会前半5本→分科会後半5本→全体会」
とやる、と。出したのはこれだけです。

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要するに、10本コンテンツあるカンファレンスやろう!この時点で話したのは、それだけです。

誰がどんなコンテンツを出せるかわからないのですが、これは、みんなを頼るしかない。そこで、オンライン上のSpread Sheetに、「私、このコンテンツできます!」と立候補のうえ、アイディアを出してもらおうと思いました。

本来、誰がどんなことにお困りで、、、など、ヒアリングしてから臨む、とかできたらいいのですが、企画会議時点で本番まであと4日後。
これはもう、皆さんそれぞれの問題意識に頼らざるをえないな、と思いました。

さらに、誰がどういうクオリティであるか、もわからないのです。

でも、お願いしました。
コンテンツはもう、お任せだ、と。

なんでもかんでもお任せでいいや!と思ったわけではありません。
私なりに勝算はありました。きっと、ここで立候補してくる人たちが出すコンテンツは素晴らしいものであると。

頭の中で、以下のように整理し、募集することを決めました。

1)中原淳さんと私の呼びかけだけで集まってくれたわけで、感度が高く、オンライン授業に想いがある方たちであること
2)企画会議での皆さんの発言がわかりやすく、シンプルで、的確だったこと
3)そもそも、知り合いが数名、登壇したい!と言ってくれており、そのレベルの高さはわかっていたこと

このくらいの整理しかしませんでした。でも。このほとんど本能と直感に従った意思決定は、緊急時には大抵、正しいのです(今回も、結果的に大当たりでした)。

事実は押さえ、整理する。だからと言って、事実だけで意思決定はできない。意思決定をするのは、最終的には本能と直感です。これが大事な要素、第5です。

その日のうちに、コンテンツは10個以上埋まりました。もろもろ整理していったら、ちょうど10個になりました。ざっくり、企画案を見たら、いずれも面白そう。

ああ、こちらから特に「指示」的なものがなくても、こういうレベルが高いものが出てくるんだよな。改めて、気づきを得ました。

うん、これでいこうと。10チームの皆さんに連絡して、
「あとは皆さんで、お互いのコンテンツを突き合わせて、来場する様々なレベルの方に合うように、調整してください」
とだけ、伝えました。

あとは、互いに被っているものの調整が必要です。何度も同じことやってもいいのですが、とはいえ、完全に被るわけにもいかない。
で、調整は必要だがおそらく、お互い初めましての方ばかりの中で、遠慮もあるだろう、と、思いました。そこで交通整理に、Yahoo!アカデミアで以前一緒に仕事をしていた内田成男さん(現、FiNC Technologies)にお願いしました。彼は、わさわさしているところからひとつにまとめていくのが、ものすごく得意なリーダーです。

絶妙な投げかけでささっと水を向けていただきました。そうしたら皆さん、自分たちで勝手に、互いに調整をし始めてくれました。誰も「待ち」になっていなかったのですね。ありがたいことです。

これで、コンテンツの目処はつきました。
次は、オペレーションの検討と、参加者の募集です。ここの企画は、Yahoo!アカデミアのディレクションチームと、ログの記録係など、実際に現場で動くのは、募集して集まってくれたボランティアチーム。

これも丸投げしました。
丸投げ、というか、投げてもいません。勝手に動き始めてくれていました。
Yahoo!アカデミアのディレクションチームは、幾多のプロジェクトを実施し経験を積み重ね、指示がなくても勝手に動くプロフェッショナル集団です。ほんとすごい。オペレーションがどんどん、固まっていきます。

そして参加者の募集です。申し込みページは、4/3(金)中に出したい。
参加を検討する場合、やっぱり仕事を調整して出る、となると少し時間が必要だから、金曜の昼頃には出したいわけです。

申し込みページを作り、なんとか4/3の13時にリリースしました。

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1,000席の募集です。まあ、これだけの申込枠を設定しておけば余裕だろうと。300は超えるかもしれないので、1,000席あってよかったな、と思いました。

甘かったです。
申込を始めて1時間で、申込が殺到していることに気づき、オープンから約6時間でいっぱいになってしまいました。ほぼ、瞬間蒸発です。
ざっくり20秒に1申込が、6時間続く感じです。
大掛かりな宣伝などなしに、ほぼ口コミで。


一気に緊張感が高まりました。
企画し始めた段階では、100人くらいでやりましょうか、と言っていたのに、1,000人か!これは大きいな、と。

ここまで一気にくるとは、想像できませんでした。
オンライン授業に強いニーズがある、ということは、感覚的にはわかっていましたが、そんなにすぐに多くの人に伝わる、とは思っていませんでした。

ニーズがあり、そこに真正面に応えた場合は、すごい反応がいきなりある、ということです。そらそうですよね、考えてみれば。後から考えてみれば、まあ、そうだよな、と。

だとすれば、その流れを、事前にしっかり読み取ること。
真のニーズがどこにあり、何をしたら、人は集まるのか。
潜在しているBig Waveをつかむことはとても大事だ、と改めて思いました。
これが大事なポイント、その6です。


実行メンバーとは、週末も連絡取り合いながら、準備は進んでいきました。

ボランティアチームも組織化され、オペレーションもイメージが固まっていきました。裏でNESICさん、(サポートいただく)コードタクトさんとのslackグループを立ち上げ、どういう分担でどう会を設定するか、詰めていきました。

Zoomアカウントとしては、全体会でNESICさんが1,000人入れるアカウントを提供していただく、分科会は、Yahoo!が担当する。各セッション、最大300人くらいにはなる可能性はある。ではそういうハコの中で、どうやってセッションを参加者の皆さんが移動するか、ややこしい動きをどうするか、詰めていきました。

