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寒山の書斎から。2022.2&3.~coldmountainstudy的今月のピックアップ。

※↑上にヘンな注意書きが出ていると思いますが、記事自体はこの騒ぎに全く関係がありません。はた迷惑な話です。※

さてさて、個人的事情から2&3月の新刊購入は点数を控えていたのですがそれでもいくつか気になるものが引っかかってきましたのでそれらを紹介させていただこうと思います。

何時もだと文庫・新書を中心にwebでチェックして購入も主にwebで・・・となるのですが2&3月はそこを控えた。
よって全て実際お邪魔した本屋さんの店頭での”一期一会”たちです。

S・バイセル 「ブックセラーズ・ダイアリー」 (白水社)

2月に出かけた松山の紀伊國屋書店で購入した本ですね。
「本屋の本」です。

本を買いに行ったはずが、書店を買ってしまった。

著者は1970年、イギリス、スコットランドのウィグタウン生まれ。「自他共に認める田舎」である故郷を大学進学で離れたが、30歳のとき、クリスマスの帰省中に、立ち寄った老舗古書店「ザ・ブックショップ」を衝動買いしてしまう。諸手続きをへて翌年手に入った店は、いまや10万冊の在庫を擁するスコットランド最大の古書店だ。かつて国内最悪の失業率に苦しんでいたウィグタウンも、書店の町として知られるようになり、町にも店にも世界中から観光客が訪れる。
とはいえ、由緒ある築約200年の建物は維持費がかさむ。厳冬期には客足が途絶え、一方で暖房費はばかにならない。さらに大手書店チェーン、のちには巨大資本アマゾンと電子書籍化という手ごわいライバルが行く手に立ちふさがる。時に奇天烈、時に傍若無人な日々の客たち。有能だけど変人の度が過ぎる従業員(いちばん変わっているのは著者自身だというのが客たちの評)。大人気イベントである秋のブックフェスティバルで起こる騒動の数々。心ゆさぶられる遺品買取。個人書店の店主は、毎日がサバイバル・ゲームだ!

もうこれだけで十分、面白そうですよね。知人から聞いていつか読みたいと思っていた本を旅先で見つけてしまった。それはもう買うしかない。

次も本屋としての勉強のための本。

竹田信弥・ 田中佳祐 「読書会の教室 本がつなげる新たな出会い 参加・開催・運営の方法」 (晶文社)

みんなで読むと こんなに楽しい!
大ブームの読書会。だけど、参加する勇気がない?
主催したい。でも、何をすればよいかわからない?
大丈夫! 話題の書店〈双子のライオン堂〉が教える
手とり足とりの決定版ガイドブック!

今年は企てていくつもりですからね。ざっと読みしてみましたが参考になりそうな項目が早くもいくつか。

次は最近注目のテーマについての一冊。

平川克美 「共有地をつくる」 (ミシマ社)

『小商いのすすめ』から十年。
消費資本主義がいよいよ行き詰まる中、
「小商いの哲学」を実践するすべての人に贈る。

この社会を安定的に持続させてゆくためには、社会の片隅にでもいいから、社会的共有資本としての共有地、誰のものでもないが、誰もが立ち入り耕すことのできる共有地があると、わたしたちの生活はずいぶん風通しの良いものになるのではないか――本文より

「人新生の資本論」もそうですが共有地やコモンズといった言葉を耳にする機会が最近とみに増えた気がします。そこら辺への思いを深めるための一冊。
これは佐久・大阪屋書店で購入したのですが店員のお兄さんと話題があって意気投合的に購入・・・な面もある。これまた記憶に残るパターン・一冊ですよね。

同時に購入したのが・・・。

山口周 「自由になるための技術 リベラルアーツ」 (講談社)


リベラルアーツとは、「自由になるための手段」にほかならない。
自分たちを縛り付ける固定観念や常識から解き放たれ、自らの価値基準を持って行動するために。
いままでの正解が突破するヒントがここにある。
独立研究家・山口周が、哲学・歴史・美術・宗教など知の達人たちと、リベラルアーツの力を探る。

【主な内容】
「なぜチャーチルは周囲の反対を押し切ってナチスと対峙できたのか」
「日本企業の生産性の低い根本的原因とは」
「考える力の鍛え方」
「なぜ近代化はキリスト教社会から始まったのか」
「イノベーションに重要な「神」の視点」
「最新のリーダー育成のキーコンセプトと禅の共通点」
「なぜ、エリートの多い組織で不祥事が頻発するのか」
「予測不能な時代に対処する三つのPとは」
「かつてのローマ帝国にあって現代日本にないもの」

