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偽造・その1

古い話で有名なのは、カナダのモックス偽造団かな? 
摘発されたらしいけど。


と、のっけからヘビーな前振りから始めてみました。

マジックのカードは、モノによっては非常に高価な値段がつくものの、実際のブツはただの紙。そりゃ偽造するバカも出てきます。だってカード1枚数百ドルなら現金偽造するよりいいでしょ。印刷技術も(紙幣よりは)稚拙だし、そもそも通貨偽造罪に問われない。いいとこ著作権法違反+詐欺罪どまりでしょうね。

というわけで、マジックカードの偽造は今も昔も後を絶ちません。
プロフェッショナルな機械を使った大掛かりなものから、個人がちまちまやってるようなみみっちいものまで。ただどちらにしても総じて言えるのですが……やるならもうちょっときっちり仕事しろと。騙される以前に笑っちゃうようなものが多いです。まあそれでも慣れない人ならダマされかねないので、みなさん適度に気をつけましょう。

さて。
こんな適当な話はダレも期待してないでしょうから、ちょっと突っ込んだ話を。

でも、その前に。これだけは。

「以下の情報を見て、決して『作ってみよう』なんて思わないでください」

バレます。すぐにバレます。本当に。
だってそもそも、そういう偽造が世間に認知されて、どっかの阿呆が作ったらすぐにバレて捕まることを祈りつつこの記事書いてるんだし。なにも知らない子供が大切そうに偽造カードを持ってるところを見るほどキッツイものは無いですよ、実際。

ここで書いてるのは、すでに市場に出回ってしまっている偽造カードの情報です。古い情報です。
しかも、その作成方法については一部ウソや不正確な部分を意識的に混ぜてあります。
しつこいようですが、決して偽造はしないこと。偽造は犯罪ですヨ。


さて。
偽造の方法は、私の知っている限りで以下のようなものがあります。

■カラーコピー
アホのやり方。プロキシーとして使うんなら便利なんですけどね。
ちなみにあまり知られてないかもしれませんが、コンビニなどのカラーコピー機では「倍率100%」では原寸と同じにはなりません。カラーコピーってのはちょっと小さくなるようにできてるんですよ。原寸にするには「10●%」にする必要があります。

ま、それでも稚拙な偽造には変わらないですけどね。
見分け方の一番のポイントは、まず表面に光沢がないこと(普通紙の場合)。写真紙に印刷した場合は逆に光沢が出すぎます。あと手触り、匂い、カードの厚み(コピーした紙をホンモノに貼り付けるのでどうしても厚くなる)などなど。

■パソコン+プリンター
ちょっと前までは稚拙な偽造の代表でしたが、いまは技術の進歩でバカにできないレベルに。それでも触れば0.2秒でバレますが。

ちなみにここでいうプリンターはカラーのレーザープリンタです。一昔前までは昇華型のインクプリンターが最高品質でしたが、もう時代じゃないです。カラーレーザーだと紙もいろいろ選べますし。

見分けるポイントは光沢。そして紙の厚み&匂い&手触り。基本的にこの4つはどんな偽造に対しても同じです。とくに「匂い」は重要なポイントで、どんなに巧妙に偽造しても匂いを誤魔化すのは至難の業。写真紙の鼻をつく匂い、インクのケミカルな匂い、レーザープリンタの粉っぽい(ちょっと表現が難しいですが)匂いがわかれば、まず99%偽造は見抜けます。あとは本物の匂いを知ってればOK……とは言っても、マジックのカードは時代によってインクが違うのがちょっと難点。ミラージュは臭い。

■CEフェイク
一番ヤバい代物。実は最初は私も見抜けませんでした(恥)
正確には「コレクターズエディッション・フェイク」と言います。

その名の通り、特別セットとして発売された「コレクターズエディッション」のカードを利用した偽造カード。このセットは表面はベータ、裏面は金枠+ロゴという仕様になっているので、その表面だけを使います。印刷&紙は完全に本物と同一なのでヤバいヤバい。あまりのヤバさにこれ以上詳しい「偽造の仕様」は書けないほど。ホントに作れちゃうし。

見分けるポイントは以下の4つだけ。

①カードの表面(手触り+光の反射具合)
本物のカードの裏面とCEの表面を張り合わせてあるため微細な歪みが生じる。また接着に糊を使っている場合には、糊が乾燥する際に生じる凸凹も見える。

②匂い
また匂い。
でも今回はカードのマテリアルは本物なので、嗅ぎ分けるのは別の部分。
糊の匂いがしたらヤバげ。あともう一点別の「匂い」をかぎ当てる可能性もあるけど、それは偽造法を手伝っちゃう可能性があるので割愛。

③カードの角
コレクターズエディッションのカードは角がカットされてないので、それをなんらかの手段で丸くカットする必要があります。その裁断具合。
マジックのカードはプレスカット(表側からカットか裏側からカットなのかはセットによって違います)されているので、本物のカードは角がカットされた方向に「立って」ます。ナイフ等で切った痕とは明らかに異なります。
実は日本の文房具屋に普通に売られているある道具(日本以外ではあまり無いんじゃないかな)を使うと、これが一発で綺麗なカットができてしまうんでタイヘン危険なのですが……まあその場合でも他の2つの方法で見分けられるので大丈夫かな。