なんせ、1,000人です。webセミナー(ウェビナー)なので、300人でも1,000人でも変わらないではないか、ということではありません。人数が増えれば、トラブルも増える、そうすれば、予測不能なことも起きてきます。
可能性をひとつひとつ、考えていきました。

・コンテンツ(立候補)
・オペレーション(Yahoo!アカデミア+ボランティアチーム)
・インフラ(NESIC)
・参加者への連絡(Yahoo!アカデミア)

そんな役割分担でおのおの準備をしながら、4/4,5と週末が過ぎていきました。

全員が、リアルで知り合いでもない、集まったこともない、完全ボランティアな、そして4/1に話が始まり参集してきた、仮想チームです。

でも、みな、One Teamを感じていたと思います。
私も、とても不思議な感覚でした。チームとして組織化されているわけではない。しかし、皆がセルフリーダーシップを発揮し、お互いに個別の調整をしながら、プロジェクトが進んでいく。急造なのに理想のチームだなこれは、と思いました。

改めて振り返ってみると、3)ゴールの共有、なんですやっぱり。
そして単に、「○○まで到達するのがゴール」というだけではなくて、

どんな人たちが、どんな思いを持って集まって、
どんなセッションが、どんな風に動いて、、、
どんな気持ちで、セッションに参加し、
最終的に、どんな顔をして帰っていくか。
私たちとして、それを実現するために、どんな想いやスキルを提供していくか。

そんなイメージ、画像がみんなで共有できるかどうか。
これが「ビジョン」です。
ビジュアルに見えるイメージ、これが、とても大事なんです。

ですから、「ゴールが大事」とした3)に、ちょっと加えて
3)ゴール・ビジョンの共有が大事
ということです。
急遽組まれたこのチームは、ゴール・ビジョンの共有が完全にできていた。

私がしっかりと伝えたから、ではありません。ほとんど伝えていないです。
企画に参画された時点で、皆さんもう、仕事でweb授業をやっていたりして、どんな方がどうお困りか、痛いほどわかっていた、そしてどういうことが必要なのか、という問題意識を、既に大いにお持ちだったわけです。
私は、引き出して、集めようぜ!と言っただけです。それだけでよかったのです。

本来、有事のリーダーシップです。5日間でイベントを実行するのですから。
有事はfollow me 、平時はafter you、がリーダーシップの基本です。
ですが今回私は、follow meを、ほとんど示さずともよかった。

それは、3)ゴール・ビジョンの共有が、あらかじめ、個々人の活動の中でできていたからなんですね。リーダーが集まったら「あうん」の呼吸で進むんです。

「船頭多くして、、、」ということではないです。
「船頭」と「リーダー」は違います。船頭は役割で、リーダーは、生き様です。

Lead する人が、リーダーです。Lead されている人が、リーダーです。
船頭、という役割の人もいれば、船をこぐ役割の人もいる。その瞬間、おとなしくしている人もいる。岩があるから気をつけろ、と観察している人もいる。役割は色々ですが、でも、みなが、自分の想いに導かれ、人を導いて、ことが進んでいく。これが、リーダーシップです。生き様、なんです。

そんなリーダーシップの形が、そこにありました。

皆さん、こんな時期ですから、オンライン会議のニーズは沢山あり、お忙しいわけです。私自身も、そんなに暇ではありません。週末は、グロービスの3時間オンラインセッションを2回、そして、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部の開設準備もあります。それらの仕事をやりながら、このカンファレンスの準備をしていました。ドキドキしながら。

みなさん、ボランティアで参加してくれているわけです。
でもこれは、皆さんにとって、私にとって、大事な仕事です。
一方で、仕事であって、仕事ではありません。

ボランティアって、自分の人生で、その時間を無償で使うことを決めた活動です。お金をもらってする仕事は、自分の人生で、その時間を有償で使うことを決めた活動です。
そこに区別はない。割とどうでもいい。ましてや、苦役的な「お仕事」であるはずもありません。苦しいな、と感じたら、やらない選択肢もあるわけですから。

でも、やるんです。みんな。

なぜか。Why?が大事です。
どうしてやるのか?

金のため?みんなやるから?

そうではないです。
やりたいのだ。やるべきなのだ。
夢中になれるのだ。
分かち合える仲間がいるのだ。
自分の生き様をかけて。

そこが明確になっている方は、すぐに動けるし、周囲をインスパイアできます。
これが、大事なポイント7、「Why?」を考えよう、です。

私が大好きなSimon SinekさんのTED Talk, "Start with WHY”をご覧になることをお勧めします。ここに全てが、あります。

今回は、Why?が明確なリーダーたちが集まってきた、ということです。ゴールやビジョンと同じく、Why?が共有できていたら、話は早いのです。

あなたにとってのWhy?は、なんですか?


さあ、いよいよ4/6(月)の本番です。
4/5に中原先生と、直前打ち合わせやろうかと話し、出れる人だけでてね、と4/6朝10時にZoom打ち合わせをセットしました。

いよいよ、当日です。

後編に続く)


PS. 上の”Why?”について。

どうしてやるのか?

金のため?みんなやるから?

そうではない。
やりたいのだ。やるべきなのだ。
夢中になれるのだ。
分かち合える仲間がいるのだ。
自分の生き様をかけて。

これ、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部の動画のセリフ、ほぼそのものです。

私たちが目指すこと。
これなんです。

ぜひ、ご覧ください。


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