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偽造・その2

さて今回はもっと小さな偽造の話を。

ま、前回同様に繰り返しますが、決して「作ってみよう」なんて思わないでください。
バレるって。捕まるって。

このページを見てる方々がもしそーいう偽造カードを見つけたら、容赦なくそれなりの場所に通報しちゃってください。偽造小僧とチーターはマジック界のダニですので。

蛇足ですが「著作権法違反は親告罪だから平気」とか言ってる阿呆がたまにいますが、「親告罪」だからヤバいと何故思わないのかな。海外の大企業が日本の個人の小さな偽造なんで訴えるわけないかと? 甘いよなあ。

実際そういう「警告」を受け取ったひといますよ。
私も少なくとも2件は知ってます。1件は本人に会って話を聞いたこともありますし。
海外企業の賠償金請求はすごいらしいですよ。一家が破産できる額だそうな。


さて。

前回書いたのはいわゆる「本物の偽造」ですが、今回のは……なんていうか、もうちょっとみみっちい偽造。本物のカードに手を加えたものなので、偽造っていうか「詐欺」に近いです。

■アルファ
アルファのセットのカードは高いです。印刷枚数もベータに比べて3分の1程度。コレクター市場では、アルファのシングルカードは毎年確実に値上がりをつづけています。

アルファとベータの見分け方は簡単。角のカットが違うんです。
ベータのほうは今のカードと同じですが、アルファはもっと丸っこくカットされてます。偽造の部分をわかりやすくするために言い方を変えると「アルファの方がカットされている面積が多い」ということになります。

んじゃ、カットしちゃえと。ベータを。
ベータの角をアルファと同じカットの形にしちゃえと。
それが、アルファ偽造。

見分けるのはひたすら困難。
前回の「カット」の部分でも説明した「小学校の図工の時間でも使うある道具」を使ってカットされるとますます困難。プロ(いるかどうかしりませんが)が本気でやったら、見破れないものができるかもしれません。

しかし、一部のカードについては100%見破れます。
よく一般的に勘違いされてますが『アルファとベータのカードは同じ印刷じゃありません』。
ミスプリント(例:Birds of Paradiseの改行マーク)の修正、一部テンプレートの変更などが施されており、実際はかなりの数のカードが「全く同じ」外観ではなくなっています。あ、あとベータで追加された7種類のカードもあったね。

私の知ってるコレクターの1人に「アルファのIsland Sanctuary」のみを集めているキ○ガイじみた方がおられます。そろそろ全発行枚数の半分くらい集めたんじゃないかな?

■白紙カード

……なんていうんだろ。私が知ってるなかでもっともみみっちい偽造。
ようするにカードに何も印刷されていない「白紙」のエラーカード。これを作っちゃおうというもの。
白紙エラーは確かに存在するんですよ。でもそれを作るってのは……なんだかなあ。

作るのに必要なのは、①ダーク以前の英語版のカード1枚、②消しゴム1個、③途方もない根気。
物資を準備したら、あとはひたすら②で①を摩擦しましょう。小一時間ほど経ち、③がなくなりかけるころに白紙カードが完成するでしょう。
ちなみにこれだけ苦労してつくっても、実は本物の白紙エラーと消しゴム製白紙カードはとても大きな違いがあります。表面の光沢。

■銀カード

応用編。何も印刷されていないフォイルカードを作っちゃおう。
用意するもの。①旧タイプのフォイルカード、②ベンジン・シンナー等、③換気のよい部屋。
ま、方法は書かなくてもわかると思うので割愛。

ちなみにこれだけ臭い思いをしてつくっても、実は本物のフォイルエラーと有機溶剤製偽造カードはとても大きな違いがあります。表面の光沢。

■応用編
こっからは真の偽造の話。

↑の2種類でつくった「白紙カード」「何も印刷されていないフォイルカード」を用いて、インクを乗せるタイプのプリンターで印刷すると……あら、これはちょっと本物っぽい?

カードの厚み、紙質、裏面、すべて本物。
インクの品質、匂いはニセモノだけど、これはちょっとすごい偽造じゃない?

ちなみに(中略)表面の光沢。


■まとめ

偽造カードの見分けるポイントは以下の通りです。

① 匂い
② 色、発色
③ 紙質(横から見てカードの中央に青い紙があるか)
④ カードの厚み(厚すぎ、薄すぎは要注意)
⑤ カードの歪み(糊で貼り付けた跡はあるか)
⑥ 印刷精度(dpi)
⑦ 印刷のズレ(表と裏が同時にずれているか)
⑧ 表面の光沢

①〜④はセットによって異なりますのでちょっと注意。アイスエイジとはやたら分厚いし。ミラージュは臭いし。
⑥についてもセットによって多少異なります。リバイズドと最新セットを並べて見てみれば一目瞭然。

まぁ、ぶっちゃけて言うと一番ラクに見分けられるのは⑤ってことですね。
蛍光灯などの「均一に光が広がる」タイプのライトを使い、その光をカードに反射させるように満遍なく照らして見てください。触ってわからないほどの巧妙なものでも、光をつかったテストならその殆どが見分けられます。シールでも、スプレー糊でも、瞬間接着剤でも。糊(接着剤)ってのは基本的に固まる際に縮むので、それで歪みが出るんです。

ちなみに一番確実に白黒が付けやすいのは、実は①です。これだけは答えが「Yes/No」で出ますから。
まあ、これができないやつはプロのバイヤー/ディーラーにはなるなってこった。

免責(?)

この記事はリバイバル記事です。元の記事は、とっくの昔に更新停止したDiarynoteのブログです。このNoteの内容は昔に書いた内容をコピペしてますが、ところどころ修正してたりします。で、たまに当時は書けなかったことや裏話を追記しています。まあ、基本的には手抜きです。楽なことは大事。

2023年追記

角のカットについては、通常版が「彫刻刀の丸刀」なのに対して、アルファは「彫刻刀の丸刀(大)」ですね。ただ、本文にも書いたように、アルファとベータではテキストやらその他の部分が異なっているものも多々あるので、わざわざやる人は少ないかと思います。ニアミントでやるくらいならそのまま売ったほうがいいでしょうし、プレイドでやると角だけピンっと尖った新品になりかねない。

白紙カード……あったなあ。あとからエラーでぽろぽろ出てきたので価値も下がりましたね。どっかの構築済みかなんかに誤封入があったんだっけ? 正確には覚えてません。まあ、消しゴムで頑張りたいやるはがんばれ。カードの縁とか角とかがめくれないようにな!

銀カードもあったあった。これは簡単に作れますね。臭いけど。

「偽造・1」にも書きましたが、どんだけがんばって白紙カードを作って、それに他のカードを印刷しても、そもそもの解像度(DPi)が違いすぎるので、同じ印刷品質にはどうやってもなりません。

ただまあ、今後AI画像生成がどんどん発展し、waifu2xツールのように、「スキャン後の画像から元のイラストを推測する」といった問題を解かせることで、元の画像とは同等ではないものの、高解像度のディテールをもった画像を生成することは可能となるでしょう。そうすると「印刷が荒い」という判別方法はいずれ使えなくなると思います。匂いだ、みんな匂いで判別するんだ! :D


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