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TomoPoetryー友野雅志の詩

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日々書きためた詩の中から、noteスタートしてしばらくしてからの最近のものをのせています。それ以前は、下をご覧下さい。   …
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2023年12月の記事一覧

TomoPoetry、生きる。

TomoPoetry、生きる。

振り返る
そのことを理解する
まず自分の左足首を落とす
一週間後、左手首
一ヶ月後、左目
一年後、左耳をそぎ落とす
十年後、
記憶と意識を漆喰の壁に埋める
わたしの価値はまだあるのか

十年後の朝
恋人はわたしの姿に驚く
野菜炒めとサラダとハムを並べながら
住宅ローンの残額を質問する
口をくしゃくしゃ動かし
秤が傾いているのに気づく
いっしょに世界も傾いている
わたしは椅子から滑りおちる

重くな

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欠けたパーツ

欠けたパーツ

朝のオムレツにナイフを入れる
六回
一回は蛇のため
二回はパーティ好きな女のため
三回は愚かな男のため
残りの三回は
すべての人類のため

テーブルは
アフリカの地図
あるいは上海の居留地
椅子にすわる私の頭蓋骨
不規則なパズル
欠けている数枚
そこに人類の進歩が
人類の安息があると言う
テーブルも切られて
六方向にたおれる
朝日に立つ樹の影のように
砂にもどる塔のように
祖先の墓のように
二千年

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メリークリスマス

メリークリスマス

トマト三個と命ひとつ
スーパーに並んでいる
歴史は
影を忘れる
ひとは罪を忘れる

籠に
首二個
足首四個
言葉をひとつ
清算が終わると死者を忘れる

食べるのでいっぱい
俯いて恥ずかしげにほおばる
殺意と欲望を忘れるだろうか

手首に釘
足首に釘
頭に北回帰線の棘
背骨を削られた
かれの前では
人類は
骨と黒い輪郭と欲望でできている
同じ形に
同じ深さに

籠に
枯れた無花果
パン一欠片
にがい

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