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盗難。

今回はちょっと黒めのお話を。
マジック界における盗難のお話です。

まあ、とにかくこの世界は盗難だらけですよ。
実際問題として、発売前セットのカード(プレイテストカードを含む)、配布前のプロモカードの流出はなどはほとんどが内部の犯行と言っていいでしょう。これに情報流出(守秘義務契約結んでるのにねえ)も含むと……まあ、すごい量のモノが不正に流出してるんですよ。マジックを製造してる某社からは。

ま、それだけオカネになるってことかもしれませんが。
ウィザーズの社員が、倉庫からボックス持ち出して売り捌いてたって話も聞きますし。

数年前までウィザーズ社はシアトル近郊に大きなトーナメントセンターを置き、そこで世界選手権などを運営していたのですが、そこに飾ってあったHypnotic SpectorとLord of the Pitの原画も盗まれてます。後日、ブラックマーケット(って程でもないか)に流通してたのを某ショップのバイヤーが発見し、同社に連絡したようで。ちゃんと回収できたのかどうかはシリマセン。

マジック初期からのイラストレーター、Anson Maddocksも原画の盗難にあってます。どうやら内部のヒトが持ち出しちゃったらしいのですがね。これは、知らずに買い取った某社のバイヤーとの平和的話し合いの上で返還されています。

「セラの天使」で有名なDouglas Shulerも盗難にあったようで、当のSerra Angelの原画を失っています。ただしコレは、Douglas氏本人も「紛失か盗難かわからない」とのことですが。ちなみに氏は、この紛失後にもう一度同じものを描いてます。現在存在するのはそのレプリカのほうのみで、所有者は日本人です。

さらにいくつか挙げると、昨日の日記に書いた「Quinton Hoover氏のProposal」も日本で盗難されましたし、その後やはり日本のグランプリで某アーティスト(名前失念。GP福岡だったかなあ…?)が持参したアーティスト・プルーフカードが箱ごと盗まれるという事件もおきてます。足元に置いておいたら、サイン中に盗まれたとか。…しかし思うのですが、アーティストプルーフなんて盗んでどうするんだろうな? アーティストのサインが入る前のアーティストプルーフなんて「盗難モノ」って書いてあるようなものだろうに。

(私見ですが、現在世の中に出回ってる「中国語・第四版黒枠」のアーティストプルーフ。これは工場流出モノと見ております。サインが入ってるのを見た試しがないし。中国の工場はイロイロ流出させてるからなあ…)

そういえば「盗難」と言えばデカいのは、某Star City Gamesに押し入った泥棒の話ですかね。
セキュリティ会社と契約し、電子センサー式のアラーム&赤外線センサーまで作動してたのに、付近一帯の送電線&電話線(異常が発生したら自動的にセキュリティ会社に通報されるシステムなので)を切断して侵入したそうな。そりゃオーナーも激怒するわ。

ま、この話はまだ今度にでも。

免責(?)

この記事はリバイバル記事です。元の記事は、とっくの昔に更新停止したDiarynoteのブログです。このNoteの内容は昔に書いた内容をコピペしてますが、ところどころ修正してたりします。で、たまに当時は書けなかったことや裏話を追記しています。まあ、基本的には手抜きです。楽なことは大事。

2023年追記

盗難ネタは本当に事欠かないですね。
ショップのデュエルスペースでの盗難、ショップからの盗難、アーティストからの盗難、企業ならの盗難などなど。価値が高いものにしてはセキュリティが甘いため、いろいろな場面でターゲットにされがちです。トレードのためとはいえ、1枚数千円~数万円のものをカードバインダーに入れて、知らない相手に見せてまわるなんて、かなりリスキーです。

昔は日本で行われたグランプリに海外のディーラーが多数来てましたが、彼らをターゲットにした盗難もそれはそれはもう多数ありました。机の上に展示してあるカードをこっそり持ち去るといった盗難が相次いだため、大手のディーラーは机の上には見本に価格を書いたものを置き、在庫は背後に置くようになっていましたし。

ただ、中にはショップではなく個人で来ている人もいましてね。その人は学生で、カードの売買を収入源にしていたようなのですが、なかなかいい品を持っていまして。UltraProの9ポケットバインダーにパワー9が数ページと高額カードを入っていましたね。さすがにそんなものは机に置きっぱなしにせずに、高額カードを探しているお客さんが来た時だけ出してきて見せていたようなのですが。まあ結論から言うと、接客中にひったくられて、会場前に止めていたバイクで逃走されましたね。GP静岡だったかな?
ディーラー席は壁際に横並びにテーブルならべてあったので、テーブルの後ろ側にいると、すぐに飛び出して追いかけることができないんですよね。で、たまたまその人は入口近くの席だったので、たぶん前日に下見されてから狙われたんでしょうね。その個人ディーラーさんはその一件以来見ていないので、彼がその後どうなったのかは存じません。素朴で良い人だったのですが。無事に卒業できたことを祈るばかりです。

Hypnotic SpectorとLord of the Pitの原画は、シアトルのDCIトーナメントセンターが閉鎖するとき、どさくさに紛れて盗まれたようで。営業最終日に、作業員のフリをしてというか、ごく平然と外して持ち去ったみたいです。

アーティストプルーフについて追記すると、「サインが無いものはほぼ盗難」と言いたいところなのですが、そうとも言えない事情がありまして。というもの、アーティストさんの中には「サインつき」と「サインなし」に別々の値段をつけて売る人も、極少数なのですが、確かに居るのです。「サインなし」のカードやアートプリントはアシスタントの方にすべて任せて、自分はサインと背面イラストを描くのに専念するといった形ですね。

アーティストプルーフは、今でこそ、そこそこのコレクターアイテムとなっていますが、以前は「ゲームでは使えない記念品」扱いに近かったです。そのためアーティストも「全部一律で300円」とかとんでもない破格で売ってしまっていたり、中には捨てられてしまったものもあるとか。そもそも本来アーティストプルーフというのは、アーティストが印刷の品質や色合いを確認するためのものなので、確認したあとは捨てちゃっても不思議ではないのです。私はアーティストではないですが、色々な製品開発に関わったことがあるので、本生産開始前にカラー・プルーフ、すなわち「色校」と呼ばれるものを貰うのは日常茶飯事でした。そんな色校を全部取っておく訳もなく、全部捨ててしまってましたね。こんなサンプルに価値が付くと言われても困るし、そもそも社外に流せるものでもないですから。

話が反れまくりましたが、まあそれでも「中国語・第四版黒枠のアーティストプルーフ」が怪しいのは変わりません。なにが怪しいって、これはアーティスト単位ではなくほぼ全部のカードがサインなしで流通しましたから。あと、アーティストプルーフを扱っているショップは基本的に「特定のアーティスト」に偏る傾向(=そのアーティストから直に譲ってもらっている)ことが多いのですが、「中国語・第四版黒枠」だけはアーティストに偏りません。たぶんまとめて流れてきたのでしょうね。

なお本文には「アーティストプルーフなんて盗んでどうするんだろうな?」と書かれてますが、じつはこの時代ならではの「理由」がちゃんと存在していました。偽物の材料にするんです。当時はアーティストプルーフのほうが本物のカードよりもかなり安く手に入ったので、印刷がされていない白面を剝ぎ取って正規の裏面を張り付けると、正規に印刷された表面+裏面になります。ようするにアレです、CEファイクと同じ要領です。
CEフェイクが全カードに存在する可能性があるって、けっこう怖くありませんか?


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