そして、オーパ!~開高健大兄。
件の図書館にて。
もっともっと!と自分の世界に没入していきます。
結構長い時間を過ごしましたね。町の図書館。
この頃・・・中学生の頃ですね。
自分の世界を拡げてくれたのが友人やスポーツや、ましてや学校やセンセイではなく、図書館。
鬱屈していますね。
典型的な友達いない子のパターンです。
そう、この頃は一番の停滞期でしたね。何もかもうまくいかないかった。順応できなかった。(それでも大きく踏み外すことなく今も無事に生きている。ボクは、ラッキーだ。)
そんな時の拠り所だったわけですね。
でも。
でもですよ。
一番辛いときの拠り所って、一番頼りになる。長い付き合いになるわけじゃないですか。
そんな拠り所で衝撃的な写真に出逢います。
ボクが持っているのは残念ながら集英社文庫版ですが、図書館で見たのは大判の写真集。
ピラニアの、猛々しい表情。そこに一言「オーパ!」。
持ってかれましたねぇ。
自分の好きな釣り。そこに世界の旅という要素。
旅というからには自然があり、民俗・文化がありもっと言ってしまえばメシがあって酒があって(もちろん当時は憧れだけです。)ヒトがいて文学があって逸話がある。
一気に繋がったカンジです。
世界にはいろんなところがあって、釣り(等)を通じて細部に触れることができる。
あとは開高作品を主に世界を拡げていきます。もちろん、本の世界において。
世界にはもっといいことがある・・・そんな感じだったんでしょうかね。
ちなみにこの時点で・・・過去記事から読んでくれている方はお気付きかもしれませんが、開高作品とのコンタクトは最初ではありません。が、この時は気づいていなかったと思います。
あの美しい文と、「オーパ!」の一連の写真の主人公が同一人物であることは。
まぁそこはこの時点では特に問題ありません。
とにかく開高の世界から派生したアレコレが今後、自分の・・・もちろん本屋としても・・・間違いない”軸”になっていきます。
この後徐々に停滞期を抜け出すボクは幸運にも数回、海外を見る機会に恵まれ。
しかしこの海外体験は人間性に大きな影響を与えた形跡はあるのですが(幸運にも大部分、いい方向に。)、嗜好にはむしろ真逆な影響を及ぼします。
「ディスカバー・ジャパン」ではないですが、却って輝いて見えたのですね。日本が。
日本の自然・文化が。
例えばスティールヘッドの遡上するカナダの流れはそれだけで(本で見聞済みなわけですから)「おおおお!」となりますがやはりそれが40キロ続くのはボクには退屈でした。
その点40キロあれば源流から河口まで到達する可能性もある日本のフィールド、これはいいぞ!ボクの好みはこっちだ・・・と。
その後、何も考えず進学した大学時代を見事に食いつぶし、多くは自転車にまたがって日本のあちらこちらを旅するようになります。
(自転車とボク。ああ、これもいつか書かなければ。あれは、いい乗り物ですね。)
本の世界を存分に旅してきた自分は、次に現実を存分に旅したくなり・・・その両者入り乱れのせめぎ合いは今なお治まることを知らず。
本を読む、旅に出る。
過去も未来も、その思いは本に現れ。
自分の手元に残したいもの・人につなげたいもの。
本屋としての日々を始めるための大事なスタート地点が、ここに。
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