④表と裏
これは少々判断が難しいレベルなんですが、ま、参考までに。
「正規のカードになにかを貼り付けた」偽造カードすべてにいえるのですが、表のセンタリングと裏のセンタリングが異なることが多いです。通常印刷されたマジックのカードは、印刷のセンタリングが中心からズレている場合(厳しい目で見ると、殆どのカードが「完全」には真ん中ではなくズレています)、表も裏も同じようにズレます。表は左よりで、裏は右よりとかは通常あまりありません。

「あまり」というのは……実際、正規のカードでも表と裏で印刷がズレることはありえます。精度の問題だったり、純粋にエラーだったりですが。なのでこの方法は完璧ではなく、正規のカードまで「ニセモノ?」と思わせてしまう可能性もあります。安全策を取る方にだけおすすめ。

■某国製
ちょっとヤバい話になるのでわかりにくく書きます。
数年前まで日本でマジックのボックスをネット販売で安売りしていた●社(やばくてイニシャルも書けない)、そこのオーナーがよくアジアの某国で仕入れてきたそうな。てか、本人が自慢げに某プロツアー会場で某ディーラー相手に話してました。すごい白い目で見られてたけど。

本人いわく「まったく見分けがつかいない。今の技術はすごい!」だそうな。
当時はインベイション時期だったんですが「箱一杯にUndermineやUrza’s Rageがあった」とのこと。
具体的にどのくらい仕入れたのかは知りませんが、あれマジでネットで売ったのかな。

ちなみにその店はいまはもうありません。
いまどこいったんだろな、あのオーナー。

ちなみに私もソレと思われるカードを見たことがありますが、実際はまあまあの出来でした。そんなベタ褒めするほどでもない。見分け方はカードのセンタリング(印刷位置)とインクの匂い。あと、本物のマジックのカードは紙が複数層になっていて、その中に1枚だけ「青い」紙が入っているのですが、その某アジア国産と思われるカードは真っ白でした。

まあこの件はちょっと教訓になりました。
カードを買うなら信頼できるところ(少なくとも数年の実績があるショップか、名前の通っているディーラーがいるところ)からどうぞ。スタンダードの高価なカードだけが多量に在庫にあり、安いカードを売ってないところなんてちょっとわくわくしちゃいます。

■パワーナインのフォイルカード!
バカは相手にしないこと。以上。
バカから購入した子バカも、まとめてブラックリストに放り込みましょう。

どうでもいいけど、例の「きせいちゅう」って読みたくなるようなアカウント名のYahoo出品者はその後どうなったんでしょうねえ。

あ、本題とは関係なかったですね。失礼。

免責(?)

この記事はリバイバル記事です。元の記事は、とっくの昔に更新停止したDiarynoteのブログです。このNoteの内容は昔に書いた内容をコピペしてますが、ところどころ修正してたりします。で、たまに当時は書けなかったことや裏話を追記しています。まあ、基本的には手抜きです。楽なことは大事。

2023年追記

最近コンビニにカラーコピーを使っていないので本文の情報は古いかもしれません。以前は102%にすると、ほぼ原寸大でした。

カラーコピーの品質も上がってきていますが、やっぱりどんなに品質が良くても一目でわかりますよね。紙の質自体が全く違うので、質感も光沢もぜんぜん違います。結局は、正規品と同じ紙を使わないと、どうやっても稚拙な偽造の域を出ないと思います。

レーザープリンターの質も上がっていますが、同上。じゃあ、印刷時に正規品と同じ紙を使えばひょっとして……と思えそうですが、やっぱり印刷プロセスが全然違うので品質は格段に落ちます。そもそも、元のデータとスキャンしたデータでは解像度がまるで違います。

インクの匂いについては、なんだかんだで信頼性が高いです。匂いまで似せるのはなかなか難しい。あ、「②匂い」の項目で書いた「別の匂い」というのはスプレー系の接着剤の匂いです。ほとんどの糊&接着剤は、乾燥すると縮む性質があるので、CEフェイクを作る際の一番の難関は、如何にして糊の乾燥後に凸凹を発生させないようにするか、という部分です。乾燥してもシワにならない接着剤をスプレーで塗布したのなら、そういう匂いがします。

カードの角を一番「それっぽく」切るのに良いのは、彫刻刀の丸刀ですね。プレスカットしたみたいに、片側にバリが立つのもそれっぽいです。ただ、逆にすっぱり切れすぎちゃうと不自然になるので、ある程度は彫刻刀のほうに加工が必要になるかと思います。……まぁ、さすがにこれ以上は伏せます。MTGの世界から引退したとは言え、偽造が増えるのは本意ではないですし。そして、ここに書かれた方法でカットしても、本文に書いた「見分ける2つの方法」は完全回避できませんし、ソレは一般の人が見ても十分に違和感を感じられる部分なので、大丈夫じゃないかな。角はちゃんと見て、できれば触ってみましょう。

某国というのは、まあ隣国ですね。本文にある、とあるショップの人が言っていた場所は香港。
非常にガッツ溢れるショップの人でしたが、まあガッツ溢れているのでたぶんまだ元気にしてるでしょう。お店を弊店(休店?)して、中国に語学留学したというところまでは聞きました。…先の香港で偽造カード買ったとかうんぬんの話と合わせると、中国語を学びに行ったというのがなんとも味わい深いですね。

Yahoo出品者の名前は正確には覚えてませんが、確か「kissei2」だったかな。フォイルのパワー9をヤフオクで売ってました。そんな感じです。


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