【構成】
第1章 リベラルアーツはなぜ必要か
第2章 歴史と感性 対談:中西輝政、
第3章 「論理的に考える力」が問われる時代に 対談:出口治明
第4章 グローバル社会を読み解くカギは宗教にある 対談:橋爪大三郎
第5章 人としてどう生きるか 対談:平井正修
第6章 組織の不条理を超えるために 対談:菊澤研宗
第7章 ポストコロナ社会における普遍的な価値とは 対談:矢野和男
第8章 パンデミック後に訪れるもの 対談:ヤマザキマリ
終 章 武器としてのリベラルアーツ

10歳の息子と話しているときにさえリベラルアーツという言葉が出てくるんですよね。最近。恥ずかしながらほとんど知識がないので勉強のために。
最初の一歩として対談スタイルは入りやすい。単独の意見・考えだとキツいときがある。
期待しています。

次も佐久の”まちの本屋さん”で発見した2冊。息子のマンガ雑誌を買いに行った時に発見してしまい、自分の本の方がはるかに多く・・・という。

まずは読書エッセイ。

三砂慶明 「千年の読書」 (誠文堂新光社)

私たちが何気なく本屋で手に取る一冊は、実は人類の悠久の歴史と地下水脈のようにつながっています。
そして私たちが千年前に書かれた『源氏物語』に共感したり感動したりできるのは、「本」というメディアが存在するからです。

本には人の人生を変えるほどの力があります。俳優を目指していた著者の友人は、サン・テグジュペリの『夜間飛行』を読み、パイロットになることを決意しました。

本書は、人気イベント兼冊子「読書の学校」発起人であり、梅田 蔦屋書店で人文コンシェルジュを務める書店員・三砂慶明氏による、とてもパーソナルで、それゆえに普遍的な、本をめぐる考察。
なぜ、本には人生を変えるほどの大きな力があるのか。
そしてどうしたらそんな本に出会うことができるのか――。
雑誌「サンガジャパン」に2016年から5年間連載した内容を凝縮し、さらに大幅に加筆しました。

「生きづらさ」「働き方」「お金」「食」「幸福」「死」といったテーマで各章を構成。
250冊を超える古今東西のおもしろい本を縦横無尽に紹介する読書エッセイ。
本を通した世界の見方、そして「人生を変える一冊」に巡り合うためのヒントを紹介します。


◆目次◆
まえがき なぜ人生には本が必要なのか
第1章 本への扉 人生を変える本との出会い
第2章 生きづらさへの処方箋 眠れない夜に読む本
第3章 新しい働き方を探す旅
第4章 「お金」から見た世界
第5章 「おいしい」は味なのか 現代の食卓と料理の起源
第6章 幸福の青い鳥 瞑想と脳と自然
第7章 本から死を考える 死の想像力
あとがき 本との出会いは人との出会い
BOOK LIST

ガイド本的なものは最近買い控えているのですがコレは、いいニオイがした。既読の本に関する新しい見方なんかも入って来そうです。

次は自分的には目新しいテーマ。

ハナムラチカヒロ 「まなざしの革命」 (河出書房新社)

情報が溢れる現代社会に気鋭のランドスケープアーティスト(風景異化論)が贈る、この時代に「溺れない」ための選択と思考法。常識・感染・平和・情報・広告・貨幣・管理・交流・解放――9つのキーワドから現代社会を読み解き、自分の「まなざし」の「盲点」(=思い込み)を知る。
【目次】

◉はじめに

◉第一章 常識――正体不明の必需品
誰もが同じ方向を向いたとき/風景異化論から捉えたパンデミック/固定化するまなざし/常識の正体/常識のつくられ方/多数決の罠/非常識と罪/民主主義の非常事態

◉第二章 感染――誰がパンデミックをつくったのか
パンデミック宣言を巡る疑問/新型コロナウイルスの特殊性/COVID-19は危険なのか/数字の信頼性/誰が得するのか/もしパンデミックを計画するなら/混乱から分断へ/そして焦点はワクチンへ/接種を巡る4つのスタンス/本当の感染とは

