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先生と豚

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ある高校生の日常に舞い込んだ非日常を描いた短編ミステリー?ぽいものです。拙い部分もありますが、読んで頂けたら幸いです。
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2020年9月の記事一覧

先生と豚16

先生と豚16

 紅林は思い出したようにこれまで疑問に思っていた事を柿崎にぶつける。
「そういえば、あの協力者って誰だったんだよ。金庫に来たとき顔の半分くらいしか見えなかったから結局誰かわからなかったし」
「さあねぇ」
 柿崎は首をかしげる。
「さあねって、先生は知ってんだろ」
「どうだろう?」
 にこにこと人好きのする笑みをたたえて柿崎は答える。
その反応に紅林は舌打ちした。
「隠さなきゃなんない人物なのかよ」

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先生と豚15

先生と豚15

 で、条件ってなんだい、と柿崎がやんわりと促す。紅林はふぅとひとつ息を吐いた。
「その、俺の残りの取り分、それを卒業までにきっちり渡してほしいんだ。卒業したらあんたと連絡がとりづらくなる」
「卒業かぁ……。ん、まあ構わないよ。それだけでいいの?」
 こんなに気前のいい柿崎は初めてだな、と紅林は寸の間たじろぐ。この際だ、少し無理を言ってみよう。
「……あと、俺がこの先、金に関して困ったら助力してもら

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先生と豚14

先生と豚14

「……なんだと」
紅林は柿崎に指し示された乱歩全集に目を落とした。
 こんなもののために自分は警察のお世話になったのか。そう思うと怒りと感じると同時に、妙にやるせない気持ちになった。
「確かに俺は、手術の費用を払えたけど。三億だぞ。くそっ」
 取り分は一割の約束だった。
 全体からすれば少なかったが金額が金額だけに、一割だけでも手術費用を払っても働き手が紅林しかいない家計は今までよりぐっと楽になる

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先生と豚13

先生と豚13

「捕まるなんて聞いてなかったぞ」
本に埋もれた六畳の部屋に紅林の怒気のこもる声が発せられた。
足の踏み場のないほど書物が積まれた先に座卓とその前に座り込んだ柿崎の姿が見える。窓からさす陽光にそれは黒く浮き上がっていた。
柿崎は振り向かずに笑った。
「本当にね、僕も驚いたよ。でも良かったじゃない。刑務所のなかを体験できるなんて、普通ないよ」
紅林は心底愉快そうに言う柿崎に舌打ちし、部屋の入り口に立っ

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