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比良山荘

京都と滋賀の県境、山の幸のおもてなし

ついに、ついに比良山荘に自力で行きました!
自力で、というのは、なかなかたどり着けないからでして。

タクシーだと往復だけで1万円超え。。。(ひぃぃ)

もちろん、自分の車で山道を抜けて伺いました✨

比良山荘の隠れた名物、鯉料理

さてさて、比良山荘というと、いまや熊鍋などのジビエ料理、夏の鮎食べで全国的に有名ですが、実際は、もともと登山客向けに鯉こく(鯉のみそ鍋)などをふるまっていた鯉料理のお店です。
海なし県の滋賀県では、湖魚・川魚料理が発達しており、鮒ずしで有名な鮒だけでなく、鯉や、川海老、わかさぎ、ゴリなども伝統的によく食べます。
今はほとんど見ないですが、昔は川魚屋があって、琵琶湖近辺で捕る鴨もそこで売っていたそうです。

さて、そんな滋賀県の山あい、葛川渓谷で客をもてなす比良山荘では、3代目となって趣が変わった今も、とびきり素晴らしい鯉料理をいただけます。

鯉のお刺身を「鯉の洗い」と呼ぶのですが、全く臭みがない!!!

どうやってここまで臭みを抜くのか聞いてみると、山の水を引いたお庭の池で半年泳がせるとか。どおりで人に懐かない感じの錦鯉ではない鯉がたくさん。。。

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・・・明らかに、観賞用ではないですね。
この子達、観賞用と渓流水での臭み抜きの実用もかねて、半年ほどこのお庭で過ごしたのち、準備万端となったらバックヤードの生簀に移され、食卓に上る日をまつのだとか。。。なんとも。うん。コメントできない。。。
ただ、今まで食べた鯉料理の中で、とびっきりおいしかったです!どうもありがとう。

春を告げる、力強い味わいの野草料理に舌鼓を打ち、お酒も進んだ頃、お待ちかねの熊鍋が供されます。

なんか見たことある、〇鍋のナベ

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このタイトルの言葉遊びと写真で大市が思い浮かんだら、相当マニアックな関西の食道楽さんです!

夫と二人で念願かなってこの熊鍋を食べに行ったのですが、この浅く分厚い鍋を見て、

「あれー?なーんか見たことあるなぁ、、、」と。

そう、この形は、大市のすっぽん鍋にそっくり!

鍋の準備をしてくれいてた若い方に

「これ、もしかして大市さんと関係あります?」

と聞いてみたのですが、よくわからないとのこと。
その後、ご主人が自ら目の前で熊鍋を調理してくださって、話のついでに聞いてみたところ、やはり大市のお鍋と同じ、雲井窯の中川一辺陶氏の作のお品だそう。耐久年数はおおよそ5年程度で、発注のたびに粘土の配合などを毎回工夫して改善を続けているそうです。いやはや、そこまでの微妙な味わいは私ごときにはわからない。

でもそれだけのこだわりが詰まっているだけあって、この美しい熊の甘く淡い脂身の味わいは素晴らしかった!熊はもちろん比良山系で獲れたもの。お出しが少し甘くて、熊肉のほんのりとした甘さとうまみを邪魔せず引き立てて、セリの爽やかな香りと相まって、止まらないおいしさです。ご主人が秋に収穫した山のキノコを保存しておいたという、うま味の濃ゆーいキノコも同じ鍋でいただき、これまたおいしいこと。
熊肉も猪肉も薄ーくスライスしてあり、少し鍋にくぐらせるだけでOK。同じジビエでも、東京のももんじやのじっくり煮込んで柔らかくして甘みを増す猪鍋とは全く楽しみ方が違います。

土地によって、いろんな楽しみ方があって、おもしろい♪

比良の山の辺料理、ここに極まれり!

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八寸など、鍋以外の食材も、山の自然の恵みを感じさせるものばかりで構成されていて、懐石の流れを汲むタイプの和食とはまた違う、山の辺に根ざした力強い和食の世界を表現していらっしゃいました。

山の辺料理、食べて納得です!

有名な熊鍋を始めたのは今のご主人で、冒頭に書いた通り、昔は鯉が中心のお料理だったとのこと。ご先代の頃から夏の鮎が有名になり、ご当代の時に冬の名物も打ち立て、コンセプトである比良山系の山の辺料理として、懐石とは違う独自の価値を確立されたようです。

成果を残しつつ、新しい取り組みで、少しづつ変わり続ける経営姿勢、さすがだなと感じました。

お料理はもちろんのこと、山小屋のような薪をくべた暖炉で暖められた玄関の土間や、山里で地元の人に温かく迎えられるようなほのぼのした接客スタイルまで、山の辺料理・比良・山荘というキーワードでつながる世界観が確立されていて、凄く完成度が高いです。

この場所以外では成立し得ない比良山系の山の辺料理。多くの方を魅了してやまないのがよくわかります。

冬の熊以外にも、春の山椒鍋や夏の鮎食べにいらしてください。
そして、比良山荘がじっくり半年以上かけてつくる究極の鯉の洗いが、皆様のお口に合いますように♪

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