◉第三章 平和――壮大な騙し合いの時期
ハイブリッド戦争の時代/平時の騙し合い/誰もが平和を望むのに/敵と味方という図式/戦争は巨大なビジネス/陰謀論は受け入れられない/真実を反転させる呪文/国家と国家の争い/兵器は皮膚の下へ/平和の順番

◉第四章 情報――ファクトかフェイクか
二人のドナルド・トランプ/フェイクニュースはどちらか/メディアの見取図/SNSは自由に発信できる場か/あらゆる情報はすでに演出されている/ディープフェイクを見破れるのか/情報は情報である

◉第五章 広告――偶然は計画される
選択の落とし穴/偶然の仕掛け/見たいものだけが見える窓/本当にそれが欲しかったのか/欲望を創造する技術/進化するマーケティング/広告・広報・宣伝/マーケティングと戦争

◉第六章 貨幣――すべてを数字に変える魔法
人生の価格/そしてお金が中心になった/通貨は誰が発行するのか/数字しか持っていない/お金が増える魔法の仕組み/借金するほど増えるお金/利子という悪魔/貨幣の拡大と想像力の消費/問題は数字ではない

◉第七章 管理――次の社会に向けた選択
「怒り」と「欲」による管理/再び、パンデミックを計画するなら/「無知」のデジタル社会主義 対抗するまなざし/寄り添うことを見つめると/「より良く」か「バランス」か/「コントロール」か「協力」か

◉第八章 交流――インターローカリズムの時代へ
流れる方向が変わる/外への拡がりが止まる/内に引き込まれる世界/足元に戻ってくる/国家主義の高まり/大都市集中から地域分散へ/「ない」ことが強みになる/インターローカリズムへ

◉第九章 解放――「利」と「理」と「離」
選ぶことに疲れ果てた私たち/リセットされる国民国家/何から解放されるのか/私たちの見方に原因がある/三つの「り」のまなざし/誰もがこの社会から離れるとき

◉おわりに
◉参考文献
◉注釈/エピグラフ注釈

前作「まなざしのデザイン」はつまらなかったわけではないのですがジャストな感じでもなかった。でもこれは書店でパラパラやってみて・・・”例の騒ぎ”に関する見方の項が興味深かったこともあり・・・いいな、と思ったので購入です。

(これで冒頭に今まで徹底的に避けてきた注意書きが出てしまうな。仕方ないか。イヤだけど。)

最後に、富士見町のmoutain bookcaseさんでの2冊。

藤井基二 「頁をめくる音で息をする」 (本の雑誌社)

開店時間は深夜23時。尾道の路地で古本屋弐拾dBを営む店主の初の随筆集。Web本の雑誌の同名連載に二〇二一年の日記と新規エッセイ書き下ろし。今の尾道を知るカラーグラフ32頁。

「古本屋を始めてこの四月で五年が経つ。古本を買い取り、古本を売り、なんとか生きている。学生時代に願ってやまなかった暮らしをそれなりに謳歌してしまっている。逃げ続けていたら、そこに本があった。」

これも「本屋の本」ですね。いつか行ってみたいお店、尾道の古本屋弐拾dB店主さんのエッセイ。
ジツは先日の松山行き、対抗候補は岡山だったんですよね。中国地方も面白そうな本屋さんが多い。いつか行ってみたい。

最後に・・・

J・ヴェルヌ 「地底旅行」 (岩波少年文庫)

十六世紀の錬金術師が残した謎の古文書を解読すると、地球の中心へ達する方法が書かれていた。並外れた情熱をもつ鉱物学者のリーデンブロック教授と甥のアクセル、そして無口な案内人のハンスは、アイスランドの火山の噴火口から地底へと向かうが、そこには驚くべき光景が広がっており……。想像力を駆使して描く、前人未踏の冒険譚。

これはもう言うまでもない・・・ですね。小学校の図書室で読んだ名作。
今読んでもその頃と同じ感じなんてしないのかもしれないけれど思い出すことはあるかもしれないし、久々に読みたいなぁ・・・なんてなにげなく言っていたのをmountain bookcaseの店主さんが覚えていてくれて、なにげなく入荷しておいてくれたようなんです。

嬉しかったですね。出来ればそういう店で、本は買いたいですよね。

そう言えば先日30数年ぶりに小学校の同級生に会うことができました。嬉しかったなぁ。

同じくらい間の空いているこの本も、同じように愉しめたらいいと思います。

http://www.coldmountainstudy.com/

coldmountainstudy@gmail.com 
coldmountainstudy  店主:鳥越将路

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