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メリークリスマス
トマト三個と命ひとつ
スーパーに並んでいる
歴史は
影を忘れる
ひとは罪を忘れる
籠に
首二個
足首四個
言葉をひとつ
清算が終わると死者を忘れる
食べるのでいっぱい
俯いて恥ずかしげにほおばる
殺意と欲望を忘れるだろうか
手首に釘
足首に釘
頭に北回帰線の棘
背骨を削られた
かれの前では
人類は
骨と黒い輪郭と欲望でできている
同じ形に
同じ深さに
籠に
枯れた無花果
パン一欠片
にがいワイン一本
明日は世界が真っ赤だろう
「いくら科学技術が発達しても、人間の魂、精神が発達するわけではありません。むしろ、人間の精神というものは悪くなっていくものだという考え方もあるのです」
ケーキは崩れ
銀杏に葉はない
トマトをならべる
首を置く
凍る夜がくる
雨が降る
罪を海へ流すために
キスする
きみの首の傷に
おめでとう
愛してる
メリークリスマス
傷を知らないきみに
真っ赤な熱と血の
わたしの咽喉で響く
メリークリスマス
夜明けに
きみは凍りくだけて
きらきら降っている
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